日本国憲法第99条は、こう言っています。「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」。
憲法は「国の最高法規」(98条)ですから、公職にある者が憲法を尊重・擁護する義務を負うのはあたりまえのことです。99条がそのことだけを言っているのであれば、たいした条文ではありません。
大事なのは、この条文で、「国民」という言葉を意図的にはずしてあることです。つまり、国民は、憲法を尊重・擁護する「義務」を負わないのです。そのかわりに、国民は、政府や議会、一人ひとりの公務員に対して、「憲法を擁護し、尊重せよ」と要求する「権利」をもつ、ということです。
「憲法は、国家を縛るルール」という考え方を自覚的に示しているのがこの条文で、「立憲主義憲法の真髄」と言われています。
「海外における武力行使を可能にする」憲法に変える、とすることでほぼ一致している歴代民主党代表には、「国家を縛るルールが憲法」という考え方を土台に憲法を議論する姿勢をもっていただく必要があると思います。