『歌舞伎のキーワード』(服部幸雄著、岩波新書、1989年8月刊)を読みました。江戸時代の文化の花を代表する歌舞伎は、独特な味わいのある多くの言葉を日常の生活用語に定着させ、しかも近代以降に引き継がれ、現代語の中にも生きています。
それらの用語は実は、歌舞伎を解読するためのキーワードでもあります。著者によるとらえ方と方法で考えます。こうして著者が「キーワードの背後から読み取ったものは、歌舞伎の本質・構造や様式(フォルム)の特質であり、延いては江戸文化の特質、江戸時代人の発想法、江戸の美意識など」です。
そこまで読みとるのは至難の業だと思いますが、興味深く読める本です。なお著者は、07年に75歳で亡くなられています。