消費者の権利

『[新版]消費者の権利』(正田彬著、岩波新書)を読みました。

1972年に刊行された前著の新版で、全面的に書き下ろしたものです。著者は昨年、本書出版の最終作業中、80歳で亡くなりました。

非食用の輸入事故米穀が食用として流通していた事件、輸入冷凍餃子の中毒事件など、消費者をめぐる食の問題ひとつとっても、消費者の権利を守ることが重要な課題になっている、と強烈な問題意識から書かれていることがわかります。

人間の権利の尊重は、現代社会の基本原則だから、行政がその権利の確立を考えた対応のしくみをつくる責任は言うに及ばず、そのためにも、人間の権利と事業者の権利をどう調整するかの発想ではなく、事業者による事業活動は人間の権利の尊重を前提として成り立つものでなければならない、と明快です。

消費者行政の基本は、消費者の四つの権利(①消費生活における安心・安全・自由の権利、②商品・サービスを正確に認識することができる表示をさせる権利、③価格の決定などの取引条件の決定に参加する権利、④情報化社会において消費者が必要とする情報の提供を受ける権利)を確保することにあることを、消費者の立場で、具体的に説得的に述べられています。

いわき9条の会/もうひとつの平和/12条/NPT

いわき市9条の会連絡会主催によるいわき9条の会5周年記念のつどいがありました。

メインは安斎育郎さんによる講演。テーマは「だまし博士が語る『もうひとつの平和への道』 ~国家が国民をだますとき」。

1940年生まれの安斎さんは東大原子力工学科を出た工学博士で、東大医学部助手を経て立命館大学経済学部教授・国際関係学部教授を務め、今は世界初の大学立の「立命館大学国際平和ミュージアム」の名誉館長です。

安斎総理大臣が生まれれば、「憲法で守る」安全保障政策を10の柱で進め、これを実現するためにも、「おカミ」や「ヒーロー」が最後はめでたく問題を解決することに安住してしまう「水戸黄門症候群」「鉄腕アトム症候群」を脱却し、国民の主体的な「不断の努力」を促す憲法12条の重要性を訴えられました。

講演に先立ち、ニューヨークでのNPT(核不拡散条約)再検討会議へ「核兵器のない世界を」求める署名を届け、要請行動のためにいわき代表として参加した高橋美樹さんの感動的な参加報告がありました。

樋口陽一さん/「政治主導」/「国民の意思」

「朝日新聞」(5月19日付け社会面13版)に、憲法学者の樋口陽一さんのインタビュー記事が載っていました。

樋口さんは、先月亡くなった井上ひさしさんと高校時代からの友人。井上さんの1981年のベストセラー「吉里吉里人」に憲法の考えが反映されていることに触れつつ、「人々が国家をつくり、権力を預ける。しかし勝手なことをさせないように憲法で縛る。それが近代憲法の考え」「政治主導とはつまり、選挙での多数派がすべてを決めて良いという考えです。そうあってはならぬというのが人類社会の知恵です」。

そしたら翌日の地元紙の投書欄にこんな意見がありました。

「大多数の国民が投票した政権が沖縄の負担軽減のために、一部負担をお願いしたいとしている以上…住民の意思とかかわりなく強行すべき…国民の意思が住民によって無視されるなら、民主国家でない」。

樋口さんの考えと対極にあると受け止めましたがしかし、こうした考えは、長年の自民党政治のもとで、「おカミのすることだから」「けっきょく何も変わらない」といったバリエーションがあっても、国民のなかに「定着」してはいないでしょうか?

私は、現行憲法を国民的規模で選び直す作業によって、こうした考えを乗り越える時期に入っていると思います。

あたたかい声援/「いい話」/若いお母さん/「あきれてる」

金曜日朝は、三方向からの車が交差するバイパスの昇降口での定時定点の街宣。

連日、それぞれの地域の後援会員が旗持ちに出てきてくれ、ほんとうにありがたいばかりです。通勤されるみなさんからの声援もあたたかい。

午前中は小名浜地域の8か所の街頭から訴え。3か所の公園にはゲートボールをしたり、子ども連れで遊びに来ていたり。みなさんに聞いていただきました。

ある場所では最初から最後まで聞きに出てきてくれるかた。「いい話だった、応援してるよ」と声を毛ていただきました。

午後も小名浜地域3か所で。ある公園では聞いていただいていた10人ほどのみなさんと対話。「福祉では共産党がいちばんだと思っている」という高齢者、「安心してあずけられる保育と安心して子育てできる政治にして」と若いお母さんたち。

