『なぜ、病院が大赤字になり、医師たちは疲れ果ててしまうのか!?』(「日本の医療を守る市民の会」編・本田宏監修、合同出版)を読みました。
執筆陣は、医療関係者だけでなく、患者の立場・子どもの親・医療事故の当事者の立場にある人びとをふくめ25人。それぞれの立場から「医療をつくり変える33の方法」を提言しています。
病院勤務医不足に象徴される現在の「医療崩壊」の実情、医療保険制度のしくみと医療崩壊の関係、医療費への税金投入の少なさ、医療事故・紛争の実情と患者と医療者との関係のありかた、医療制度と地域医療を守る市民のありかた、など、日本の今の医療現実の全体像がわかるのではないでしょうか。
注目したのは、神奈川県の医師、歯科医師が中心になって07年1月に始められた「窓口負担をゼロにする運動」。「受診時に経済的なことを心配せず、病気という理由でのみ受診できる社会」「ヨーロッパ諸国のように受診時の負担を原則ゼロとする」ことは、健康保険法の趣旨を取り戻すことでもある、とのこと。
受診することが商品を買うことと同等と思わされている患者と医師。社会保障は国民の権利であり国の義務。この矛盾は政治が解決すべきだと私は思っています。