知事申入れ文書準備

来週28日木曜日には、6月議会を前にした各会派による知事申入れがあります。

私とあべさんは今週の19日(火)~21日(木)と県外調査に出ていて、きのうが政調会、週が明けると残る3人は各常任委員会の県外調査が25日(月)~27日(水)と入るため、5人がそろっているきょうに申入れ文書を固めよう、ということにしました。

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きのうのうちに大項目だけは立てておき、分担を決め、けさから作業に入りました。

例によっておのおのが分担した大項目について要望項目を文章化し、それらをあわせて打ち出してみんなで検討し、また手を入れ…といった作業を繰り返しました。

午後6時過ぎにはほぼ、形になったと思います。

25日(月)には原発関係の党内の会議があるので、その会議での議論をふまえ、最終決着を図る予定です。

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きょうは宮本さんの誕生日で、昼食後、ささやかに誕生パーティです。

6月議会へ向けた政調会/「自主避難者」への住宅提供継続の申入れ

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6月議会(6月16日~7月1日予定)へ向けた政調会がありました。

今年度から、それまで生活環境部内だった消防保安、災害対策、原子力安全対策に関する実務と、知事直轄であった総合安全管理課を統合して危機管理部ができ、こども未来局(保健福祉部)の新設など組織改編後では初めてです。

当局側は、各会派をまわることになり、私たちは午前中、生活環境部、総務部、午後から警察本部、保健福祉部・こども未来局、危機管理部、企画調整部・原子力損害対策担当・避難地域復興局・文化スポーツ局、商工労働部・観光交流局、農林水産部、土木部、教育庁の順に説明を受け、質疑しました。

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全体では60億円を超えるぐらいの補正予算になりそうです。

私は、「マイナンバー」導入に伴う個人情報保護条例の改定での個人情報の取り扱い規定の中身、知事が県の実情や復興の正確な情報発信のためにスイス・イギリスを訪問するにあたっての具体的目的、イノシシの捕獲計画の実効ある手だて、介護従事者確保策、地域医療構想策定スケジュールと諸計画との整合、子どもの貧困対策計画、「自主避難者」を避難を余儀なくされた県民として支援を継続すること、3・11後の月命日での行方不明者捜索状況、昨年の警官自殺原因究明と職場環境改善対応などについてただしました。

また、今年度を「復興の序章から新たなステージへと進めていく年」という言い方は、家族生活再生そのものがこれからの避難者をはじめとした県民、序章がこれからの避難自治体があるなかで、「序章は今年度まで」と受け取られかねないと注文をつけました。

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終えてから、知事あてに、「自主避難者への住宅提供を終了せず、継続する被害に見合った対応をするよう求める緊急申し入れ」をしました。

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県として来年度で終了する方針を固め、市町村と調整に入った、との報道があり、県議団として政調会でただしたところ、そうした事実はないとのことですが、文字に残す申入れは必要と考えました。

名古屋観光コンベンションビューロー/福島から世界人類の未来への発信の重要性

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県議会企画環境常任委員会の県外視察3日目の最終日は、名古屋市の指定管理者として名古屋国際会議場を運営する名古屋観光コンベンションビューローをたずねました

原発震災から5年目に入っている福島県議会としても、原発事故による際限のない被害の広がり、その現実から引き出す教訓、原発の存在の是非を含めた検討の必要性を世界に伝えるための国際的な話し合いの場の設定は大きな課題として認識しています。

そうした問題意識から、視察地域の関係もあり、名古屋での国際会議誘致などについてのとりくみについての調査です。

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福島県とはその条件も大違いですが、誘致にあたっての事前の情報収集、誘致地域としてのプレゼンテーションは並みの努力ではなさそうです。

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これまた福島とは違いますが、名古屋として、東京、大阪、京都といった世界的に知名度の高い都市ではないことから、そもそも名古屋はどういう都市か、を知ってもらうのがプレゼンテーション以前の苦労だそうです。

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ともかく、フクシマは原発事故により世界に知られました。原発の是非や防災に関する世界的教訓を発信する重要な県になってしまったことは間違いありませんから、世界人類の未来のために、確かな道を発信する重要性と必要性があります。

