原発を終わらせる

『原発を終わらせる』(石橋克彦編、岩波新書)を読みました。

編著者の石橋さんを含め、14人の執筆人。「安全神話」に取りつかれていた原発事故以前は、歯牙にもかれられなかったんだろうと私自身も感じます。

原子炉圧力容器や原子炉格納容器の設計にたずさわった技術者、金属材料学や原子力工学の研究者、技術史や都市計画、地方財政や環境経済・自然エネルギーの専門家などが、簡潔に語ってくれています。

新たな「安全神話」を再生産し、原発を続けようとする原子力村の思考がいかに時代遅れで危険きわまりないか、今だからこそ、私たちは肝に銘じるときだと思います。

原子力については、原発の廃炉が決まったとしても、その処理・処分や使用済み核燃料の処理・処分もあれば、これらを完全に社会から隔離する技術は開発しなければならないでしょうし、それを進める権限をもった独立した規制機関も必要でしょうし、そのための人材養成も必要です。

単純に「ハイ、サヨナラ」といかないのは難しいところです。

いわき公園/放射線/暮らしの伝承郷/江戸の土地利用と今

久しぶりに、県営いわき公園へペロを連れ出しました。

たぶん多くのみなさんが散策を楽しみにしているゾーンやコースの多くはいまだ「地震による崖崩れ、道路陥没により立ち入り禁止」。

この公園は、広さが約71.3ヘクタール(東西約0.6km、南北約1.2km)とけっこう広く、しかも緑が多いので、放射線量が気になります。緑が多いから心配、など、原発事故がなければ考えられないことです。

県も園内48か所の地上50cm地点の測定値を公表しています(7月13日)が、0.23~0.93マイクロシーベルト毎時と、けっこうばらつきがあります。

歩きながら簡易測定器を見ていると、だいたいそんな感じでした。多目的広場(今は仮設住宅地)とため池の両方に近い茂みの中が、きょう測ったなかではいちばん高いようでした。

先日は、この公園に隣接するいわき市暮らしの伝承郷にも寄ってみました。現在の企画展は「磐城(いわき)平城下の町 Ⅱ」で「平に残る江戸の町」。今月21日(日)までです。

展示の目玉は、現代の都市計画図に、江戸時代の絵図を重ね合わせた地図。お城の堀が今は道路になっていたりしますが、江戸の土地利用そのままの現代の町並みです。

いわき駅前「ラトブ」敷地は、お城の外堀や武家屋敷だったようですが、ここから発見された陶磁器なども展示されています。

 

内郷・好間いっせい行動/11~12月?/署名

内郷(うちごう)・好間(よしま)地域のいっせい行動に参加しました。

先月30日には、民主党と自民党のいわき総支部総会があり、その報道によれば、福島県議選は11~12月実施が濃厚、とのこと。行動前にこのことが話題になりました。

私としては、県議選がいつになろうとも、この震災と原発事故でたいへんな思いを強いられているみなさんの声をしっかりと活かすことこそが、私の仕事と思って市内を歩いています。

御厩(みまや)地域を中心に、4か所の街頭から訴えました。話しているこちらがびっくりするぐらい、直接声をかけていただき、ありがたいです。

散歩で通りかかったかたから「応援してるんだ、がんばってほしい」、スーパー前では駐車場を出入りするみなさんが手を振っての声援、話している近所でも家の窓際でずっと聞いてくれるかた。

ある市営住宅の前では、「薄磯・豊間の親族7人がみんな亡くなってしまい、市内では一人ぼっちになってしまった。県外に住んでいる子どもたちがせめてもの救い。共産党にはこんな世の中をなんとかしてほしい」と切々と訴えられました。

午後は、「原発いらない」署名を党地区委員会に返送していただいたお宅をたずねました。ほんとうに感謝されるのです。こちらは「返送していただきありがとうございます。こうした声を活かすためにがんばりたい」と伝えたくてたずねるのです。

