領土問題―「かけはし」11月

ロシアのメドベージェフ大統領の国後島の訪問は、大統領の「国内視察」などという問題ではありません。

日本の領土である千島をこれからも占領し続け、領有を固定化しようとする、大統領の意思表示であり、領土問題の公正な解決に反する行動と指摘しなければなりません。

 千島に関しては、1855年の日魯(にちろ)通好条約と1875年の樺太・千島交換条約で、南北千島全体が日本の領土として平和的に確定されました。

ところが、第二次世界大戦の終結時に、旧ソ連が「領土不拡大」の大原則を踏みにじって千島列島の獲得を企て、対日参戦の条件としてアメリカ、イギリスなどにこれを認めさせ、講和条約の締結も待たずに千島列島を自国の領土に編入し、しかもその際、北海道の一部である歯舞群島、色丹島までも編入したのです。

そしてアメリカは、サンフランシスコ平和条約第二条c項で、日本に千島列島の放棄を認めさせました。

これまでの自民党の「北方領土返還」の主張は、「千島列島は放棄したから返還は求めない。南千島(択捉、国後)と歯舞、色丹の四島は千島ではないから返還せよ」というもので、国際的に通用するものではありません。

この問題の解決のためには、千島放棄条項を不動の前提とせず、第二次世界大戦の戦後処理の不公正をただす立場に立って、領土交渉をすべきです。

 尖閣諸島の問題では、なにより、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国に対して、理をつくして主張することです。

1895年1月14日の日本政府による閣議決定が、尖閣諸島に対する最初の領有行為でした。これ以来、中国側は75年間、一度も抗議をしていなかったのです。

日中国交正常化以来、歴代の日本政府が、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったことが問題です。

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