地震・津波と原発震災/明らかな人災/政策転換

大地震・大津波と原発震災について、私は県議現職時、2005年2月議会(2月28日)の一般質問で聞いています。

「大地震や大津波があったときに、原発が大事故を起こして大量の放射性物質を外部にまき散らすことで、地震災害と大規模放射能災害とが増幅し合う人類未体験の破局的災害は何としても避けなければなりません」という質問でした。

東京電力の福島県議会担当者は議会傍聴席で聞いていたに違いありません。

このときに、大津波によって、取水できなくなることは想定されていたことがはっきりしていたのです(05年3月9日、企画環境常任委員会)。

このことは実は、05年2月2日に「原発の安全性を求める福島県連絡会」が東電、同21日に県と交渉したなかでわかっていました。県連絡会として、同年5月10日には、東電に対し、「チリ津波級の引き潮、高潮時に耐えられない東電福島原発の抜本的対策を求める申し入れ」をしていたのです。

06年3月1日には衆院予算委員会で、党の吉井英勝議員が、「最悪の場合、崩壊熱が除去できなければ、炉心溶融や水蒸気爆発、水素爆発とか、チェルノブイリに近いことを想定して対策をとらなければならない」と質問していました。

07年7月24日には、党福島県委員会・県議団・「原発の安全性を求める福島県連絡会」の連名で東京電力あてに、大津波が発生した場合、「冷却材喪失による苛酷事故に至る危険がある」として、福島原発の耐震安全性の総点検を求めていたのです。

今回は、非常用発電機が津波によって発電不能になり、原子炉の冷却ができなくなりましたが、まさに私たちが指摘したとおりになってしまったのであり、想定外なのではなく、指摘をかえりみなかった人災であることが明らかです。

これまでの原子力行政は転換し、原発の安全確保のための万全の体制づくり、新しい安全基準をつくり、全原発を総点検すると同時に、原発に頼らず、「再生可能エネルギーの開発と爆発的普及に力を尽くすべき」(吉井英勝著『原発抜き・地域再生の温暖化対策へ』新日本出版社、2010年10月刊)です。

税金の使い道をチェックできないオール与党―「かけはし」2月号

少人数の「つどい」の場でひざ詰めの話し合いをする機会があります。

「小名浜沖での人工島造りが続いているとは初めて知った」と話されるかたが意外と多いのです。

また、県議会が、日本共産党以外は知事の言うことにはなんでも賛成の「オール与党」であることも知られていません。

小名浜の人工島(小名浜港東地区人工島)は前県政時代の1994年度から造られ始めました。「大きな船を入れるため」「石炭をもっと多く荷揚げするため」が理由です。

総事業費は730億円で、前県政の13年間で212億円余りを使いましたが、「民主党県政」になったこの4年間で使ったのは232億円余りです。昨年度は1年間で104億円を使いました。

県内では、特別養護老人ホームに入所を希望して待機している高齢者が1万1000人余り、いわき市内だけでも1300人を越えています。

こうした待機者を解消するため、施設増設のためにこそ税金を使うべきだと思います。

そして高齢者が安心して老後を暮らせるように、せめて75歳以上のかたの医療費の窓口負担は無料にする、65~74歳のかたの医療費負担も軽減し、高齢者がお金の心配なく医療にかかれることにこそ、税金を使うべきだと思います。

また県内では、59市町村のうち42市町村では子どもの医療費が中学卒業まで無料です。県内のどこに住んでいようと、中学卒業まで医療費を無料にするために、県が追加支出する費用はあと10億円です。

子どもの医療のために10億円を使うことと、人工島を造るために100億円使うことと、どちらが県民の暮らしに役立つのでしょうか。

この一番大事なことチェックできない「オール与党」の議員が増えても、税金の使い方を変えることはできません。「暮らし最優先の県政へ」の願いを日本共産党に託してください。地方からごいっしょに政治を変えましょう。

(写真は福島県のホームページから)

高齢者の医療費負担軽減を県の責任で―「かけはし」1月号

年末も押し迫った昨年12月20日、厚生労働省の高齢者医療制度改革会議が、後期高齢者医療制度に代わる「新制度」最終案をまとめました。

後期高齢者医療制度について民主党は、09年の政権公約で、「国民を年齢で差別し、高齢者率が上昇するほど75歳以上の保険料負担が増える仕組み」だと規定し、「この制度を廃止」すると明確に述べていました。

