佐賀県への往復があったので、『貧困の中の子ども』(下野新聞 子どもの希望取材班著、ポプラ新書)と、『食と農でつなぐ 福島から』(塩谷弘康・岩崎由美子著、岩波新書)を読みました。
後者は昨年8月、前者は先月発行で、それぞれ書店に並んだ時に購入して冒頭だけ読み始めたままになっていて、けっきょく、議会が終わって読書タイムがとれるようになった、というわけです。
「貧困」は、栃木県の地方紙である新聞社記者が、県内の宇都宮市・日光市・小山市はじめ、県内での取材だけでなく、東京都荒川区・足立区、イギリスにも足をのばし、昨年(2014年)1月から6月にかけて下野新聞に掲載した60回の連載がベースです。
私はこれを読んで、「見えない問題」を「見える問題」にして社会的・政治的に具体的解決の方向を探るジャーナリズムの本質を見た気がします。「真実の報道」「権力監視」の神髄ではないでしょうか。
「食と農」は、原発震災前後の阿武隈地域の女性農業者の「たたかい」を、とくに震災後に焦点を当てた物語、として読ませていただきました。
オビには漫画家の山本おさむさんが、「原発事故は大きく、人間はあまりに小さい。しかし小さなものの中にこそ希望がある」と書いているのですが、福島大学の研究者であるお2人のフィールドワークのこの書が、女性農業者へ震災のずっと前から寄り添う取材を通してまったくその通りだと、私は感じます。