原発事故報道/福島から怒りの告発

 

『これでいいのか 福島原発事故報道』(丸山重威編著、あけび書房)を読みました。

丸山氏が指摘していますが、「『日本のメディアは政府、東電に支配されているのではないか』という指摘を覆す材料が紹介されないのは、非常に残念なこと」「ジャーナリズムは…権威に対抗して問題を掘り起こし、告発し、読者や視聴者に警鐘を鳴らす役割を持つものである。その原点が、いまもなお問われている」という点につきると思います。

いまテレビで流されている「公共広告機構」(AC)の「がんばろう日本」の仕掛け人や「原子力安全キャンペーン」の系譜(三枝和仁氏)も興味深いです。

塩谷喜雄氏は「2006年に共産党の吉井英勝議員が国会で、福島第一原発も含めて、津波の引き波によって原発の機器冷却が停止し、炉心溶融の可能性のあることを指摘していたことも、新聞やテレビはろくに伝えていない。事故後に、ネット上ではほぼ常識になっていることが、新聞テレビではなかったこととして処理されている」ことなど、報道と広報が限りなく「原子力ムラ」と同化してきた実態を告発しています。

本書の冒頭は、報道からは無視されてきたと言っていい住民運動から、原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員で原発の安全性を求める福島県連絡会副代表でもある、浜通り医療生協理事長の伊東達也さんが、福島から怒りの告発をしています。