小名浜定点/平市街地街宣/訪問/「赤旗」購読

火曜日朝は小名浜での定時定点。きょうは地域と医療生協の党後援会から5人のみなさんが「旗持ち」に出てきてくれました。

日本の政治を庶民の暮らし最優先に変えるために、共産党の議員や予定候補者は朝早くから継続して心から訴えるのですが、こうした場に毎度出てきてくれる後援会や党支部のみなさんにはほんとうに頭が下がります。

午前中は、私が住む地元を皮切りに、いわき駅前など6か所の街頭から訴えました。

パン工房のだんなさん、寿司屋のだんなさん始め、通りかかるみなさんが手を振ってくれたりの声援。自転車で通りかかったかたが「あんたがたががんばってね」とささやくように。

午後は、私が住む住宅地の隣りの住宅地の党支部の党員とお知り合いを訪問。震災前の県議選直前にもたずねていた隣組のみなさんからは、ことごとく「選挙はいつになるの? 頼みの綱は共産党なんだから」「原発でモノを言えたのは共産党だけじゃないか」「献金をもらって原発を推進しながら、事故が起こったら反省します、なんて誰が信用するの?」と、率直なご意見、そして共産党への期待を聞かせていただきました。

「しんぶん赤旗」日曜版を3人のかたが購読を約束してしてくれました。「真実が政府発表や一般の新聞ではわからないんだ」という声が象徴的だと思います。

背丈が2m、花の直径が30cmを超えるようなひまわりがあるお宅の庭に咲いていて、ちょっとびっくり。わが家の庭のひまわりは、背丈がまだ50cmぐらいになったばかりなので。

月曜定時定点/住宅街の放射線測定/あちこちでかけられる声

月曜日朝は、2か所の街頭から定時定点の宣伝。通勤されるみなさんの自家用車からの声援ばかりでなく、社用車からの声援もあり、ありがたいばかりです。

同乗している子どもたちがさかんに手を振ってくれる姿にも元気づけられます。

隣りの住宅街の党員と党地区委員長と3人で、その住宅街の放射線量を測って歩きました。

あるお宅では、お子さんとお孫さんが来ていて、庭と家の中の1階と2階も測ってほしい、と。どこも0.2マイクロシーベルト毎時をちょっと上回るぐらいでした。

庭の片隅に置いてあるビニール袋には、つい先日、雨どいを掃除して取った土。穴が開いているところに簡易測定器をかざすと、なかなか値が一定しないものの、1マイクロシーベルト毎時を時どき上回る値。

こうして歩いていると、「気になっていたけど測ってもらって安心した。お隣りにも声をかけるから測ってみてよ」、「あの空き地は草刈りしたばかり。刈った草はどうかな?」、「放射線を測ってるんですか? 興味があったけど自分ではなかなかできなかった。どうですか?」と、あちこちで声をかけてくれるかた。

ともかく、草地、草ぼうぼうの調整池回り、掃除できなさそうな側溝、雨水といっしょに流れてきた土がたまっている所などは、簡易測定器でも0.3マイクロシーベルト毎時を超え、相対的に高いことは間違いありません。

こうした場所がわかってくればくるほど、不安が広がることは当然です。精度の高い機器で測定し、正確な数値を住民に提供する行政の役割は、いよいよ高まってくると思います。

 

原発とカネと農村

原発の立地には基準が定められています(「原子炉立地審査指針」)。

①原子炉の周囲は、原子炉からある距離の範囲内は非居住区域であること②原子炉からある距離の範囲内であって、非居住区域の外側の地帯は、低人口地帯であること③原子炉敷地は、人口密集地域からある距離だけ離れていること

要するに人があまり住んでいないところです。

立地させる手段はカネです。過疎化が進んで自律的な発展の見込みのうすい農村地域(原発立地の適地!) に、経済的・財政的利益をもたらそう、というわけです。

そのしくみが電源三法のシステムです。三法とは、「電源開発促進税法」「発電用施設周辺地域整備法」「電源開発促進対策特別会計法」です。1974年6月、田中角栄内閣によって導入されました。