豊田PCB処理事業所・とよたエコフルタウン/操業停止8か月の対策/高齢社会の「移動の足」

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県外調査2日目は愛知県豊田市に移動です。

「中間貯蔵・環境安全事業(株)」の「豊田PCB処理事業所」、そして市内の「とよたエコフルタウン」をたずねました。

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PCB処理事業所はもともと環境省所管の特殊会社として2004年に設立された「日本環境事業(株)」の全国5か所の事業所のひとつですが、昨年(2014年)の法改定によって上記社名に変更されました。

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PCB廃棄物処理の安全確保対策と情報公開の説明を受け、私としては、「こうして安全は確保されている、と説明されると強い疑問が生じる」と断って、この事業所操業後の今後に生かすべきトラブルなどについて聞きました。

操業直後に8か月間の操業停止に至るPCB漏えいを受けた対応、この事業所に限らない全国事業所の情報公開の対応をしている、とのことです。

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エコフルタウンについては、豊田市役所職員、エコフルタウン職員から説明を受けました。

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私の問題意識としては、「環境・超高齢化対応等に向けた、人間中心の新たな価値を創造する」としている高齢社会における「移動の足」にあって、質問もしましたが、中心的課題とは位置づけられていないようでした。

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天竜区のNPO法人「夢未来くんま」/女性が中心の村おこし

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県議会企画環境常任委員会の県外調査初日は、静岡県浜松市天竜区熊(くんま)のNPO法人「夢未来くんま」をたずねました。

法人役員の金田三和子さん、大平展子さんからくんま「村おこし」のあゆみとして、その経緯と挑戦の意気込みを聞き、そして食事処「かあさんの店」、物産館「ぶらっと」、体験工房「水車の里」の施設を案内していただきました。

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この熊地区は昔の宿場町としての面影が感じられますが、1955年には2,500人強の人口が1986年にはほぼ半減で1,200人ほど、今では700人強です。

ここで女性たちが中心となって「村おこし」が始まったのでした。

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この地域での食文化を通して山村の生き方を問い直そうと、1985年に「明日の熊を語る会」開催から30年、翌86年には熊地区全戸が加入する「熊地区活性化推進協議会」が設立され、87年には31人で「くんま水車の里」グループが誕生、88年には「村おこしくんま水車の里」が竣工、「くんまかあさんの店」もオープンしました。「水車の里」が95年に「道の駅」に認定されてから20年です。

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私はその話を聞きながら、以前に読んだ『食と農でつなぐ 福島から』(塩谷弘康・岩崎由美子著、岩波新書)で描かれた「かーちゃんたちの生きかた」を思い起こし、農村女性が中心となった村おこしの当初の苦労を聞いたのでした。

その本のことは触れずに聞いたのですが、著者である岩崎さんが最近もここをたずねてきていたそうです。

ともかく、人口減と高齢化による「危機」をあおるのでなく、こうした営みを支える行政施策の展開が必要です。

定時定点2か所/福島第一原発視察/国の姿はまったく見えず/福島の未来にかかわる作業

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けさは定例の「定時定点」を地元の党支部・後援会の5人のみなさんと2か所で。

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出勤されるみなさんからクラクション、手を振ってくれての声援、「ご苦労さま」と会釈していってくれるかたがた(主観で判断)、いつもほんとうにありがとうございます。

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きょうは福島第一原発の視察です。

県議団としてとりくみ、真島省三・島津幸広両衆院議員、渡辺ひろゆき・いわき市議、随行の斎藤紀(おさむ)医師含め、24人の視察団でした。

視察ルートは、こちらの要望も伝えつつ、JヴィレッジでのWBC(ホールボディカンウター)受検後に福島第一原発へ入り、防護品装備を着用し、専用の移動用バスに乗り込んでの視察です。Jヴィレッジでは東京電力福島復興本社の石崎芳行代表から視察団としてあいさつを受けました。

