『地方消滅論・地方創生政策を問う』(岡田知弘・榊原秀訓・永山利和編著、自治体研究社)を読みました。
「地域と自治体第37集」ということです。
本書の生い立ちなどについて、著者たちの言葉から勝手に抜き出すと、次のようなことです。
国交労連、自治労連、行財政総合研究所、地方自治問題研究機構の4者に所属する著者たちは継続した調査、研究に携わっていますが、2010年ごろから合同研究会を立ち上げ。
一昨年の2014年ごろからは、安倍政権の改憲活動と地方分権、道州制移行とが深くつながり、そこに「地方創生」が合流し、2020年ごろをめどに新自由主義的改革が日本の将来に重大な偏向をもたらす可能性を強く意識せざるを得なくなりました。
こうした事態の進行は、市民・住民主体の地方自治自体を危機に陥らせることから、その根本を解明し、憲法を現実に活かせる国と地方の行財政のあり方を論議する課題の解明作業が不可欠です。(以上、「あとがき」から)
安倍政権の「地方創生」とは、「金融・開発・知識集約化産業の司令塔である首都圏を頂点とした新たな国土再編成の下で全国の地方経済をグローバル化にふさわしい形での役割分担に編成替えする荒療治であり、歴史的に積み重ねられてきたローカルな特色と多様性を一掃することが本音」です。
豊かさと幸せが実感できる国づくりの基本政策の理念は、「地方創生(記憶を消し去る地域づくり)ではなく、地域再生(記憶を重ねる地域づくり)」でなければなりません。
ドイツ、イタリアなど中部ヨーロッパの先進諸国では、地域資源と技能熟練を重視した地域内循環型の文化型産業も重視した産業振興政策を実施しているため、小零細企業の比重は21世紀に入ってからも低下していない、とのこと。(以上、「第10章」から)
いずれにせよ、憲法を輝かせる日本社会構築へ向けて正念場です。