知っておきたい日本の神様

『知っておきたい日本の神様』(武光誠著、角川ソフィア文庫、2005年11月初版)を読みました。神様これもまた10年ほど前、本のタイトル通りの関心を持って購入して今ごろになりました。

いわき市内にも、『いわきのお宮とお祭り』(いわき市神社総代会、09年3月発行)によれば、神社の数は336。それぞれに神様が祭られています。日本にはいったいいつからどんな神様がどれぐらいいるんだろう? とは素朴な疑問です。神様・神社数それに、神社の存在や神様が、はるか昔から地域コミュニティになくてはならないものとして意識され、地域の文化を育んできたのもまぎれもない事実です。神様・動物

新興住宅地などでは、神社によるお祭りや行事からコミュニティづくりが始まったりもします。神様・いわきのお宮とお祭り

無神論者であることとはまったく別に、人間・地域・文化と神様との関係を歴史と現在のなかで知ることは、興味深いものです。

柳家小三治の落語1

『柳家小三治の落語1』(小学館文庫、2007年12月初版)を読みました。柳家小三治108年4月に「3」までの3冊そろったところで購入し、落語を少しは知ろうと思っていたのが今ごろになりました。柳家小三治1前口上なぜ当時、知ろうと思ったのかは今となっては定かではありません。「落ち」の面白さを直ちに感じ取る感性を磨きたい、と思ったのかもしれません。

それはともかく、 「大山詣り」では「みんなおけが なくっておめでたい」で「落ち」。

どうしてもこれがわからず、「桶が」なくって何がおめでたいんだろうと苦しみましたが、調べてみると、お詣りに遠出をして怪我なく帰ってきた「お怪我」と、坊主頭になってなくなった髪の毛の「お毛が」。

あいかわらず鈍いです。柳家小三治1目次

貧困女子のリアル

『貧困女子のリアル』(沢木文[あや]著、小学館新書)を読みました。貧困女子のリアル

取材の対象となった11人はすべて30代で大卒・短大卒の女性。9人が未婚で独身、1人が離婚して独身、1人が専業主婦ですべてが子ナシ。

「ある時まで普通に生活をしていて、今も一見普通だけれども、実際は食べるものにも困るような生活をしている女性」(はじめに)です。貧困女子のリアルカバー袖「アラサー/アラフォーシングルの間でも広がっている貧困の実態に光をあてた、ほかに類を見ない本」と解説を書いている丸山里美・立命館大学准教授。

著者は彼女たちの貧困の背景に、非正規雇用、ブラック企業や男性社会でこき使われ、燃え尽きることがあることを指摘します。貧困女子のリアルオビ裏そして、「愛情や文化、キャリアというお金で買えないものの資源が薄いと、何かに依存して結果的に貧困になる可能性が高くなる」「社会構造の問題があることも忘れてはいけない」、と。

著者も解説も登場人物もすべて同世代。

激励ありがとうございます/いわき市民訴訟陳述集/内閣不信任案否決

「退院報告」ハガキを出してから、メール、電話、ばったり会ったりなど、激励の声をかけていただきまことにありがとうございます。陳述集きょうは高校時代によく寄った平(たいら)の本屋さんへ。さっそく目に入ったのは、「元の生活をかえせ・原発被害いわき市民訴訟原告団」意見陳述集『灰色の青い空』(原告団事務局;いわき市内郷御厩町[うちごう・みまやまち]3丁目101  いわき教育会館内 ℡ 0246(27)3322  Fax 0246(68)6771 )。陳述集・経過2013年3月11日に原告822人で提訴後、現在の原告団は子ども256人を含めて1574人。私も原告団の一員です。

本書は、2013年9月19日の第1回裁判から今年(2016年)3月23日の第16回裁判までの30人の陳述です。私の母(第2回)と義兄(第11回)も陳述しました。原発事故がもたらし、今に至るまで私たちを苦しめる現実、国・東電の無責任さを知ってください。家に戻って私も直ちに読み返しました。陳述集・主張国会では4野党が共同で安倍内閣不信任案を提出、共産党の志位和夫委員長は、安倍内閣の五つの大罪を示して糾弾(以下、「赤旗政治記者」ツイッターより)。

①憲法違反の安保法制・戦争法を強行し、立憲主義を根底から破壊しようとしていること、

②3年半にわたるアベノミクスが破綻し、日本経済と国民生活を深刻な危機に陥れていること、

③自ら賛成した「国会決議」すら無視したTPP協定を、力づくで押し通そうとしていること、

④福島原発事故が収束せず、今なお福島県全体で9万人を越える方々が避難生活を強いられているのに、原発再稼働と原発輸出への暴走を突き進んでいること、

⑤沖縄県民の意思を無視し新基地建設を押し付けてきたこと。

そのうえで、野党と市民の共闘を必ず成功させ、選挙に勝ち、自公を打ち倒し、憲法の平和主義・立憲主義・民主主義を貫く新しい政治を築くために、全力をつくす決意を表明し、安倍内閣の速やかな退陣を強く求めました。

不信任案は自民・公明とおおさか維新の会などの反対で否決されましたが、「虚構の多数」を頼みに暴走する政治を参院選できっぱり退場の審判を下しましょう!

