不倫女子のリアル

けさは、入院時以来かと思われる4時起き。夕べの就寝時間が早かったので。不倫女子

そんなわけで、きのうから読み進めていた『不倫女子のリアル』(沢木文[あや]著、小学館新書)を朝のうちに読みました。著者は私が高校2年生の頃に生まれた若いかたですが、「事象を追っていたら、あまりにも多くの“普通の女性”が不倫を自らの意思で楽しんでいる事実があった。それは旧来の“不倫=不幸”という価値観では断じられないほど、多様で自由であり荒涼とした現実」があるそうです。不倫女子カバー袖『貧困女子のリアル』を書いた著者なので、興味深く読んだわけですが、今や、「家族観や道徳観が激変して」おり、今後は「不倫未満なカップル、プラトニックな疑似恋愛などが出てくるのかも」と。

あなたを狙う「残業代ゼロ」制度

『あなたを狙う「残業代ゼロ」制度』(昆弘見著、新日本出版社)を読みました。160620残業代ゼロ安倍政権は、「労働時間」を岩盤規制と言い張って、ドリルで打ち破るために、残業代ゼロ制度を創設する労働基準法改定を執念をもって実現しようとしています。

「高度プロフェッショナル制度」と言って、労働者派遣法同様、小さく生んで大きく育てるのは常とう手段です。

この制度の新設に加えて、企画業務裁量労働制の適用拡大、フレックスタイム制の清算期間延長のトリプルで、労働時間を企業の自由にまかせて長時間化させるさせるものです。160620残業代ゼロ1・今回労働時間は、憲法27条2項に「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」とあるように、憲法が名指しで特定している労働条件です。これを財界の意向で一方的に変えるなど、憲法違反も甚だしい。160620残業代ゼロ5・ILO日本政府は、ILO(世界労働期間)の労働時間にかかわる条約を1本も批准していませんが、そうであっても、加盟国はその原則を尊重し、促進し、実現する義務を負っています。その意志すら示すことがありません。

世界の人々が首をかしげるような異常な長時間労働改善のため、残業の限度を定めた1998年の労働省告示(「大臣告示」)を法律化するなど、改革の緊急の方向も示します。

どうなる介護保険総合事業

『どうなる介護保険総合事業』(日下部雅喜著、日本機関紙出版センター)を読みました。ブックレット仕様です。介護総合事業来年(2017年)4月は、改定介護保険法による要支援者の訪問介護・通所介護を市町村事業(総合事業[介護予防・日常生活支援総合事業])へ移行する期限です。

要支援者の実態の把握、訪問介護・通所介護が果たしている役割の共有、市町村の移行準備状況と方針の把握、その問題点の分析、要望運動が住民・関係者の喫緊の課題です。介護総合事業要望大阪市へ提出した要求書も例として示されています。

同時に安倍政権は、今回の要支援者の介護保険からの締め出し以上の計画を明らかにしています。というのも、財政的には要支援者のサービスは介護給付の6%程度にすぎないので、次には介護給付費の30%を見直し対象とすることができる要介護1・2をターゲットに据えています。介護総合事業今後つまり、安倍政権は、要介護1・2までの軽度者の介護サービス全体を切り縮める「受け皿」として、総合事業を位置づけています。

こうした切り捨てを許さない全国的課題にとりくみながら、各自治体での総合事業実施へ向けた地域での共同した運動を急いで構築する時です。

歌舞伎のキーワード

『歌舞伎のキーワード』(服部幸雄著、岩波新書、1989年8月刊)を読みました。歌舞伎キーワード江戸時代の文化の花を代表する歌舞伎は、独特な味わいのある多くの言葉を日常の生活用語に定着させ、しかも近代以降に引き継がれ、現代語の中にも生きています。

それらの用語は実は、歌舞伎を解読するためのキーワードでもあります。著者によるとらえ方と方法で考えます。歌舞伎キーワード目次こうして著者が「キーワードの背後から読み取ったものは、歌舞伎の本質・構造や様式(フォルム)の特質であり、延いては江戸文化の特質、江戸時代人の発想法、江戸の美意識など」です。

そこまで読みとるのは至難の業だと思いますが、興味深く読める本です。なお著者は、07年に75歳で亡くなられています。歌舞伎キーワードカバー袖

歌舞伎をみる・歌舞伎絢爛ガイドブック/参院選公示まで1週間

『歌舞伎をみる』(西山松之助著、岩波ジュニア新書、1981年刊・89年8刷)、『伝統芸を10倍楽しむ 歌舞伎 絢爛ハンドブック』(伊達なつみ・文、渡辺文雄・写真、ワニ文庫、1992年刊)を読みました。それそれ読んだ形跡がありますが、おぼえがありません。歌舞伎「みる」は、目次にあるように、9つの演目について書かれています。著者自身が「深い感銘を受けた歌舞伎の芸について、どこがどう演じられたからどういう感銘を受けたか、について具体的に書いたもの」と記しています。歌舞伎目次ただ、「歌舞伎独特の用語は説明なしでそのまま書き進めてしまった」ので、読み進めるほうからすると、なかなか難儀する面もなきにしもあらず…

