復興予算の流用/3党合意の害悪

2011年度から5年間の復興予算19兆円をめぐって、被災地とはまったく関係のない「流用」が問題になっています。

9月9日に放映されたNHKスペシャル「東日本大震災 追跡 復興予算19兆円」では、その48%にあたる11年度3次補正分9・2兆円の内容を検証していました。

その結果、その4分の1に相当する約2兆4500億円は被災地とはまったく関係のないところに使われ、番組スタッフとともに調査した塩崎賢明・立命館大教授は「これは大甘に見た数字。実態を詳細に調べれば、おそらく半分以上は被災地の復興とは関係ないのではないか」と指摘しています(本日付「全国商工新聞」)。

この件で4日前(18日)、参院決算委員会で井上哲士議員は、「活力ある日本の再生」「復興と一体不可分」であれば、なんにでも流用できるとした民自公3党の賛成で成立した「復興基本法」と「基本方針」の問題を指摘しました。

あれこれ批判する自民党議員に対し、枝野経産大臣は「御党も合意して進めてきた話だ。反対した共産党が『けしからん』というなら話はわかるが、一緒に進めてきてそういう話をするのはあまりにアンフェアだ」というわけです。

民自公の三党合意が国民にとっていかに害悪しかもたらさないか、明々白々だと思います。被災者の生活と生業(なりわい)の再建を復興の土台にすえ直す当たり前の政治にしなければなりません。

きょうは久しぶりに県営いわき公園へペロを連れ出して散歩。

山中伸弥・益川敏英対談

『「大発見」の思考法』(山中伸弥・益川敏英著、文春新書)を読みました。

お二人の対談ですが、2年前の2010年のことで、山中教授はノーベル賞の有力候補と騒がれていた時期の対談です。

2006年8月25日、山中教授が世界トップレベルの学術誌『Cell(セル)』に、「マウスの皮膚細胞に四個の遺伝子を導入してiPS細胞を作った」という内容の論文を発表し、2012年度ノーベル医学生理学賞を受賞しました。

かたや益川さんは、「小林・益川理論」を1973年に発表し、その理論がほぼ30年後に証明され、08年ノーベル物理学賞を受賞。

その2人の対談は痛快です。人々の知的好奇心を刺激し、夢とロマンを与えること、人類の文化に立派に貢献することの基礎科学のありようを、政治としてもしっかり位置づけるべきです。

「なぜ一番でなければならないんですか?」みたいな馬鹿げた質問をして基礎を切り捨てる政治家は不要です。