別の公園では、お孫さんと遊ぶおばあさんが両手を振っての声援、また別なかたが話し終えると拍手。宣伝カーを5~6人の子どもたちが取り囲み、話し終えると握手攻めにあいました。

ある子は、「お母さんが、今の首相にはあきれてる、と言ってるよ」と教えてくれました。

森と海

『森が消えれば海も死ぬ[第2版]』(松永勝彦著、講談社ブルーバックス)を読みました。

1993年の初版で明らかにした森林の役割の考え方が全国に広がり、漁民が森を育てる活動の科学的根拠ともされている、とのこと。

それから15年以上が過ぎ、多くの研究成果を取り入れた改訂版です。

日本の沿岸域が、およそ1000kmにわたって海藻も育たない不毛の砂漠となった原因は、森林伐採が進み、残された森林も適切な間伐がなされていないこと、と指摘します。

そして、ダム、高速道路、新幹線などの建設により、多くの森林を伐採してきた公共事業の質を変え、太陽光発電、太陽熱、バイオマスエネルギー、雨水の利用、間伐、植林などの事業で雇用を確保する方向への転換を提起しています。

新聞配達/定時定点/メタボ健診/長生き小太り

朝4時半に起きて「しんぶん赤旗」日刊紙を配達し、きょうは8時前に終える「定時定点」の街宣。雨降りでしたが、地元の後援会員はレインコートを着込んで旗持ちに出てきてくれました。

車の助手席から腕がはちきれんばかりに手を振っていただくかた、ほんとうにありがとうございます。

きょうは自宅の都市ガス警報装置リース更新契約と、私の自動車運転免許証更新手続き。後日、更新時講習を受けることになります。

話変わって「メタボ健診」。内臓脂肪症候群対策に特化した「特定健診・特定保健指導」が始まって3年目に入っています。

健診の目的を住民の健康増進から医療費削減にした「小泉医療構造改革」によるものが続いているのです。

国基準の検査項目が減らされたので、自治体によりますが、検査項目が減り、受診率も低迷です。

いろいろ問題がありすぎますが、メタボ健診の第一の振り分けの基準のひとつがBMI(体格指数=体重kg÷身長m÷身長m)25以上という数値。

東海大学の大櫛陽一教授が神奈川県伊勢原市の40歳以上の住民2万2000人を平均7年間追跡調査したところ、BMIが25~26.9の人の死亡率がもっとも低く、18.5未満(やせ)がもっとも死亡率が高い、という結果でした。

大櫛さんは、「欧米ではBMI25~29.5は正常高値、30以上を肥満といいます。30少し手前の小太りがもっとも長生きというのが常識なのです」(「しんぶん赤旗」4月20日)と話していますが、このことを耳にしている人はけっこう多いのではないでしょうか。

科学的根拠に基づき、早期発見・早期診断・早期治療のための健診にもどすべきではないでしょうか。医療費削減のための「健診」など、もってのほかだと思います。

アートを楽しむ/さわやか対談

『アートを楽しむ生き方』([日野原重明+松本猛]著、新日本出版社)を読みました。

日ごろアートに親しむことも、そもそも素地もないのですが、1時間ほどで一気に楽しめる本です。

日野原さんは1911年生まれで、京大の大先輩のお医者さんですが、第三高等学校時代はこっそり京都大学に河上肇教授の講義を受けにいったりもしたそうです。

初恋の人は「美いちゃん」といって、小林多喜二が警察で虐殺され、遺体がもどった自宅に駆けつけ、弔いの日まで遺体を仲間とともに守り続けた一人だそうです。

日野原さんのそのときの恋は成就はしなかったそうな。

それはともかく、少年のころから音楽も演劇も絵画も大好きだったという日野原さん。「いのちをすこやかに保つのが医療の役割ならば、医療もまたサイエンスに基づく、癒しのアートであるべき」、「大切にすべきいのちをどう表現するかというのが芸術であって、その表現されたいのちを子どもたちが身につけて、平和を実践する行動を将来とるようになること、これを実現するのがわたしたちのつとめ」。