「新制度」案では、75歳以上の現役サラリーマンと、サラリーマンの扶養家族を除いた大多数の高齢者を国民健康保険に加入させます。

しかも、現行の市町村国保とは別勘定の都道府県単位の制度の国保にします。

そして、高齢者に医療費の「1割相当」を負担させ、高齢者人口の割合がふえ、医療費がふえるにつれて保険料を値上げするしくみです。

なんのことはない、高齢者の医療費と負担を直結させ、“医療にかかりたいなら重い負担をがまんせよ”と迫り、75歳以上の高齢者を若い世代と分離して別勘定の制度に囲い込んだ後期高齢者医療制度のしくみそのものです。

民主党が「廃止」の対象として規定した後期高齢者医療制度の根本欠陥を、なんと「利点」として評価し、引き継ぐものにほかなりません。

しかも厚労省は、70~74歳の医療費の窓口負担を現在の1割から2割に倍増し、75歳以上の低所得者への保険料軽減措置の縮小もねらっています。

これに対して民主党のワーキングチームは、70~74歳の窓口負担は1割を維持し、保険料軽減の縮小には慎重な対応を求めました。

今年のいっせい地方選挙目当てに、根本的な公約違反には口をつぐみ、目の前の負担増にだけは異議を唱える民主党の堕落もきわまれり、というほかにありません。

私たちは、せめて75歳以上の医療費窓口負担を無料にすること、65歳以上の負担も軽減することを、県として実施するよう、みなさんと力をあわせます。

TPP参加絶対反対―「かけはし」12月号

「農家は自分の家で食べるもんだけつくっとけ、と言われているようだ」、「農家をつぶす気だ」、「政府に殺される」…。

11月28日と12月1日に平(たいら)の原高野(はらごや)と三和の農家で、TPPが話題になったときの話です。

 TPPは環太平洋戦略的経済連携協定のことで、「環太平洋パートナーシップ」の頭文字をとっています。

2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイが結んで発効した自由貿易協定で、「原則すべての関税を撤廃する」ものです。ここにアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの5カ国が交渉に参加しています。計9カ国。中国も韓国も入っていません。

9カ国のうち日本が二国間の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を結んでいるのは5か国、そしてペルーとは最終調整段階。

要するに日本がTPPに参加する意味合いは、アメリカとオーストラリアにあります。

 アメリカとオーストラリアは農産物の純輸出大国、日本は「農業鎖国」どころか、世界一の農産物輸入国です。農産物の平均関税率は韓国が62.2%、EUが19.5%などに対して日本は11.7%。そして食料自給率は40%。

 TPPへの参加によって食料自給率は13%に低下すると農林水産省が試算しています。

 日本国内でTPP参加を政府に迫っているのは財界です。民主党は財界とアメリカに忠誠を誓うというわけです。

9月14日に国連食糧農業機関が発表した世界の慢性的な飢餓人口は9億2500万人です。食糧増産こそ世界各国に求められています。

そして世界では、自国民のための食料生産を最優先し、食料・農業政策を自主的に決定する「食料主権」の確立を求める声が広がっています。日本もその方向にかじを切り替えるときです。

領土問題―「かけはし」11月

ロシアのメドベージェフ大統領の国後島の訪問は、大統領の「国内視察」などという問題ではありません。

日本の領土である千島をこれからも占領し続け、領有を固定化しようとする、大統領の意思表示であり、領土問題の公正な解決に反する行動と指摘しなければなりません。

 千島に関しては、1855年の日魯(にちろ)通好条約と1875年の樺太・千島交換条約で、南北千島全体が日本の領土として平和的に確定されました。

ところが、第二次世界大戦の終結時に、旧ソ連が「領土不拡大」の大原則を踏みにじって千島列島の獲得を企て、対日参戦の条件としてアメリカ、イギリスなどにこれを認めさせ、講和条約の締結も待たずに千島列島を自国の領土に編入し、しかもその際、北海道の一部である歯舞群島、色丹島までも編入したのです。

そしてアメリカは、サンフランシスコ平和条約第二条c項で、日本に千島列島の放棄を認めさせました。

これまでの自民党の「北方領土返還」の主張は、「千島列島は放棄したから返還は求めない。南千島(択捉、国後)と歯舞、色丹の四島は千島ではないから返還せよ」というもので、国際的に通用するものではありません。

この問題の解決のためには、千島放棄条項を不動の前提とせず、第二次世界大戦の戦後処理の不公正をただす立場に立って、領土交渉をすべきです。

 尖閣諸島の問題では、なにより、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国に対して、理をつくして主張することです。

1895年1月14日の日本政府による閣議決定が、尖閣諸島に対する最初の領有行為でした。これ以来、中国側は75年間、一度も抗議をしていなかったのです。

日中国交正常化以来、歴代の日本政府が、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったことが問題です。

