あたらしい憲法草案のはなし

『あたらしい憲法草案のはなし』(自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合[自爆連]著、太郎次郎社エディタス)を読みました。160720憲法草案

「できるだけ草案をつくった人びとの気持ちによりそい、そこにこめられた理念や内容をつたえたい」目的で、1947年に当時の文部省が、全国の中学一年生向けに発行した『あたらしい憲法のはなし』を模してつくられています。160720憲法草案2・原則

4年前の2012年4月27日に決定された自民党憲法改正草案のねらいについて、ものの見事に描いてあると思います。 重要だと思うのは、「草案を考えた人びとが、どれほど強い、熱い思いをもって、あたらしい憲法をつくろうとしているか」を知ってもらおうとする自爆連のかたがたの熱意ある書きぶりです。160720憲法草案3・公益ともかく、日本国憲法に基づく戦後政治・社会を「戦後レジーム」とののしり、九条はもちろん、根底から憲法全体をなぜ変えたがるか、その執念を知るべきです。160720憲法草案4・緊急事態

12年前の2004年6月10日、「九条を持つ日本国憲法を、自分のものとして選び直」そうと、「九条の会アピール」が発せられました。「強く、熱い思いをもって日本国憲法を選び直す」覚悟と決意を具体的にいっそう固める契機にしないとなりません。

最新 惑星入門

『最新 惑星入門』(渡部潤一・渡辺好恵著、朝日新書)を読みました。惑星

私たちの地球を含む太陽系について、その理解がどう進んできたか、どこまでわかったか、わからないのは何か、について惑星科学の基本を説き起こしてくれます。惑星カバー

8つの惑星(水・金・地・火・木・土・天・海)はもちろん、月、火星と木星との間の小惑星、彗星、惑星間塵、流星、太陽系外縁天体、冥王星などの準惑星の最新の探査・研究成果に触れることができます。惑星オビ

著者の渡部潤一さんは、会津若松市出身で今は国立天文台教授・副台長。冥王星を惑星というカテゴリーからはずすこととなった惑星の定義を定めた、国際天文学連合の惑星定義委員会の7人の中に、アジアから唯一の委員として加わったその人です(参照『新しい太陽系』新潮新書)。

日本会議の正体

『日本会議の正体』(青木理[おさむ]著、平凡社新書)を読みました。日本会議の正体

著者がジャーナリストとして節度をもって当事者に接して取材する姿勢に徹していることがよくわかります。

が、その取材の過程で、「秘密主義」、「警戒感」、「敵対意識」といったようなものをつくづくと痛感させられたそうです。 まずもって、著者の反骨ジャーナリズム精神とその取材姿勢に敬意を表したいと思います。日本会議の正体カバーこの日本会議について、外国メディアが国内のメディアよりもよく取材し報じている(?)ことが紹介されます。 著者のまとめによれば、日本会議とは「日本の政治をつくりかえようとしている極右ロビー団体」(オーストラリア・ABCテレビ、15年12月3日)であり、「強力な超国家主義団体」(フランス「ル・モンド」紙、15年6月26日)であり、「安倍内閣を牛耳」(アメリカ・CNNテレビ、15年2月27日)っているにもかかわらず、「日本のメディアの注目をほとんど集めていない」(イギリス「エコノミスト」誌、15年6月6日)。日本会議の正体オビ

プロローグにあるように、取材によってそのことを検証・洞察することが目的です。日本会議という右派組織の正体を知り、現下日本の政治や社会状況の問題点を捉えなおす好著だと思います。

科学者と戦争

『科学者と戦争』(池内了著、岩波新書)を読みました。 「政治の保守化・軍事化と軌を一にして軍学共同が急進展する日本の現状をレポート」しています。科学者と戦争

2008年に制定された宇宙基本法の第3条には「我が国の安全保障に資する」と書き込まれ、2010年には宇宙航空研究開発機構(JAXA[ジャクサ])法にあった「平和目的に限る」の条項も抹消されました。科学者と戦争カバー堂々と軍事化路線を歩む宣言です。当然ながら、共産党は反対しました。どれほどの人がこの事実を承知されているでしょうか。

