『農山村は消滅しない』(小田切徳美著、岩波新書)を読みました。
タイトルのとおりです。
安倍首相のもとで、「まち・ひと・しごと創生本部」設立の契機となったのは、「特定の市町村を乱暴な推計により『消滅可能性都市』と決めつけ、名指しした『地方消滅論』」でした。いわゆる「増田レポート」です。
農山村の「歩き屋」としての著者には、この議論に政治的意図も感じ、「これまで厳しい状況のなかで懸命に地域づくりに取り組んできた人々に対して、『どうせ(ここは)消滅する地域なのだ』という『諦(あきら)め』の気持ちをもたらしてしまった副作用は、看過できない」ものでした。
農山村の「再生を図りながら、国民の田園回帰を促進しつつ、どの地域も個性を持つ都市・農村共生社会を構築」することを、現場をとことん歩いてみた事例をもとに、その展望を具体的に詳細に示してくれます。
地方は「どっこい生きている」のです。