消費税はほんとうに必要? かけはし10月号

消費税資料

参院選直後の国会で、自民党の谷垣禎一総裁は、「(消費税増税が)取り上げられなくなったら不幸だ」とけしかけ、菅総理は「一歩も引くつもりはない」と応じました。

もともと「福祉のため」といって消費税が導入されて21年。社会保障は悪くなるばかりでした。

この22年間、国民が払った消費税は224兆円ですが、法人税の減収は208兆円です。まるっきり法人税減収の穴埋めが消費税です。

しかも、消費税が5%に引き上げられて以降も大企業への各種優遇税制が拡充され、大企業の実際の法人税負担率は三○%程度です。ソニーは13%、住友化学は17%です。

大企業のため込み金は08年から09年の1年間だけで11兆円も増え、244兆円です。

働く人たちはどうかといえば、大企業を中心に正社員を減らして非正社員におきかえ、正社員の賃金も抑制するリストラを進めましたから、給与は減る一方。

中小企業は7割が赤字決算を余儀なくされ、法人税は払えません。しかも一定の所得までは軽減税率(18%)が適用されるので、法人税の基本税率(30%)引き下げで恩恵を受けるのはもっぱら大企業です。

今こそ、大企業本位から暮らしと中小企業優先へ、日本丸のかじを大きく切るときです。

プルサーマル撤回を

先日、「日々の新聞」に書いた文章をベースに通信「かけはし」の文章を書きました。

県民の声をまともに聞くこともせず、知事は福島の原発でのプルサーマルを受け入れました。

昨年7月、ほぼ4年ぶりに再会された福島県エネルギー政策検討会で、「検討の過程においては、県民からの意見の聴取にも努める」としていたにもかかわらず、です。

 私は、1998年に全国で初めてプルサーマル導入を事前了解した福島県が、「白紙撤回」した背景が重要だと思います。県エネルギー政策検討会の「中間とりまとめ」(02年9月)は、「国策として一旦決めた方針は、国民や立地地域住民の意向がどうあれ、国家的な見地から一切変えないとする一方で、自らの都合により、いとも簡単に計画を変更する…ブルドーザーが突進するような進め方は…地域の存在を左右する」と指摘しています。

この検討会は01年5月21日に設置が決められ、5月31日には「県民の意見を聴く会」が開かれ、6月12日に第1回の会合後、02年1月7日の第11回の会合では、「中間とりまとめ」の土台となるおもな論点が整理されました。

その後、02年8月5日の原子力委員会との意見交換会や、8月29日に公表された「原子力発電所における自主点検作業に係る不正問題」を受け、9月19日に「中間とりまとめ」がまとめられました。

不正問題については、「検討会で指摘してきたことがまさに現実の問題として顕在化したもの」としています。

この経過を見ても、不正問題があったからプルサーマルの「白紙撤回」があったわけではないことがわかると思います。

そして「検討会で指摘してきたこと」には、プルサーマルを含めた核燃料サイクルに対する根本的疑問があるのです。

県によるこの問題提起には、八割近い県民が賛意を示していました(03年度「県政世論調査」)。

県自身が提起した疑問がいっこうに解消されないままのプルサーマル導入は撤回すべきです。

プルサーマル/「市は市民の立場で臨むべき」

以下は、「日々の新聞」8月31日号に、福島県知事によるプルサーマル受け入れ表明にかかわり、「いわき市原発の安全性を求める会代表」として掲載された一文です。

私たちは8月19日、市長に対し、「プルサーマルの受け入れを表明した福島県知事に対し、『十二分の説明』を求めるとともに、実施中止を求める」要請をしました。

これは、6月市議会の質疑で市長が県によるプルサーマル導入に関しての所見を求められ、“プルサーマルをオーケーと言った時点で県には十二分に説明責任がある。説明については県に求めたい”との趣旨の答弁を受けての要請です。

プルサーマルは、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムをウランと混合したMOX燃料を、ウラン燃料を使うことしか想定していなかった通常の原発で使います。

プルトニウムはウランよりもはるかに放射性毒性が強く、きびしい放射線安全管理が必要な物質です。炉内での燃料損傷、原子炉制御への影響、冷却水喪失事故・炉心暴走事故などに関する実証的検証がこれまで以上に必要なはずです。

チェルノブイリ原発事故では、高濃度汚染地域が半径270kmに達したと言われます。いわき市は、原発立地町の隣接自治体です。他人事ではすまないはずで、市民の安全と安心に責任をもつ自治体として、主体的にかかわるべきだと思います。

