国保都道府県単位化問題

『検証! 国保都道府県単位化問題』(寺内順子著、日本機関紙出版センター)を読みました。

1961年に国民皆保険の主軸制度としてスタートした国民健康保険が、2018年度からその保険者が都道府県と市町村になります。160518国保

市町村のみの単独運営だったこれまでの国保との最大の違いは、都道府県が国保財政を握ることです。

2014年に成立した医療介護総合確保推進法では、都道府県が地域医療構想(ビジョン)を策定し、医療提供体制の枠組みを決める権限を持たされました。

ねらいは明確です。医療費の大きなシェアを持つ国保を都道府県単位化することで、医療提供体制と医療費支払いをリンクさせ、「医療費適正化」という名の医療費の削減を、県にさせようとするしくみです。160518国保今後

もちろん、国民主権国家において、話はそう単純ではありません。住民の立場に立ち、命を守る役割を果たす自治体としての医療保険制度として国保を活かすかどうか、この2年、自治体職員とともに、都道府県ごとのたたかいが正念場となります。

「いつでも元気」「comcom」の5月号と「経済」6月号

雨のきょうはまず、全日本民医連の『いつでも元気』、医療福祉生協の『comcom(コムコム)』のそれぞれの5月号の特集「子どもの貧困」、「子どもの居場所 おとなの居場所」を読みました。160517「元気」「コムコム」「元気」には長野、京都の民医連医療機関のとりくみ、名古屋市内と練馬区内での「無料塾」「こども食堂」が紹介され、「コムコム」ではNPO法人の赤石千衣子さんのインタビュー、名古屋市内と大田区内の「こども食堂」が紹介されています。160517「元気」貧困発見ポイント京都・かどの三条こども診療所の「貧困を発見するポイント」は医療機関に限らず、参考になると思います。

午後には、おとといからぼちぼちと読み進めていた月刊誌『経済』6月号を興味深く読みました。160517「経済」6月なかでも特集「アベノミクス 破綻と転換」の藤田宏さん「貧困クライシス」では、5つの図、8つの表を使い、「危機」と同時に「転機」「重大局面」の意味を持つクライシスの現実を浮き上がらせ、安倍政権打倒の世論と共同をさらに発展させ、ピンチをチャンスに変える、「働く貧困」打開の政策提起を訴えています。160517「経済」6月2・増大貧困

論文では「働く貧困」層を、“結婚の壁”、老後の年金水準から年収300万円未満としています。2番目の表では、1997年から2012年にかけて「働く貧困」層が580.5万人も増大し、非正規労働者の9割近く(89.1%)になっているだけでなく、正規労働者の3割近く(28.8%)になっており、雇用者に占める割合は過半数を超える55.1%という驚くべき高さになっていることが示されます。160517足踏み

安倍政権下での国民の暮らしの実態資料

安倍首相は、7月の参院選で国民の支持をかすめ取ろうと、「一億総活躍社会」を実現し、老いも若きも生きいきと働けるバラ色の「生涯現役社会」が可能になるかのように言っています。同一労働同一賃金、36(さぶろく)協定の「再検討」まで言い出しています。160430赤旗・TD妄想「郵政民営化ですべてがバラ色に変わる」と言って解散・総選挙に打って出て「大勝した」かつての首相を思い出してしまいます。160430赤旗・アベ破たん安倍政権によって、国民の暮らしの現実はどうなっているか、「雇用は増え、賃金は増え」といいことづくめのように首相の言うことがいかにデタラメかは、「実感」からもわかるというものです。160505ハタ・企業諸指標

少し体系的に資料集めでもしてみようと思います。141204ハタ・所得1億141204ハタ・資本金別実質法人税160206ハタ・藤野質問・賃金160203ハタ・正規非正規151203ハタ・内部留保160304ハタ・小池・社保改革工程ともかく、憲法そっちのけで、立憲主義を破壊したまま、社会保障も後退させ、国民には負担を押し付けることを次つぎと実行しておきながら、さかさまなことを言ってだまそうとする。

断じて許せません。

 