なお、著者は2012年に99歳で亡くなられています。歌舞伎絢爛そんなこともあって、「歌舞伎ビギナーのあなたのために、わかりやすいお芝居の解説に始まり、歌舞伎の早わかりルール、劇場案内や歴史ガイド、そして当代人気の役者60人のプロフィールまでを満載」してあるという、文庫版の「ハンドブック」を並行して読みました。

ともかく、歌舞伎は1980年代半ばに東京・歌舞伎座で、4年前にいわきで見たっきりです。もったいないことです。

先日は落語についての本を読んだので、あらためて歌舞伎の世界も知りたい、と思って。160615あて名書きさて、参院選公示が1週間後に迫ってきました。 比例選挙用はがきの準備でまずあて名書き。

消費税が社会保障を破壊する

『消費税が社会保障を破壊する』(伊藤周平著、角川新書)を読みました。消費税

消費税増税と社会保障破壊が一体に進められている事実が明快に示されます。本書の流れは以下のようになっています。消費税オビ裏

まず、消費税増税は、その増税に先行して行なわれている法人税減税による税収減の穴埋めにしかなっていない事実を明らかにします。

次に、社会保障改革の名で次つぎと社会保障削減を実行し、さらに計画し、実行に移す安倍政権での社会保障政策の現実を、少子化対策、医療・介護制度改革、生活保護・年金制度改革についてつぶさに明らかにしてくれます。

そして消費税が、貧困と格差を拡大する欠陥税制であり、社会保障財源として最もふさわしくないことを示し、その対案を提言し、その実現へ向けた政治的課題を展望しています。消費税カバー袖

「直前の参議院選挙を含めた今後の国政選挙の投票行動に生かしてくれること、そして、野党が、本書の提言などを参考にして、消費税に依存しない社会保障充実の明確なプランを提示してくれることを願って書かれた、社会保障のガイドブック」とのことで、著者の熱意があふれかえっていると思います。

 

アホノミクス完全崩壊

『アホノミクス完全崩壊に備えよ』(浜矩子[はま・のりこ]著、角川新書)を読みました。アホノミクス

「強さと力」をやたらと取り戻したがる「アホノミクス」。ほんとうに取り戻さなければならないのは「連帯と美」。アホノミクスオビ裏日本国憲法に生きている「国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」(旧約聖書)という言葉のイメージを大切にしながら、アホノミクス完全崩壊終幕を観ます。そうすると、ブラックならぬホワイトで健全な地下経済に行きつく物語です。アホノミクスカバー袖「アホノミクス」の命名については他著でされているのでしょうが、2年前に「商工新聞」でのインタビューでも答えていました。

それはそれとして、著者は「アホノミクスの動機づけ、突き動かし」ている根拠として、2015年4月の訪米時に「私は外交・安全保障政策は、アベノミクスと表裏一体であります」と笹川平和財団米国で安倍首相が講演した点を指摘し続けていることは重要だと思っています。

端的に言えば、「アホノミクスをもって富国の土台を強化する。憲法改正をもって強兵の体制を整える。この二つの踏み台からジャンプして、大日本帝国に着地する。これが、アホノミクス的下心の基本構図」です。

柳家小三治の落語3

『柳家小三治の落語3』(小学館文庫)を読みました。柳家小三治3これで、07年12月~08年4月にかけて発刊された1~3を、8年越しでやっと眠りから起こした思いです。

もともとこの文庫は、1983年から1999年の間に、TBS「落語研究会」で演じた口演を07年秋にDVD化され、それを原稿に起こしたものです。柳家小三治3まくらこの3巻の「厩火事(うまやかじ)」の演目解説で京須偕充(きょうす・ともみつ)さんは、「普通の暮らしの中で起きる、どこにでもありそうなこと。それを切り取って噺(はなし)にしたらこうなりました--。落語ってそういうものじゃないでしょうか」と言っています。柳家小三治3目次私もそう受け取って7~8年前にこれらの文庫を手にした覚えがありますが、読んでみると、日常のなかでの広い見識を持たないといけない気がしました。

現代の民話

『現代の民話』(松谷みよ子著、中公新書)を読みました。160607現代の民話幼い頃の思い出の『いないいないばあ』の作者であることをずいぶん後で知った松谷さんですが、「民話」について知りたいと思ったことと、これに「現代の」と付いたタイトルに惹かれた記憶があります。

前世紀末(2000年)に発刊されて手にしたはずですが、これまた今ごろになりました。松谷さんは昨年、89歳で亡くなられています。160607現代の民話カバー袖カバーソデのセールスポイントにも書いてありますが、著者も「民話と言えば、昔、あるところに、であり、遠い祖先の物語と思っていた視点を抜け出すと、何と奥深い世界が見渡せることだろう」と。

また、「戦争による残酷さ、あるいは権力による、あるいは天災による人びとの苦悩は、事実を語ることによって、伝承の重みを確かなものにする」とも。

柳家小三治の落語2

先日に続き、『柳家小三治の落語2』(小学館文庫)を読みました。柳家小三治22冊目だからか、1冊目よりもそう苦労なく読めたような‥ 柳家小三治2目次ともかく、高座で話したまんまをほぼ文字にしていて、小三治さんをよく知る人なら、その表情から手ぶりから間から、手に取るようにわかるんじゃないだろうか、と思えるような。柳家小三治2まくら