重要免振棟では前回同様、中学時代の同期生と言葉を交わしました。

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免振棟を出てからは、高性能多核種除去設備内に入って説明を受け、増設多核種除去、乾式キャスク仮保管設備、サブドレン浄化設備を車内で案内を受けながら通り、H2・H4タンク群前で降車し現場視察後、敷地内のちょっとした高台から1~4号機外観、4号機建屋前・凍土遮水壁工事現場・4号機前の共用プールを車内から見て、あの3・11時に機能した5・6号機脇の非常用ディーゼル発電機建屋をまわって海側施設、そして外部電源が断たれた夜ノ森線鉄塔倒壊現場を見てまわりました。

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Jヴィレッジにもどってからは、救急医療グループの事務幹部(ジェネラルマネージャー)と懇談し、質疑応答。救急医療に限らず、労働者の低線量被曝にかかわる健康管理や疫学的統計管理などについても話は及びましたが、そこまでの目配りはできていない印象です。

それに、「東電視察」とはいえ、現場のどこでも国の姿はまったく見えず、「国が前面に立つ」というのが口先にすぎないことがよくわかります。

ともかく、ここでの廃炉作業・汚染水対策作業がこれからの福島の未来にかかわることは間違いありません。そうした目で、引き続き監視し、提言し続けないとなりません。

あしたから3日間、県議会常任委員会での県外調査で静岡県・愛知県へ出かけてきます。

後援会まつり/応援した議員選挙全勝でいよいよ/紙参院議員/歌も披露/医師から激励

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いわき・双葉地区日本共産党後援会の「後援会まつり」がありました。

紙智子参院議員が駆けつけてくれました。

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今年の秋にある福島県議選でいわきの宮川さんと私の2議席、広野町議選での畑中ひろ子さんの議席を守り抜き、来年参院選比例でいわぶち友さんを国会へ送り出す決意を後援会として固める場としての開催です。

秋の選挙を控える候補としての「決意表明」なるものをしました。前回県議選後、2013年4月には島根原発をかかえる島根県松江市議選、電力の最大消費地の都議選を前にした5月に江東区、そして都議選が始まった6月に世田谷区、11月には3か月後に選挙を控え、島根原発から17~25km圏内にすっぽり入る鳥取県境港市、そして今年3月には県議選・市議選を前に、「原発銀座」をかかえる福井県の福井市、4月には県議選本番の佐賀県で玄海原発をかかえる選挙区に応援に行き、議員選挙では全員当選の「全勝」で、いよいよ私の番だ、という話です。

紙さんがたった30分間で、戦争立法やTPPを含め、国政上の重要課題と共産党が果たしている役割について、明快に語ってくれました。

150517後援会・むとう雅子さん

後援会の企画ということもあり、市内各地からほんとうに様ざまなかたがたが舞台にあがってくれました。

150517後援会・乾杯・高木勝美さん

住まいがある地元でギター教室を主宰している先生の伴奏で歌まで披露させていただきました。どうですか、この先生の表情。長渕の「乾杯」最後の「君にしあわせあれ」のリピートです。

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会場内を歩いていると、歌はほめられるし、先日の医療生協支部での勉強会での話が広まっているみたいで、「こっちでも頼みたい」と声をかけられたりして、天候は最高だし、そのうえ、たまたま散歩していた高校同期の会場近所の医師からも激励され、いい一日でした。

安倍医療改革の歴史的危険性/皆保険体制の解体を押しとどめる

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『安倍医療改革と皆保険体制の解体』(岡崎祐司・中村暁・横山壽一・福祉国家構想研究会編著、大月書店)を読みました。

ここでいう「皆保険体制」は、たんに強制加入ということだけでなく、「国民みんなが保険証を渡されていて、自分で必要と思うときには隣の県の病院でも、自分で選んで受診することができ、しかも、保険がきかない治療は原則として存在せず、さらに、医者が必要と考えて本人も納得する治療は上限なしに保険給付がなされる」という内容をもった保険のことです。

そもそも自民党政権は、憲法25条に基づく社会保障の「向上及び増進」義務を怠り、とりわけ1980年代以降、皆保険体制は大きく歪(ひず)まされてきました。

「安倍政権は、皆保険体制の歪みの拡大という域を超え、皆保険体制そのものに総攻撃をあびせ、その解体に乗り出してい」ます。

本書は、「安倍医療改革の歴史的危険性について強く警鐘を鳴らすことを目的」として書かれました。

私たちとしては、皆保険体制の解体を押しとどめるためにも、「健康の自己責任論」に対して「社会的責任論」を対置すること、公的保障を抜きにした「選択の自由」と対抗し克服すること、政府がめざす、誰も責任をとらない無責任な「地域包括ケア」ではなく、住みつづける権利の保障を位置づけ、真の地域包括ケアのあり方を対峙し、権利性と市場化・営利化は相いれないことを明らかにすることが、きわめて重要です。

四倉で街宣/どこでも出てきてくれる人/戦争立法を葬り去ろう!

