プルサーマル/「市は市民の立場で臨むべき」

以下は、「日々の新聞」8月31日号に、福島県知事によるプルサーマル受け入れ表明にかかわり、「いわき市原発の安全性を求める会代表」として掲載された一文です。

私たちは8月19日、市長に対し、「プルサーマルの受け入れを表明した福島県知事に対し、『十二分の説明』を求めるとともに、実施中止を求める」要請をしました。

これは、6月市議会の質疑で市長が県によるプルサーマル導入に関しての所見を求められ、“プルサーマルをオーケーと言った時点で県には十二分に説明責任がある。説明については県に求めたい”との趣旨の答弁を受けての要請です。

プルサーマルは、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムをウランと混合したMOX燃料を、ウラン燃料を使うことしか想定していなかった通常の原発で使います。

プルトニウムはウランよりもはるかに放射性毒性が強く、きびしい放射線安全管理が必要な物質です。炉内での燃料損傷、原子炉制御への影響、冷却水喪失事故・炉心暴走事故などに関する実証的検証がこれまで以上に必要なはずです。

チェルノブイリ原発事故では、高濃度汚染地域が半径270kmに達したと言われます。いわき市は、原発立地町の隣接自治体です。他人事ではすまないはずで、市民の安全と安心に責任をもつ自治体として、主体的にかかわるべきだと思います。

私は、全国で初めてプルサーマル導入を事前了解した(1998年)福島県が、「白紙撤回」した背景が重要だと思います。福島県エネルギー政策検討会の「中間とりまとめ」(02年9月)は、「国策として一旦決めた方針は、国民や立地地域住民の意向がどうあれ、国家的な見地から一切変えないとする一方で、自らの都合により、いとも簡単に計画を変更する…ブルドーザーが突進するような進め方は…地域の存在を左右する」と指摘しています。

この検討会は01年5月21日に設置が決められ、5月31日には「県民の意見を聴く会」が開かれ、6月12日に第1回の会合後、02年1月7日の第11回の会合では、「中間とりまとめ」の土台となるエネルギー政策検討にかかるおもな論点が整理されていました。

その後、02年8月5日の原子力委員会との意見交換会や、8月29日に公表された「原子力発電所における自主点検作業に係る不正問題」を受け、9月19日に「中間とりまとめ」がまとめられました。

不正問題については、「これまでのエネルギー政策検討会で指摘してきたことがまさに現実の問題として顕在化したもの」としています。

そして「検討会で指摘してきたこと」には、プルサーマルを含めた核燃料サイクルに対する根本的疑問があるのです。その疑問がいっこうに解消されないままのプルサーマル導入受け入れに対し、市は市民の立場で臨むべきです。 

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