電源開発促進税は電力会社に課税されますが、電力会社は電気料金に転嫁するので、負担するのは国民・消費者です。

その電促税は、国の一般会計を経てエネルギー対策特別会計電源開発促進勘定に組み入れられ、原発立地自治体や周辺自治体への交付金として支出されます。

当時の中曽根康弘通産相は、“立地地域の住民には非常に迷惑をかけるので、福祉を還元しなければバランスがとれない”といった趣旨の答弁をしています。

要するに、安全性への不安に対する迷惑料を、国民負担によって地元自治体に払い、原発推進政策を進めるしくみです。

図にみるように、交付金は原発の運転開始以前の段階で多く支給されます。

なおかつ、運転年数が30年を超えると原子力発電施設立地地域共生交付金が交付され、原発が古くなるほど交付金がふえるしくみです。「共生」を「強制」するわけです。

そのうえ、プルサーマルを実施する県には、核燃料サイクル交付金が交付されます。原子力推進のメニューを受け入れるほど交付金がふえるしくみです。

こうして原発は、国内に貧困な地域が存在しなければ造ることができない施設だったのです。沖縄の基地問題と構造がそっくりです。

(「しんぶん赤旗」7月15日付記事「自治体を原発に縛る」、清水修二著『原発になお地域の未来を託せるか』自治体研究社、を参照しました)

 

総代会/「自然エネルギーに舵を切るとき」/特別決議

私も理事をつとめている、浜通り医療生活協同組合の第32回通常総代会がありました。大震災の影響で、ひと月遅れの開催でした。

各地域の支部活動の報告は、震災後の原発・放射能の学習会に多くの住民のみなさんが参加したとりくみを含め、それまでの継続的な体操教室、ミニデイサービス、まちかど健康チェック、旅行などの行事、こうしたとりくみを通しての組合員仲間ふやし、増資の組織化など、生き生きと活発で多彩な内容で、元気をもらえました。

私は、今年度事業計画・予算案で「原発依存をやめ自然エネルギーに舵を切るとき」と触れている点を補足し、現在の原発の技術が、人類の生存とは共存できないことが明らかになったこと、日本の原発発電能力の40倍ものエネルギーとなりうる自然エネルギーの 資源量があることを環境省が発表していること、この自然エネルギー活用の技術開発と利用促進・普及にこそ日本は踏み切るときで、そのための合意を広げよう、と発言しました。

総代会では最後に、「原発事故の収束、全面補償、原発ゼロの決断を求める特別決議」を採択しました。

止めどない話/30km圏外/原子力ムラ

きょうも、「原発は福島県にいりません」署名をした、と、党地区委員会に連絡があったお宅をたずねました。

身近に東電社員がおり、避難生活をし、つき合っていたカップルがこの原発事故を機につき合いをやめ、結婚することすら考えられなくなった若者を身近に見、ご近所には小さなお子さんがいる家族がいまだ県外で避難生活を続け、と、止めどない話。

これからの若者の希望や、子どもを産むことすらあきらめさせてしまったり、ガソリンや水や食べ物を保管し続けたり、食べ物については放射能汚染を避けたり、原発30km圏外でこんな暮らしを強いられているのは原発事故による被害以外のなにものでもなく、その補償をしてほしい、と当然の話です。

それなのに東電経営陣や国は、原発再稼動に意欲は見えるが、こうした補償をすることや、事故現場で働く作業員の放射線量管理・健康管理にはいかにも熱心でない、どうもこれは、一部マスコミを含め、原子力ムラと言われる原発推進勢力が権力を使って国民の意識を支配してきたことと無関係ではないのでは、と、ものすごく鋭い指摘。

私はまったくそう思います。

市役所前/心強いです/「東電社員が悪いんじゃないのに」

市役所前では震災後初めて、始業前の時間に街頭から訴えました。「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入」の国民的討論と合意をよびかける提言チラシをお渡しする宣伝行動の一環です。