150516四倉・クロマツ前

四倉地域で党支部・後援会の2人と6か所の街頭から訴えて歩きました。

何度目かになる災害公営住宅では、話し始めると、玄関から出てきてくれる人、ベランダに出てきてくれる人。それぞれが最後まで聞いてくれ、話し終えると拍手。ベランダでの拍手は団地中に響き渡るようでした。

150516四倉鬼越仮設前

別の場所では、家から車で出かけようとしたご夫妻がそろって手を振り続けてくれました。

話し終えるや玄関がスッと開き、手を振って「がんばって!」と声をかけてくれるかた。

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スーパー前でも駐車場へ入る車からのクラクション、自転車でやってきたかたが宣伝カーの前にとまって「がんばってよ」と。

どこでも出てきてくれる人がいて、「共産党! がんばってくれ!」と、期待の強さを感じます。

なんとしても安倍暴走政権をストップさせ、戦争立法を葬り去らなければなりません。

「人権保障としての医療・介護へ」レジュメ

先日、浜通り医療生協の支部総会後の勉強会に準備したレジュメを掲載します。

「憲法にそむく政府がえがく社会保障」に関しては、自治体研究社『地域医療を支える自治体病院』の伊藤周平・鹿児島大学教授の文章、「人権保障としての社会保障再生へ」の「介護での当面するいわき市に対する私たちの要求」に関しては、同じく『改定介護保険法と自治体の役割』の日下部雅喜・大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員の文章を大幅に参照させてもらっています。

憲法に関しては、この10年間ほどの私の憲法学習の蓄積と思ってもらえるとありがたいです。「私たちがめざす社会保障原則」や「国に対する要求」は全日本民主医療機関連合会(民医連)のここ10数年来の諸文書を参照しています。

要するに、私がここ10数年間に学んだパッチワーク作品です。14ページにわたる資料は割愛です。

人権保障としての医療・介護へ

一 憲法がえがく社会保障の姿

Ⅰ 権利としての社会保障
憲法第25条「①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」
「最低限度の生活」とは、「日本の経済に見合った豊かな質と文化、それに見合った十分な生活」がその中身・水準です。
第一項が人権宣言で、第二項が一項の権利に対応した国の責務です。
社会保障は、この憲法25条を根拠にしており、疾病、高齢化、失業、障がいなどの生活上の問題は、社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生、老人保健など社会保障の諸制度によって保障されるのです。

Ⅱ 「不断の努力」があって初めて「権利」
「権利」について憲法はどう語っているでしょうか?

憲法第11条「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」
なぜかというと、
憲法第97条「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」だからです。
だからこそ、
憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とされ、
憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とされます。
だからといって国民が黙っていても権利が保障されるわけではなく、
憲法第12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」
なぜなら、国民の不断の努力がなければ、権力は人権を侵害するからです。
その証拠に、社会保障の水準は、その時どきの権力者と国民の運動との力関係で前進もし、後退もしてきました。
国には社会保障の水準を「向上及び増進」(25条)させなければならない責務があるのに、その水準を「低下及び減退」させているのは、憲法違反ではありますが、権力者の力に国民の運動の力が押されているからにほかなりません。
「あなたまかせ」「行政まかせ」の意識がいちばんよくありません。

Ⅲ 平和と不可分な関係の社会保障

毎年5兆円近い税金がつぎ込まれている日本の軍事をめぐって話題が尽きません。とりわけ今、昨年7月の集団的自衛権行使容認を前提に、海外のどこの戦闘地域でも自衛隊が武器の使用ができる戦争立法化作業が進められています。
いったい、日本はどんな「国のかたち」をめざしているのでしょう?