安倍政権の平和主義破壊は研究・教育分野をも通して着々とその手を打っていることがわかります。科学者と戦争オビ科学者の具体的な研究をめぐり、「研究者版経済的徴兵制」と著者が呼ぶ資金的研究条件の悪化があることは間違いありませんが、いったい、何のために、誰のために研究するのか、科学者自身とともに、市民も真剣に問わないとならない時代です。

「日本会議」とは何か/人口減少と地域の再編

『日本会議とは何か』(上杉聰[さとし]著、合同出版)、『人口減少と地域の再編』(中山徹著、自治体研究社)を読みました。160714日本会議「日本会議」は100㌻ほどのブックレット仕様の本です。 副題に「『憲法改正』に突き進むカルト集団」とあります。著者の定義では、「カルト」とは、世間知らず、あるいは社会の現実を知ろうとしない傾向、自分で考えようとしない他律的な傾向の2つの特徴をあわせ持つ宗教独自の傾きのこと。

日本会議は、その核心部分を徹底して秘密にしており、その活動内容や目的も公にはしていません。いくつもの株式会社を支配する持ち株会社のようなもので、その実像を知ろうとするなら、関係するそれら組織の文章を機関紙やホームページで読み込むだけでなく、具体的な彼らの行動を追い、他の情報と総合することによってしか判明しない、とのこと。

「秘密を保持するための内部への統制力や、大量動員する巨大宗教団体の存在」はあなどるわけにはいきません。

日本国憲法が「たんなる押しつけ」などではないことも、審議した国会議員が選ばれた経過から検証しています。人口減少「人口減少」は、地方の危機的状況を打開するため、地方創生を進める基本的な視点を提示してくれます。

安倍政権は、 際限なく続く人口減少と歯止めがかからない東京一極集中を背景に、かつ、地方切り捨ての小泉構造改革の反省から、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」、これを実現するための「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を2014年12月に閣議決定し、地方創生を進めるとしています。

これらを受け、かつ、基本的にこれらの枠内で、都道府県、市町村が人口ビジョン、総合戦略を策定しました。

その特徴を現時点で分析しつつ、連携中枢都市圏や立地適正化計画の現状と問題点の摘出、アベノミクスと地方の再生は両立しないことを示します。

狂言じゃ、狂言じゃ!

『狂言じゃ、狂言じゃ!』(茂山千之丞著、文春文庫)を読みました。茂山狂言

もともと2000年に単行本として晶文社から発刊され、2004年に文庫化された当時に購入したものが、これまた今ごろになりました。茂山狂言目次

「狂言に、初期のバイタリティーを取り戻すために、こんなやり方はいかがでしょうかという『いろいろな策』を皆様といっしょに考えたい」という動機で、「狂言の飾り気のない姿を、出来るだけ多くの人たちに見ていただきたくて」書かれています。茂山狂言・永六輔狂言は、名もない巷(ちまた)の人たちの生活スケッチであり、登場人物に固有名詞を持たせていません。その点で、「吉本新喜劇が現代の狂言であり、狂言が室町時代の吉本新喜劇であるのです」。茂山狂言「扉」

冒頭に引用されている『梁塵秘抄』の言葉に、「来るべき中世の、自由で民主的な社会の幕を開く」当時の庶民のバイタリティーがあって、この中から狂言が生まれた、とのこと。

著者は2010年に87歳で亡くなられています。

アベノミクス崩壊

『アベノミクス崩壊』(牧野富夫編著、新日本出版社)を読みました。アベ崩壊

労働運動総合研究所(労働総研)の経済分析研究会の8人が、アベノミクスを振り返り、その破綻・崩壊を検証しています。

編著者による「序章」では、「各人各様、アベノミクスに対する“恨み辛み(うらみつらみ)”を自由奔放に綴ったもので‥乱暴と思えるような問題提起も含む」と紹介されています。アベ崩壊目次・執筆者

本書の第1章でも強調されていますが、安倍内閣の経済政策は、「アベノミクス=(新)三本の矢」に限られるようなものではなく、最初の「三本の矢」の際に隠された第4の矢の消費税増税、第5の矢の社会保障削減、さらには原発再稼働、武器輸出三原則撤廃、軍事予算の増大などの政策も見えにくくされており、見逃してはなりません。アベ崩壊・全体像

