3年で半減する放射線量/「原発なくせ」を世界に

7月17日に、放射線防護学が専門の野口邦和さん(日本大学専任講師)がいわきで講演したときにも話されていましたが、福島の放射線量は3年で半減します。

だから大丈夫、ということでなく、土壌の汚染状況をきめ細かく把握するための汚染マップの作成、それに基づく除染作業、食品の監視、水質や大気中のモニタリングなど、できるだけの対策を国策として実施されることが重要です。

ここで言いたいことは、「半減まで30年」というのは誤解、ということです。野口さんが、3日付の「しんぶん赤旗」に寄稿しています。

セシウム137の半減期が30年なので、大地の放射線量は30年たたないと半分に減らない、と思い込み、絶望に近い感情を抱く福島県民が多いことを知り、「赤旗」に寄稿されました。

今後、土壌に残って問題となる放射性物質はセシウム137と134です。137の半減期は約30年ですが、134の半減期は約2年です。これら2つの物質が流失した量はほぼ同じ(チェルノブイリの場合はこれが2対1と、半減期の長い137が多かったそうです)。

一方、放射線量をみると、事故直後の137と134に起因する大地の全放射線量の約27%が137、約73%が134です。時間経過にともなって、相対的に半減期の短い134の放射線量は減少し、3年後には137と逆転します。

こうしてこの2つの物質に起因する大地の放射線量は、1年後に79%、2年後に63%、3年後には52%にほぼ半減します。10年後には24%と4分の1に減り、「30年たたないと半分に減らない」というのは大いなる誤解です。

だからここ5~6年、外部被曝と内部被曝を可能な限り低くする努力をすれば、未来は必ず開けるし、そのために政府は、もっと迅速に、もっとていねいに、福島県民に説明せよ、と提言されています。

きょうは党地区委員会の活動者会議で「原発なくせ! の声を世界へ発信する県議選にしよう!」と訴え、決意表明しました。

月曜定時/民商へ義援金/サポートセンター/訪問


月曜日朝は、自宅に近い2か所での定時定点の街頭から。手を振って言ってくれる人が多く、いつも励まされます。

いわき民主商工会に党中央からの義援金を地区委員長、高橋あき子市議と届けました。

午前中、いわき自立生活センター敷地内の中央台暮らしサポートセンターをたずねました。モンゴル遊牧民の移動式住居「パオ」のような建物が3基あり、その「パオ広場」では、近くの仮設住宅で暮らすみなさんの暮らしを支えるために、さまざまなイベントを連日開催しています。

東京電力に対する賠償・補償相談、健康や医療に関する相談も多く、こうした専門家とのネットワークを広げたいし、いわき市外からの入居者が多い仮設住宅の人たちの暮らしを支えるには県による支援は不可欠、との話は切実です。

午後は私の中学・高校の同級だった医師・歯科医師・獣医師・建設会社や恩師、医療生協でお付き合いのあった事業所などをたずねました。

建設会社では、3月12日の朝7時に「屋根瓦が壊れた」と電話があってから、ひっきりなしの電話で、同級生の社長はきのう、初めて1日の休みが取れたそうです。

ある医師は、3月12日から連日、津波犠牲者の検死の仕事。0歳児から高齢者まで、ほんとうにやりきれない思いの毎日でした。

さまざまな業種のかたから話を聞けることは貴重ですが、この震災はほんとうに深刻です。

獣医師には「お客さん」が多く、本人には会えなかったのですが、受付で、「月曜日の朝は出勤時にいつも街頭での姿を見ています。応援します」と。びっくりしました。

学習会/政治の姿勢を変えさせる/原発をなくす世の中

浜通り医療生協の地域の班主催の学習会で講師をつとめました。

医療生協理事、いわき市原発の安全性を求める会代表として話をさせていただきました。

学習会の案内チラシは「放射能汚染! これからのわたしたちのくらしは? 安全は?」というタイトル。

原発事故が明らかにした、まったくの未完成で危険な原発技術と人類の生存が共存しえないこと、いまの日本の発電能力の10倍の再生可能エネルギーを活用する政策こそ実現させるべきこと、放射線の人体影響を考える材料提供の話を45分ばかり私から。

参加した医療生協組合員から、県営公園や市の公園の公表されている放射線量、これらの件で行政側と話をした報告や、区長さんから行政区の除染について市から説明を受けた内容の報告もありました。

除染後の処分法が明確にされていないことなど、不安が募る実情が参加者のみなさんから出されましたが、こうした声をしっかりと行政へ届け、行政と政治の姿勢を変えさせることの重要性が語られたことは、たいへんによかったと思います。

終えるや私はただちに平平窪(ひらくぼ)の党員宅へ飛び、隣組やご近所のお知り合い宅を案内してもらってごあいさつ。

初めてお会いするかたから「こうしたことは疎いんですが、今回は応援させてください」と言われたり、「原発でこんな思いをこれからの人たちにさせないために、原発をなくす世の中にしましょうよ」と言われたり。ありがたく、また、まったくそのとおり。

内部被曝の真実

『内部被曝の真実』(児玉龍彦著、幻冬舎新書)を読みました。

7月27日の衆院厚生労働委員会で、参考人として意見表明し、「国会は一体、何をやっているのですか!」と活を入れたのが著者です。

あのときに国会に緊急提案したのは、国策として食品、土壌、水を測定すること、子どもたちの被曝を減少させるために新法を制定すること、国策として汚染土壌を除染する技術に民間の力を結集すること、除染に莫大な負担を国策として負うことを確認し、世界最高水準で除染を行なう準備を即刻開始すること、の4つでした。

そして本書の最後でも、最新の技術を駆使した食品検査、すべての自治体で住宅の汚染を測定する課を作ること、住民自らが緊急的に除染するときに内部被曝を防ぐ注意事項、行政による長期的な除染を住民同意のもとで行なうこと、の4つを提言しています。

こうした提起の根底には、今回の原発事故の本質が、広島原爆20個分以上の膨大な放射性物質が飛散した事実があります。

国は、勝手な線引きをすることなく、国策として推進した原発の事故である以上、国策としてこの被害をなくす対策を講じるべきなのです。

 

「共産党の指摘が無視された結果」/情報過多と過疎

きょうも医療生協でお世話になっているみなさんを午前、午後とたずねました。

午前中は小名浜生協病院がある岡小名地域のみなさん。引っ越す前の病院がすぐ前にあった地域でもあります。

その当時からお世話になっているかたがたばかりということもありますが、とりわけ原発事故では、「けっきょくは共産党の指摘が無視された結果」「共産党が言っていたことをもっと広めたい」と、熱い激励が続き、励まされるばかりです。

午後は下神白(しもかじろ)地域。高台のあるお宅では、「テレビを見ていると、原発事故のことではっきりしているのは共産党だけ。私にもわかる」というかた。

神白川河畔の家はほとんどが津波の被害にあいました。「解体撤去」と張り紙がある家も少なくありません。

あるお宅では、「政権交代前に民主党に投票した。いまの民主党は自民党政治をそれまで以上に進める姿勢が自分にもわかる。民主にも自民にも投票できない。共産党はマスコミが知らせてくれないが、原発がなければ電力は不足する、ということと、共産党はなんとなく悪い、と思わされていることと、なんだかいっしょな気がしてきた」と。

情報過多の時代にあって、政治的情報過疎が、今の政治的現実を作り出していることを、見据えなければなりません。民主主義の土壌を作る途上であることをつくづく感じます。