憲法前文「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」
「恐怖」とは、専制・暴虐・抑圧・暴力などをさし、その最大のものは戦争です。
「欠乏」とは、餓え・渇き・病・衰弱・極貧など、「貧しさ」をさします。
日本の国づくりの方向は、これらの「恐怖と欠乏から免れ」ることであり、その国家のいちばん大事な仕事は「平和のうちに生存する権利」を保障することです。
だからこそ、
憲法第9条「①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」
と、世界に約束し、これとあわせて憲法第25条を用意したのです。
すなわち、第9条の平和理念(恐怖から免れる)と第25条の福祉理念(欠乏から免れる)は不可分であり、日本の国のかたちは「平和・福祉国家」です。

二 憲法にそむく政府がえがく社会保障の姿

公的責任を限りなく縮小して自己責任にゆだねる「社会保障」

・ 2012年8月22日 消費税増税法とともに社会保障制度改革推進法成立
○ 「安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図る」(第1条)
・ 2013年8月6日 社会保障制度改革国民会議「確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋」(「国民会議報告書」)
○ 社会保障の中心を社会保険に置き、社会保険制度の特徴を「保険料を支払った人にその見返りとして受給権を保障する仕組み」
○ 「高度急性期から在宅医療までの一連の流れ、容態急変時に逆流することさえある流れにおいて、川上に位置する病床の機能分化という政策の展開は、退院患者の受入れ体制の整備という川下の政策と同時に行われるべきであり、川上から川下までの提供者間のネットワーク化は新しい医療・介護制度の下では必要不可欠となる」
・ 2013年12月5日 「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(「プログラム法」)
○ 政府の役割は、「個人の選択を尊重しつつ、個人の健康管理、疾病の予防等の自助努力が喚起される仕組みの検討等を行い、個人の主体的な健康維持増進への取組を奨励」(第4条2項)し、「個人の選択を尊重しつつ、介護予防等の自助努力が喚起される仕組み等の検討等を行い、個人の主体的な介護予防等への取組を奨励」(第5条1項)すること。
(1997年成立の介護保険法にはすでに「国民は、自ら要介護状態になることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする」(第4条1項)と国民の健康保持増進義務を定めていた)
(ちなみに今回、医療法にも「国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携の重要性について理解を深め、医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない」(第6条の2)と国民の責務が定められた)
○ そのうえで、医療提供体制、医療保険制度・保険料、医療保険給付、介護保険制度の「医療と介護の一体改革」の「プログラム」を示した。
(なお、法成立の翌日12月6日には改定生活保護法・生活困窮者自立支援法・特定秘密保護法が成立)
プログラム法に基づき、2014年~2017年にかけ、順次、社会保障制度改革のための関連法案が国会提出
・ 2014年6月18日 医療法、介護保険法、保健師助産師看護師法、歯科衛生士法など19本を一括した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(「医療・介護総合法」)がプロクラム法具体化第一弾として成立
・ 2014年6月24日 安倍政権は「経済財政運営と改革の基本方針2014』(「骨太の方針」)を閣議決定し、社会保障費について「いわゆる『自然増』も含め聖域なく見直し、徹底的に効率化・適正化していく」と抑制方針を明記し、消費税増税と社会保障費削減の両面政策宣言。
・ 同日閣議決定した「規制改革実施計画」では、「患者申出療養」創設を打ち出し、なし崩し的な混合診療拡大の方向。
・ 2015年3月3日 国民健康保険法、健康保険法、高齢者医療確保法などを一括した「医療保険制度改革関連法案」を閣議決定。4月14日に衆院本会議趣旨説明、17日から委員会審議、24日に委員会可決(自民、公明、維新)、28日に衆院本会議可決(自民、公明、維新、次世代)。