私は、全国で初めてプルサーマル導入を事前了解した(1998年)福島県が、「白紙撤回」した背景が重要だと思います。福島県エネルギー政策検討会の「中間とりまとめ」(02年9月)は、「国策として一旦決めた方針は、国民や立地地域住民の意向がどうあれ、国家的な見地から一切変えないとする一方で、自らの都合により、いとも簡単に計画を変更する…ブルドーザーが突進するような進め方は…地域の存在を左右する」と指摘しています。

この検討会は01年5月21日に設置が決められ、5月31日には「県民の意見を聴く会」が開かれ、6月12日に第1回の会合後、02年1月7日の第11回の会合では、「中間とりまとめ」の土台となるエネルギー政策検討にかかるおもな論点が整理されていました。

その後、02年8月5日の原子力委員会との意見交換会や、8月29日に公表された「原子力発電所における自主点検作業に係る不正問題」を受け、9月19日に「中間とりまとめ」がまとめられました。

不正問題については、「これまでのエネルギー政策検討会で指摘してきたことがまさに現実の問題として顕在化したもの」としています。

そして「検討会で指摘してきたこと」には、プルサーマルを含めた核燃料サイクルに対する根本的疑問があるのです。その疑問がいっこうに解消されないままのプルサーマル導入受け入れに対し、市は市民の立場で臨むべきです。 

新しい政治の探求(「かけはし」7月号)

   参議院議員選挙でみなさんにご支援いただきながら、日本共産党は、比例代表では改選4議席から3議席に後退し、東京選挙区で小池あきら候補の議席を得られませんでした。残念でなりません。

 多くのみなさんからのご支援を、議席と得票に結びつけられなかった共産党の力不足はおわびするほかにありません。

  それにしても、今回ほど、有権者のみなさんが悩みに悩み、模索するなかでの選挙はなかったのではないか、と思います。

 街頭や商店街などで対話をすればするほどその思いを強くしました。

 「ウソつき政治をされては、選挙そのものに疑問を持つ人も出てくる。有権者の質も試される時代に入った」

「今度は民主党にぜったい投票しない。かといって、新党もボコボコ生まれ、どこに投票したらいいのかわからない」。

 消費税増税が「唐突」に菅総理から出されたあとは、「民主党も庶民の暮らしをまったく知らない。信用ならない」

「自営業だが、消費税をお客さんに負担してはもらえない。5%でもたいへんな思いをしている」

「志位さんが、消費税が大企業減税の穴埋めでしかないと言っていた。それが真実じゃないか」

 普天間基地の問題では「アメリカとちゃんと向き合って交渉すべき。沖縄の人たちが気の毒だ」

 「共産党が言っていることがいちばんまともだと思う」

「共産党以外の党が話を聞きに来たり、街頭で訴える姿を見ることがない。それなのに、なぜ自民か民主か、なのか」

「自民にもどることはないが、民主はもっとひどい。選挙には行くまいとも思ったが、話を聞いてそういうわけにはいかなくなった」

  自民党政治に代わる新しい政治を、みなさんといっしょに探求したいと思います。

普天間基地解決の道(「かけはし」6月号)

民主党としての公約反故

5月28日、日米両政府が普天間基地の沖縄県内移設と全国へ米軍の訓練を拡散する日米合意をかわしました。

鳩山首相が辞任を表明したのはその5日後です。

辞任の理由に普天間問題をあげたものの、「名護市辺野古移設」を撤回しませんでした。

この日米合意は、菅首相になったからといってなくなるわけではありません。民主党とその政権が進めたものだからです。

民主党は旧自公政権が結んだ米軍再編計画について「見直しの方向で臨む」としていたのです。

ところが民主党政権下の日米合意では、旧自公政権時の「再編案を着実に実施する決意を確認した」のですから、党として公約を完璧なまでに反故にしたのです。

生活の場だった「普天間基地」

 普天間基地の場所にはかつて、民家も、村役場も、国民学校も、郵便局も、墓地も、サトウキビをしぼって黒糖をつくる製造所もあった生活の場だったそうです。

 1945年3月下旬、アジア・太平洋戦争の末期、米軍が上陸し、地上戦が始まりました。住民は収容所に強制的に収容され、同年6月、日本本土を攻撃するために建設されたのが普天間基地です。

 基地は、サンフランシスコ条約が締結された1951年以降も、米軍が銃剣とブルドーザーによって、抵抗する住民を強制的に排除し、さらに拡張されました。

無条件撤去が解決の道

 ハーグ陸戦法規では、戦闘状態でも、敵国の民衆の財産権は侵害しない、戦闘が終わったらすみやかに返還するべき、と規定しています。

 普天間基地は、この戦争法に反し、米軍が住民の土地を強奪してつくった基地です。返すのが当たり前で、返すのに条件をつけるほうがおかしいのです。

 だから、無条件撤去こそが普天間基地解決の唯一の道です。