そういえばけさの「しんぶん赤旗」では、イギリスのEU離脱決定を受け、円急騰・株大暴落と乱高下が国民生活と日本経済を直撃し、外的要因で大きく崩れるもろい日本経済を作り上げてきたアベノミクスの「二重の破綻」を検証しています。160628ハタ・アベノミクス破たん

金融・投機マネー頼みの金融政策の破綻、“大企業がもうかれば、いずれ家計にも回ってくる”とするトリクルダウンの破綻。大企業・富裕層が儲かる一方で、国民の生活はよくならず、格差と貧困が広がっています。

アベを退場させ、税金の集め方・税金の使い方・働き方の三つのチェンジで家計を温め、内需主導による健全な経済成長の軌道をつくりましょう!

神道

『日本人なら知っておきたい神道(しんとう)』(武光誠著、KAWADE夢新書、03年7月初版)を読みました。神道

同じ著者による『知っておきたい日本の神様』同様、タイトルと同じ関心で発行当初に購入したものでした。読むのに13年かかりました。神道・変遷

プロローグからの章立ては、「“神道”を知らずして日本と日本人は見えてこない」、「“神の国”はいかに誕生し、根づいてきたか」、「日本人の中に生きる“八百万の神”の系譜」、「様々な宗教を受け入れる神道の懐の深さ」、「朝廷成立、尊王攘夷…神道が果たした役割とは」、「建物、神職、穢(けが)れと祓(はら)い…神が降りる地の神秘」、「祭祀と参拝に込められた知られざる意味とは」、「死とは何か?生とは何か?神道の行事か教えるもの」。神道・神社

神道の核となる部分は縄文時代以来変わらず、にもかかわらず絶えず変わり続ける神道が、「じつは日本の社会や文化を知る最大の手がかりである」という著者の主張の意味・内容に触れることができます。

歌舞伎

『歌舞伎』(戸部銀作著、新日本新書)を読みました。1983年発刊なので、33年も前の新書です。160624歌舞伎これもまた、各ページに鉛筆(シャーペン?)で線が引きまくってありますが、読んだ記憶がよみがえりません。著者は10年前の2006年、85歳で亡くなられています。 160624歌舞伎著者本書は当時の著者が「三十数年来の、評論家、演出家の生活のうちで得た“歌舞伎への答え”を、まとめたもの」で、「あらゆる角度から、もっとも根本的な歌舞伎の特色を考え」、「今日上演されている舞台を中心に、現代の眼で歌舞伎を分解してみた」とあります。 160624歌舞伎目次「ほかの歌舞伎の入門書とは、項目の立てかた、解説のしかたなどで、かなり違う」とも。

「赤旗」に1週間に1回、計66回連載(1981年9月~82年12月)したものなので、たいへんに読みやすくまとめられています。が、今は古本でしか手に入らないと思います。

歯科医通院/1時間強の治療/散歩/老後不安

きょうは歯医者の通院日。

1時間強、治療用いすに座り、その大半はいすを倒した状態での治療。ずいぶん前にはめ込んでもらった歯が、外れたのではなく、歯ぐきの内部で折れてしまっていて、なかなか難儀のようです。治療途中にはレントゲン写真を撮っての確認もしました。キー、キーというかん高い音やギー、ギーという鈍い音がする機器を駆使しての治療といった感じですが、痛みがまったくないのが救いです。DSC00762家に戻ってからは、また3日ぶりにペロと散歩。午後の早い時間ですが、曇っていて日差しもなく、暑くもないからとは思いましたが、ペロは間もなくして舌を出して、ハー、ハーと。DSC00760

きょうは家から西へ向かって2丁目へ行き、南下して2丁目南側住宅街を歩き、2丁目南端から3丁目へ戻るコース。DSC00765

これらを前後し、雑誌『経済』(新日本出版社)7月号の特集「老後不安 医療・介護・年金の貧困」の座談会と各論文を読んで勉強。160621経済

安倍政権は、「日本再興戦略 改訂2015」において医療・介護の基幹産業化と称し、自己責任・自己負担を前提としたしくみで、社会保障の商品化・営利化を促進する計画ですが、いったい、どこを見ているのか、と怒りを覚えます。