憲法と政治/立憲主義を活かす市民に

『憲法と政治』(青井未帆著、岩波新書)を読みました。憲法と政治

政治や憲法を成り立たせている個人、自由、国家などの理解や社会のありようにさかのぼりつつ、政治が憲法を乗り越えようとする、ここ数年に私たちが目撃してきたさまを、安保・外交政策の転換を中心に追い(第1章)、憲法と政治・カバー袖

憲法九条のもとで展開した防衛法制という法のしくみのありようを確認し(第2章)、論理整合性の限界に達していると思われる問題領域の一端を見(第3章)、憲法と政治・オビ裏

そうしたなかで憲法九条を支えるものについて考察し(第4章)、安保関連法案の強行採決を振り返って国会の責務や役割を考え(第5章)、政治と法の関係を裁判所の役割という視点から問い直します(第6章)。

ともかく、「二〇一五年の安保関連法制は、憲法九条の下では成立する余地のない、『一見きわめて明白に違憲無効』の違憲の法律」です。私たちは、「憲法から自由な政治を許さない」として、権力の統制の問題に向き合い、「憲法で政治を縛る」立憲主義を活かす市民になりましょう!

夕陽妄語2/世紀末に考え、伝えようとしたこと

『夕陽妄語2 1992-2000』(加藤周一著、ちくま文庫)を読みました。夕陽妄語2「知の巨人」・加藤周一さん(1919~2008年)が「朝日新聞」に1984年から2008年まで、24年間にわたる長期連載した「短文」集全3巻の第2巻です。

たまたま第2巻だけが手元にあるので。それにしても、新聞に24年間も書き続けるには、加藤さんの文章を好む読者の支持がなければありえません。「知の巨人」が世紀末に考え、伝えようとしたことが詰め込まれています。

京大式 おもろい勉強法/「自由な学風」や「独創性」を貫き

『京大式 おもろい勉強法』(山極寿一[やまぎわ・じゅいち]著、朝日新書)を読みました。京大式著者は2014年10月から京大総長。「私を今回総長に選んだ教職員たちは、おそらく大学の自治とアカデミックフリーダム(学問の自由)を守りたいと考えたのではないでしょうか」というように、安倍政権のもとで大学をめぐる自治と自由が脅かされている背景が垣間見えます。京大式カバー袖本書はノウハウ本ではまったくありません。著者が「アフリカの人たち」や「京都の人たち」、「ジャングルの中で暮らすゴリラたち」から学んだ対話や対人関係の術(すべ)=対人力こそ、グローバル人材や国際的に通用する人材の育成につながる話。京大式オビ裏「野性的で泥臭い、ちょっと変わった」勉強法です。「自由な学風」や「独創性」を貫いてきた京大だからこそ、未来の社会に向けてできることはたくさんある、と。

障害年金というチャンス

『障害年金というチャンス!』([最強の社労士チーム]岩崎眞弓ほか著、中井宏監修、三五館)を読みました。障害年金障害年金は、病名に関係なく、障害状態が1年半以上続いていて、現状も日常生活に支障があれば、受給の対象になります。だれがいつなってもおかしない「うつ病、がん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、難病などもその状態によって支給されます。障害年金巻頭もちろん条件がありますが、課題や問題も。本書では、専門家である社会保険労務士たちが、障害年金を必要としている人たちのために、より早く、より正確に解説することで、役立つ本として企画されました。障害年金カバー袖障害年金という制度のすばらしさ、その制度の柔軟性、社労士という専門家の必要性を説明した前著『障害年金というヒント』と合わせ読むと、一歩踏み込んだ本書の位置がわかると思います。

本書全体を貫くテーマは「あきらめない!」

チャイルド・プア2 貧困の連鎖から逃れられない子どもたち/子どもたちが救われる社会を作るため

『チャイルド・プア2  貧困の連鎖から逃れられない子どもたち』(新井直之著、TOブックス)を読みました。チャイルド・プア2オビに「NHK報道番組の書籍化 シリーズ第2弾!」とあります。第1弾は特報首都圏「チャイルド・プア~急増 苦しむ子どもたち~」(2012年10月19日放送)の書籍化でした。チャイルド・プア2目次序章・第1章で2015年2月に発生した川崎・中1男子殺害事件を「子どもの貧困の象徴的な事件」としてその背景を紐解き、「見ようとしないと見えない子どもの貧困」を前著を踏まえて考えます。

第2~5章が2013年5月31日放送の首都圏スペシャル「逆境を生き抜け~急増“チャイルド・プア”闘う現場~」、これをリメイクした同年6月11日・地方発ドキュメンタリーの同名番組の取材から、東京都北区の銭湯を舞台に地域に根ざしたとりくみの書き下ろし。

第6章は札幌市の社会福祉法人が長い時間をかけて創り上げた、差別や偏見のない安心して暮らせる居場所づくりです。

「目指すべきは、良い番組を作って満足することではなく、1人でも多くの子どもたちが救われる社会を作ること」と言う著者たちスタッフの意気込みが伝わります。

国保都道府県単位化問題

『検証! 国保都道府県単位化問題』(寺内順子著、日本機関紙出版センター)を読みました。

1961年に国民皆保険の主軸制度としてスタートした国民健康保険が、2018年度からその保険者が都道府県と市町村になります。160518国保

市町村のみの単独運営だったこれまでの国保との最大の違いは、都道府県が国保財政を握ることです。

2014年に成立した医療介護総合確保推進法では、都道府県が地域医療構想(ビジョン)を策定し、医療提供体制の枠組みを決める権限を持たされました。

ねらいは明確です。医療費の大きなシェアを持つ国保を都道府県単位化することで、医療提供体制と医療費支払いをリンクさせ、「医療費適正化」という名の医療費の削減を、県にさせようとするしくみです。160518国保今後

もちろん、国民主権国家において、話はそう単純ではありません。住民の立場に立ち、命を守る役割を果たす自治体としての医療保険制度として国保を活かすかどうか、この2年、自治体職員とともに、都道府県ごとのたたかいが正念場となります。