共産党全県演説会/民進・ましこ氏登壇!/穀田・いわぶち・くまがい氏/野党共闘は残り6選挙区

きのう(5月14日)は、郡山市・ユラックス熱海を会場に参院選勝利をめざす日本共産党全県演説会がありました。私は行けませんでしたが…

全県から1,400人を超える参加者だったようです。160514穀田演説会民進党のましこ(増子)輝彦参院議員が、7月予定の参院福島選挙区の野党統一候補として登壇し、あいさつするという画期的演説会でした。160514穀田演説会・増子ましこ氏は、元自民党で、二大政党をめざして民主党に移ったことなどを自己紹介し、民主党政権時に経産副大臣を務めた際には、原発の安全神話にどっぷりつかっていたことを「あらためてお詫びする」との言葉もあったようです。160514穀田演説会・増子あいさつそして「福島から安倍政治にストップをかけて日本の平和を守り、福島の復興、県内原発全基廃炉を実現しよう」とあいさつされました。160514穀田演説演説会では、穀田恵二国対委員長・衆院議員が、戦争法廃止、アベノミクス転換、TPP撤退を求め、「新しい歴史を刻んだ力で、ましこさんを当選させ、比例でも野党共闘のかなめで最大の馬力となる日本共産党を必ず勝たせてほしい」と訴えました。160514穀田演説会・いわぶちまた、いわぶち友参院比例候補、比例候補に替わったくまがい智候補がそれぞれ決意を込めてあいさつしました。160514穀田演説会・熊谷全国的には、32選挙区の1人区のうち、14日までに26まで野党・市民連合による統一候補が実現しています。安倍政権打倒へ向けた歴史的な野党共闘は残り6選挙区、“全1人区で統一”が視野に入ってきました。160515ハタ・統一14日まで演説会の様子の写真はいわぶち友候補のフェイスブックから拝借。また、伊藤ひろゆきいわき市議のブログもご覧ください。

福島原発事故と小児甲状腺がん

『福島原発事故と小児甲状腺がん』(宗川吉汪[そうかわ・よしひろ]・大倉弘之・尾崎望[のぞむ]著、本の泉社)を読みました。ブックレット仕様です。160515甲状腺がん「はじめに」の冒頭で「本書の主張は単純明快です。福島の小児甲状腺がんの多発の原因は原発事故でした。福島県が2015年8月31日に発表した第20回県民健康調査のデータを統計学的に解析した結果、上の結論を得ました」と。160515小児がん目次1章が本書主張を論証するメイン、2章がその統計学的分析、3章が臨床医としてとりくんでいる避難者健診、1・2章を受けての提言です。160515甲状腺がん5㌻

まず、県の発表結果の発見率から単純に患者数を推定し、次に先行検査・本格検査での平均観察年数(先行=9.5年、本格=2.975年)を加味して10万人当たり1年間の患者発生数を推定(先行=9.5人/年、本格=54.7人/年)し、さらに受診対象者に対する実際の受診者の割合である受診率を考慮して、統計学的に以上の推定値がどの程度の誤差の範囲にあるかを導いています。160515甲状腺がん38㌻結果、先行と本格の発生頻度の比は11.7:35.4。そして、原発事故後に発症した子どもの甲状腺がんの67%以上は原発事故によると推定しています。

県側が原発事故の影響を否定する論拠とした「チェルノブイリ後の事実」とは異なる事実が報告されている、「先例となる被災国の知見をゆがめて伝えることで、教訓を生かせなくなる」(尾松亮氏、「朝日新聞」福島版4月18日)との指摘もあり、地域別・年齢別・性別の影響の違いなどを含めてより詳細な分析結果を県側が示すとともに、経済的な不安なしで継続的な健診を東電と国の責任で実施することは不可欠です。

けさの牡丹/若冲の牡丹/運動会

固いつぼみだった牡丹がみごとに咲いてくれました。160514朝1

たまたまこの間、江戸時代中期の絵師・伊藤若冲の絵を見る機会がありますが、あらためてその精緻な画風に驚かされます。160514若冲1

260年以上も前、1761~65年ごろに描かれたとされる「牡丹小禽図(ぼたんしょうきんず)」(142.7×80.0cm)とその一部。この本(『若冲原寸美術館 100% Jakuchu!』小学館)では後者が原寸大に調整されています。160514若冲2

さて、けさは5時半に花火が上がり、地元小学校の運動会です。160514運動会2160514運動会3

足を運んだ時にはすでに5種目目。160514運動会4

いまや、子どもたちの競技風景より、保護者がその様子に見入る風景がその風物詩(?)

田園回帰がひらく未来

『田園回帰がひらく未来』(小田切徳美ほか著、岩波ブックレット)を読みました。副題に「農山村再生の最前線」とあります。田園回帰全国町村会と一般社団法人・地域活性化センター主催の連続企画「都市・農村共生社会創造リレーシンポジウム」が昨年(2015年)5月から行なわれ、本書は東京会場の第3回(11月17日)の記録です。田園回帰目次テーマは「田園回帰と日本の未来」。第一部では3人が基調スピーチ、第2部ではパネルディスカッション「田園回帰のススメ-共生と循環の扉を開く」。