さわやかな対談です。

いわぶちキャラバン/ばったり出会い/つどい/訪問

朝は福島高専近くの道路沿いで定時定点。

「右翼」車がスピードを落としてジロッ、とにらんでいきました。すれ違う車から手を振って激励していただくかたが多いこと。

参院選福島選挙区予定候補のいわぶち友さんの第二次全県キャラバンがきのうから始まっていて、夕刻に常磐地域に入り、きょうは朝から内郷での行動。

午前10時に私も合流し、いっしょにスーパー前で訴え。

駐車場からの注目度は、これまでの選挙とはずいぶんと違う感触です。

その後は別べつに街頭宣伝。私は内郷駅を取り囲むように5か所の街頭から。父親が私の母親と職場がいっしょで、今は私の中学・高校の同級生と同じ職場で働いているかたとばったり会ったり、話し始めると最後まで聞いてくださり、拍手をいただいたり。

昼食後は、国宝白水阿弥陀堂にいちばん近い集会所で「党と語るつどい」。いわぶち予定候補、みぞぐち民子市議といっしょにお話しました。

夕刻には、四倉地域の後援会員のお知り合い宅を訪問。彼といっしょに歩くのは私は初めてでした。別のかたと訪問したこともあるお宅もあれば、私の中学同級生や高校同級生とつながりがあるお宅もあり、話がはずみました。

街宣・街宣/訪問/著名人への批判の声

8時をはさむ「定時定点」はかつて小名浜生協病院があった場所。

病院職員後援会員と小名浜地域後援会員の2人が旗持ちに出てきてくれました。

午前中は草野地域で後援会員といっしょに6か所の街頭から訴え。ちょっと前に、ポスター掲示をお願いに回ったところ、「なんだ、元気な共産党の姿はどうした」といわれた農村地域から始めました。

田んぼで農作業をする人が多い日で、田んぼから手を振ってくれる人、家の庭から手を振ってくれる人、耕運機から手を振ってくれる人、ほんとうにありがとうございます。お店の前ではお茶の差し入れまでいただきました。

午後は渡辺ひろゆき市議と平北部地域の後援会員のみなさんと、渡辺市議の地元・赤井地域6か所の街頭から訴えました。

「話していたことはそのとおり。民主党政権は自民党よりひどいと家族でも話している。1日50万円の子ども手当てをもらっていて、そんなことは知らなかったという首相、高慢ちきな幹事長がテレビに映るとチャンネルを変える」と、わざわざ言いに来てくれるかたがいました。

午後5時からは私が住む住宅の隣り街の団地後援会員と訪問。民主党の公約破りへの怒りはただものではない広がりを感じます。選挙のことでうかがうのは初めてのお宅がほとんどだったのですが、共産党支持者宅へのごあいさつまわりの様相でした。

著名人擁立への批判はかなり強いです。「国民をバカにしている」と強い口調で怒りをぷつけるかたもいらっしゃいました。

候補者選び/読者の投稿/つい感心

訪問して話を聞くと、近づく参院選での政党の候補者選びへの疑問や批判が相次ぎます。立候補は自由ですが、もっともなご意見に私も納得してしまいます。

私が購読しているここ数日の全国紙と地方紙の読者の投稿欄に目を通してみました。

「政治とは無縁の社会における活動を続けながら国会議員の仕事に就くなどということがあれば、心ある国民は、政治とはそんなに軽いものなのかという思いを深くする」(14日付全国紙)

「票集めのお飾り、客寄せパンダなどと、あなたが呼ばれたら、私は悲しくてたまらない」(15日付全国紙)

「このような人選からしても、公党の中枢にいる人と国民の感覚に大きなズレが生じている…人選にも良識が働くべきなのに、国民を愚弄する人選」(17日付全国紙)

「政治の本質を考えない、ただ顔や名が売れていればよいという、実に安直な候補者選び…二足のわらじをはいた新参者に、何ができるのであろうか。莫大な歳費を受け取るぐらい」(17日付地方紙)

著名人が各党の候補として名前があがった頃から、対話して歩くみなさんの声はだいたいこれらの意見です。

読者の声を選択する新聞社もたいしたもんだなぁ、とつい感心しました。