「中間とりまとめ」/「確固たる考えのもとに対処」/説明責任

福島県エネルギー政策検討会(エネ検)が02年9月にまとめた「中間とりまとめ」を基に作成された『あなたはどう考えますか? ~日本のエネルギー政策~』をあらためて読みました。

02年10月にはA4版の26㌻のパンフレット、同年12月にはA5版の130㌻の冊子として発行されました。

エネ検はもともと「エネルギー政策全般について検討する」ことを目的に2001年5月に設置されました。「国策」である「エネルギー政策」について福島県が検討を加えざるを得なくなった経緯は要するに、「国や事業者のブルドーザーが突進するような進め方」の「動きに左右されず、地域の自立的な発展を図っていくためには、電源立地県の立場で、エネルギー政策全般について検討し、確固たる考えのもとに対処していく必要がある」からでした。

エネ検は02年7月の第18回検討会では浮かび上がった疑問点を「中間とりまとめ」にまとめ、8月5日には国の原子力政策の最高意思決定機関である原子力委員会に示して意見交換しました。

東京電力と国の原子力安全・保安院から「原子力発電所における自主点検作業記録の不正問題」が公表されたのはその直後の8月29日でした。

エネ検は02年9月6日の検討会でこの問題をとりあげ、「検討会で指摘してきたことがまさに現実の問題として顕在化したもの」との認識のもと、9月19日の第23回検討会であらためて「中間とりまとめ」をしました。

苛酷事故を含めた防災対策や労働者被曝問題などにはいっさい触れていませんし、「原子力発電の健全な維持・発展を図る」ことを前提とした提言ですが、きわめて真剣な提言書であることは間違いありません。

こうした経過があって、県として98年10月に事前了解していたプルサーマル導入を、02年9月には「白紙撤回」して現在に至っていたのでした。

これだけの真剣なとりくみの末の現知事によるプルサーマル受け入れではまったくないのです。なにせ、知事自身の言葉でこの「中間とりまとめ」をくつがえす理由を、私たち県民は聞いたことがないのです。「どうせ県民はそんなことは知らない」というつもりなのでしょうか。自民党より原発推進の民主党政権に変わったから、県民の声を聞くことなく進めやすくなったとでも言うのでしょうか。事業者がらみの何か甘みがあるのでしょうか。

説明責任を知事は果たすべきです。