三 人権保障としての社会保障再生へ

Ⅰ 医療・介護要求の特徴と私たちがめざす社会保障原則

医療・介護に対する要求は、ほかのサービスと比較して、多くの特殊的な特徴を持っています。
① 1人ひとりの個別性が強く、画一的に扱うことは困難なこと
② 健康促進・予防・治療・リハビリテーションという総合的な内容をもつこと
③ いつどこで病気になるか不安であり、いつでもどこでも対応できることが必要なこと
④ 支払い能力とは関係なく病気になりうるので、支払い能力に応じて治療を受けるという商品経済・市場原理が働きにくいこと
⑤ 患者本人が判断しづらく、専門家を通じて判定されること
⑥ 対象が人間であり、個人の尊厳が尊重されなければならないこと
などです。
したがって、医療・介護は、基本的人権の尊重を基礎に、すべての人を対象とし、非営利的で社会的に共同で利用・消費する公共性をもっており、その保障は社会保障の重要な構成部分です。

そこで私たちは、つぎの社会保障原則を提示します。
① 医療・介護は、国民の基本的権利であり、国の義務であることを、実施通達まで明確に定めること
② いっさいの差別を許さず、公平・平等に保障されること。保健・予防を含めた包括的で最善の水準が、地域にへだたりなく提供されること
③ 財源は国と企業の責任でまかない、受療に必要な費用は原則無料とすること。負担を求める場合には、保険料・窓口負担などに減免制度を充実させ、応能負担原則を貫くこと
④ 制度の運営と管理を公開し、民主的に行なうこと。地域住民、関係団体、労働団体の運営への参加を保障すること。
⑤ 従事者の養成に国が責任をもつこと。医療・介護報酬は安全で安心なサービスの提供と関係機関の経営を保障するものであること

Ⅱ 国に対する私たちの要求

① 「必要な医療・介護が公的保険で受けられる」国民皆保険の本質を守り、充実させてください
② 安全・安心の医療・介護実現のために、診療報酬・介護報酬を引き上げてください
③ 医療・介護への公費負担を大幅に引き上げ、患者負担・利用者負担をなくしてください
④ 絶対的医師不足を解消し、先進国並みの医師数へ養成を急いでください
⑤ 看護師をはじめとした医療従事者・介護職員を大幅増員し、就労条件を改善してください
⑥ 世界に例を見ない「後期高齢者医療制度」を中止・撤回してください
⑦ 療養病床削減計画を中止してください

Ⅲ 介護での当面するいわき市に対する私たちの要求

① 総合事業への移行にあたっては、すべての要支援認定者に対し、移行後も、介護予防訪問介護・介護予防通所介護と同じサービスが継続して利用できるようにしてください。
② 介護予防訪問介護・介護予防通所介護をボランティアなど「多様なサービス」に置き換えるのでなく、現行サービスを維持したうえで、「プラスアルファ」として新たなサービス・資源をつくる基本方向を堅持してください。
③ 現行相当サービスと「多様なサービス」とは役割が違うことを明確にし、必要に応じて併用して利用できるようにしてください。
④ 介護保険利用の相談の際は、被保険者の要介護認定の申請権を侵害するようなことはせず、要介護認定申請を案内し、「基本チェックリスト」による振り分けはしないでください。総合事業サービス利用を希望する場合でも、要介護申請を受け付けたうえで、地域包括支援センターへつなぐようにしてください。
⑤ 総合事業利用者のケアマネジメントでは、必要な訪問介護・通所介護は継続して利用できるようにし、期間を区切る「卒業」を押しつけるようなことはしないでください。
⑥ サービスの提供に必要な総事業費を確保してください。不足する場合は国・県に負担を求めるとともに、必要に応じ一般会計からも補てんし、地域支援事業の「上限」を理由に、利用者の現行相当サービスの利用を抑制しないでください。
⑦ 住民の「助け合い」を介護保険サービスの「受け皿」と位置づけるのでなく、現行サービス利用を前提に、さらに地域における支えあいや地域づくりを促進するものとして位置づけてください。
⑧ 新たな生活支援サービスなどは、現行の要支援者に限定せず、要介護者及び一般高齢者にも利用の門戸を広げてください。
⑨ 住民主体の「助け合い」の整備にあたっては、住民や各団体の要望を尊重するとともに、活動に必要な施設・設備を提供し、必要な経費については積極的に助成してください。

自治体は、「住民の福祉の増進」(地方自治法)という責務にふさわしく、国による一連の制度改変から患者・利用者を守る「防波堤」としての役割を発揮してください

以上です