TPP/国家的信用詐欺

TPP(Trans-Pacific  Strategic  Economic  Partnership  Agreement=環太平洋戦略的経済連携協定)が急浮上です。

商品貿易だけでなく、サービス貿易や投資、国内の規制など広範な分野が対象で、関税撤廃の例外を認めない完全な貿易自由化をめざす交渉です。

「国を開く」だの「乗り遅れるな」だのと民主党政権は参加に前向きです。

「国を開く」と言ってなにを開くのでしょうか。日本の農産物の平均関税率は11.7%。EUは19.5%、アルゼンチン32.8%、ブラジル35.3%、メキシコ42.9%… 日本は世界でも最も開かれた国であり、世界一の農産物輸入国です。

日本共産党の志位委員長は、10月21日の記者会見で、「日本農業を破壊し、食料自給率向上とは両立しえないTPP交渉への参加には絶対に反対」と表明しました。

きょうの地元紙の一面トップは「TPP参加時 本県農業に大打撃」とあります。自民党福島県連が、農林水産省が公表した積算方法に基づいて試算をまとめた、との報道です。福島県農業の主要7品目の産出額が77%減少する、との試算で、県もその内容を認めている、とのこと。

TPP参加に熱心なのは財界で、利益を得るのは自動車や家電などほんのわずかな輸出産業です。なんのためのTPPかは明らかで、「国益」を振りかざす国家的信用詐欺にだまされてはなりません。

だまし世

『だまし世を生きる知恵』(安斎育郎著、新日本出版社)を読みました。

身近な詐欺事件から国家の安全保障のレベルの詐欺まで、「だまし」の範囲はきわめて広い。

「あとがき」で紹介されているニュージーランド在住のロバート・グリーンさんは、もともとイギリスの海軍将校で、核戦略に関わっていた司令官。今は反核・平和活動家。

彼が最近出版した本で、「核抑止力論」を、「ありもしない話を信用させて人を騙す国家による信用詐欺に他ならない」と言っているそうです。

本書を読めば、「言われたことを鵜呑みにするのでなく、事実に即して徹底的に点検し、権威や評判に流されずにしっかりと判断する」ためにも、最小限度の科学的素養(ミニマム・サイエンス・リテラシー)と最小限感受性をはぐくむ大切さがよくわかると思います。