パネルディスカッションでは3人の田園回帰実践者の報告、コメンテーター、コーディネーターのの発言が収められています。

「消滅可能性都市」を打ち出した一昨年のいわゆる「増田レポート」にはまったく見えていない最前線の田園回帰の波がくっきりと見えるようです。

全体としてこうした田園回帰の現実が多面的に-背景、本質、諸相、戦略の視点から-論じられています。

以下の本も参考になります。『農山村は消滅しない』(小田切徳美著、岩波新書)『地域に希望あり』(大江正章著、岩波新書)『地方消滅の罠』(山下祐介著、ちくま新書)『「自治体消滅」論を超えて』(岡田知弘著、自治体研究社)『地方消滅論・地方創生政策を問う』(岡田知弘・榊原秀訓・永山利和編著、自治体研究社)。いずれも「自治体消滅論」が成り立たないことを示してくれていると思います。

牡丹三輪/いわき公園/未知の断層

朝のテレビ体操に間に合わない程度の寝坊をし、庭を見ると、牡丹の花が三輪とも!160513朝・牡丹2

ペロは朝日を浴びる窓際で、起きたばかりなのに眠い?160513朝・窓辺

洗濯物を干してから、きょうはペロを連れて県営いわき公園へ行って小一時間の散歩。160513いわき公園・散歩

ショウブ園のショウブはまだこれから?160513いわき公園・ショウブ

歓声をあげる子どもたちも遊びに来ていました。160513いわき公園・子ども

家に帰ってTBS系「Nスタ」を見ていたら、熊本地震からあしたで1か月ということで、現地の様子を伝えるとともに、「『未知の断層』を検証する」。160513Nスタ・未知断層

地震後に指摘はされていますが、断層の存在が確認されていない場所の地面などに大きな亀裂が走りました。160513Nスタ・未知断層俵山

もともとあった断層で知られていなかったのか、今回の大地震でできた新しい断層なのかはわからないそうですが、いずれにせよ、日本列島は断層だらけです。

深く考えなくとも、原発は建てるべきではない、という判断は常識的・倫理的です。

朝日を浴びる牡丹/散歩/蜂/避難小・中生徒数の推移表

おととい、きのうとはうって変わって朝から快晴。きのう開き始めた牡丹の花も朝日を浴びて光っています。160512朝・牡丹ペロとも3日ぶりの散歩。160512散歩1花によって来る蜂もいっきに増えた感じです。160512幼稚園・蜂擁壁(ようへき)の合間に土があるのか、草花ががんばっています。160512郷小その後、市内の本屋さんを2軒はしご。

家に戻ってからは、きのうの地元紙「福島民友」に掲載された「特集 震災5年2ヵ月」の「避難市町村 変わる教育」を読み直し。双葉地区教育長会長は「子どもの数の減少は避けられない。レベルが高い教育を双葉地区で受けられるということを強調していくしかない」、大熊町などでは「小規模校の良さを出す方向に切り替えないといけない」と語っています。160511民友1

ともかく、教育環境を含めた教育そのものをどうするか、大きな課題です。記事中の児童、生徒の推移から自分で作表もしてみました。160511民友から作表

 

翔子の書-「愛の物語」/伊藤若冲/牡丹の開花

「雨読」の日。『愛の物語』(金澤翔子・書、金澤泰子・文、新日本出版社)、『若冲への招待』(朝日新聞出版)を読みました。160511翔子・愛の物語

『愛の物語』は、昨年、30歳となったダウン症の書家・金澤翔子さんの24点の作品とお母さん・泰子さんの文章。『女性のひろば』(共産党発行の月刊誌)連載の「翔子の書」2013年12月号~15年11月号に掲載されたものです。160511翔子・愛の物語目次昨年3月、国連本部での「世界ダウン症の日」スピーチ原稿、インタビューも収載されています!若冲招待伊藤若冲(じゃくちゅう、1716~1800年)は江戸時代中期の絵師。彼が生まれた年に吉宗が8代将軍就任。大英博物館設立(1753年)、「解体新書」刊行(1774年)、アメリカ十三州独立宣言(1776年)などがあった時代です。若冲招待22㌻

若冲の絵について美術史家で東大・多摩美大名誉教授の辻惟雄(のぶお)さんは「堅実な商家育ちの無粋なまでの『生真面目さ』。一途な『孤独癖』。それでも湧き出る『ユーモアと遊び心』、それに『信仰心』が加わって渾然一体となっている画風」と言っています。

ちなみに、故加藤周一さんは、彼の技法について、①様式化②大小③斑点(dots)を多用する描法④色面の強調⑤構図の5点を「感想の一端」として「夕陽妄語」(2000年11月22日「朝日新聞」夕刊、「加藤周一自選集」10巻所収)に書いていました。160511朝・牡丹そういえばけさ、8日前に須賀川市の牡丹園で買った、固いつぼみだった花が開き始めました。