スウェーデン

『スウェーデンの税金は本当に高いのか』(竹﨑孜著、あけび書房)を読みました。05年8月刊。先日、デンマークの本を読んだので、わが家の本棚に眠らされてしまっていた本書を思い出したしだい。

国民全体の税金負担は、国の税収全体に占める税金と社会保険料の合計によって計算できるとされているようなのですが、見落とされるのが、家庭の自己防衛の手段に相当する教育費、民間保険料、医療費、貯蓄などの「固定家計費用」。

本書の27㌻に日本とスウェーデンの家計内容の概要図が示されていますが、スウェーデンでは社会保険料が企業側によって全額支払われ、家計は税金さえ支払えば、社会保険費と固定家計費はまったく不要で、その結果、日本の家計のほうが消費力や生活力で劣ってしまっています。

民間企業には社会保障税と法人税が課せられます。社会保障税は雇用主税が正式名称で、事業所すべてに全額負担を義務づけ、労働者による負担部分はありません。

この社会保障税が制度化された根拠は、企業の人材育成や教育にかかる費用のすべてに税金が投じられているので、社会が育成した人材のコストを支払う責任は企業にある、という考えです。

さらに、企業活動を可能にしているのは、企業が社会のインフラストラクチャー―道路、エネルギー、通信、住宅、街づくりなどの地域社会の基本的構造―を利用できるからであり、これらはすべて公費で築かれているので、社会コストは企業経費に含められるべき、との考えです。

なによりこうした社会システムが、国政選挙の投票率が80%を下回ることがない、国民の意思の固さと政治への信頼に裏づけられているようです。