『科学者と戦争』(池内了著、岩波新書)を読みました。 「政治の保守化・軍事化と軌を一にして軍学共同が急進展する日本の現状をレポート」しています。
2008年に制定された宇宙基本法の第3条には「我が国の安全保障に資する」と書き込まれ、2010年には宇宙航空研究開発機構(JAXA[ジャクサ])法にあった「平和目的に限る」の条項も抹消されました。堂々と軍事化路線を歩む宣言です。当然ながら、共産党は反対しました。どれほどの人がこの事実を承知されているでしょうか。
安倍政権の平和主義破壊は研究・教育分野をも通して着々とその手を打っていることがわかります。科学者の具体的な研究をめぐり、「研究者版経済的徴兵制」と著者が呼ぶ資金的研究条件の悪化があることは間違いありませんが、いったい、何のために、誰のために研究するのか、科学者自身とともに、市民も真剣に問わないとならない時代です。