TPP参加絶対反対―「かけはし」12月号

「農家は自分の家で食べるもんだけつくっとけ、と言われているようだ」、「農家をつぶす気だ」、「政府に殺される」…。

11月28日と12月1日に平(たいら)の原高野(はらごや)と三和の農家で、TPPが話題になったときの話です。

 TPPは環太平洋戦略的経済連携協定のことで、「環太平洋パートナーシップ」の頭文字をとっています。

2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイが結んで発効した自由貿易協定で、「原則すべての関税を撤廃する」ものです。ここにアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの5カ国が交渉に参加しています。計9カ国。中国も韓国も入っていません。

9カ国のうち日本が二国間の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を結んでいるのは5か国、そしてペルーとは最終調整段階。

要するに日本がTPPに参加する意味合いは、アメリカとオーストラリアにあります。

 アメリカとオーストラリアは農産物の純輸出大国、日本は「農業鎖国」どころか、世界一の農産物輸入国です。農産物の平均関税率は韓国が62.2%、EUが19.5%などに対して日本は11.7%。そして食料自給率は40%。

 TPPへの参加によって食料自給率は13%に低下すると農林水産省が試算しています。

 日本国内でTPP参加を政府に迫っているのは財界です。民主党は財界とアメリカに忠誠を誓うというわけです。

9月14日に国連食糧農業機関が発表した世界の慢性的な飢餓人口は9億2500万人です。食糧増産こそ世界各国に求められています。

そして世界では、自国民のための食料生産を最優先し、食料・農業政策を自主的に決定する「食料主権」の確立を求める声が広がっています。日本もその方向にかじを切り替えるときです。