某部長さんからは手を振ってごあいさつをいただき、高校同期や先輩などからもにこやかな熱い視線。職員ではないと思うのですが、正面玄関前でチラシを受け取り、私のほうへ近寄ってきてくれて両手を振って声援をおくる女性。みなさん、ほんとうにありがとうございます、心強いです。

「福島に原発はいりません、の署名をしました。取りに来てください」と党地区委員会に連絡があったかた宅をたずねました。小学生の2人の子どもがいるお母さんで、「こんなことになるなんて。原発はほんとうにいりません。ご近所に東電社員のかたがいて、事故後に謝りに来られたんですが、社員が悪いわけじゃないのに」と。

まったくそのとおりで、東電経営陣は、福島第二原発や、第一原発5・6号機の再稼動をあきらめていないように、社員の生活よりも、原発再稼動ばかりが優先されていることが重大問題です。

太陽光・太陽熱・中小水力・風力・地熱・バイオマス・海洋エネルギーなど、自然エネルギーを活かす技術開発を進めることで産業と雇用を拡大することはできるのです。

今年4月に環境省が発表したように、日本の原発発電能力の40倍を超す自然エネルギーの資源量がこの日本にあるんです。

「原子力発電はなくてはならない選択肢」という話も、「原発はなにがあっても大丈夫」という「安全神話」と一体で、国民の心に刷り込まれてしまっていることを見抜かないとなりません。

きのう、わが家の庭をノコノコとセミになる子が歩いていましたが、きょうは夕刻になってやたらとセミの鳴き声が多いです。ペロは窓際でそんな声を聞いている?

 

生涯100㍉㏜/0.3μ㏜毎時/外部?内部?食品?

放射性物質が人体に与える影響を検討していた食品安全委員会がきのう、自然由来の放射線量を除いて、外部被ばくと内部被ばくを合わせた生涯の累積線量について、がんのリスクが高まるとされる100㍉㏜を超えないようにすべき、との見解をまとめた、と報道されました。

厚労省としては、食品からの被ばくリスク答申を想定していたので、面食らったようです。食品による内部被ばくのみを取り上げた研究や、内部被ばくと外部被ばくを別々に分析したデータがほとんどないのが現実のようです。

一方、いわき市はきのう、「子供達の生活空間における当面の放射線量の目標水準」を0.3マイクロシーベルト毎時と設定しました。

「自然由来の放射線量」については事故前の環境測定値0.06マイクロシーベルト毎時を基本に、あれこれ換算して0.11マイクロシーベルト毎時。「事故の影響による放射線量」については、年間1㍉シーベルトを目標とし、屋外8時間、屋内16時間の生活様式をモデルとし、屋内では屋外の40%の被ばくとして計算し、0.19マイクロシーベルト毎時として、計0.3マイクロシーベルト毎時です。

早くも「高すぎる」と異論も出ているようです。

事程左様に、「原子力立国」を国策として進めてきた国が、こういう事態になったときの対応を何も考えていなかったために、各自治体があれこれ数字を出さざるをえないので、いちばん困惑するのは住民です。国に追従してきた県の責任も重大です。

一般市民の平常時での被ばく限度量(ガマン限度)は、自然界からの放射線量(日本人平均1.5㍉シーベルト)と医療行為による放射線量(日本人平均2.25㍉シーベルト)をのぞき、年間で1㍉シーベルトとされています。

今、毎日発表されている「環境放射線量」は、自然界からの放射線量と原発事故による放射線量を合わせた数字です。

そうすると、平常時での年間自然放射線量(1500マイクロシーベルト毎時)と年間ガマン放射線量(1000マイクロシーベルト)を足して、1年間で割ると

(1500+1000)÷(24時間×365日)=0.285マイクロシーベルト毎時

となるのですが、この数字との関係はどうなるのでしょうか?

人が住む地球上で、自然放射線量が年間10㍉シーベルトのブラジルのガラパリでは、

(10000+1000)÷(24時間×365日)=1.256マイクロシーベルト毎時

となります。

これらの数値と、外部被ばく・内部被ばく、食品による内部被ばくの数値との関係がまったくわからないまま、今を迎えてしまっているのだと思います。