日米核密約/条約上の権利

『日米核密約 歴史と真実』(不破哲三著、新日本出版社)を読みました。

2000年春、機密が解除されたアメリカ公文書から「核密約」本体と関連文書を見つけ出した著者は、その文書群を政府にすべて示し、党首討論という国会の場で、真相解明を求めました。

当時の政府はこれを無視することを決め込み、「政府としてこれを責任をもって論じうるものではない」(小渕首相)とし、「核持ち込みは事前協議の対象だ、軍艦や飛行機での持ち込みも例外ではない」との答弁を繰り返しました。

いまや、日本政府自身が、「核密約」の本体である「討論記録」を「不公表とすることとして両政府間で作成された合意文書」と認めるに至りました(志位和夫委員長の「質問主意書」[2010年3月17日]にたいする政府の「答弁書」[3月30日])。

こうして民主党政権は、文書の存在を認めたものの、それを「核密約」とは認めず、もはや過去の問題で「核密約」は廃棄しない、つまり存在を黙認し続ける態度をとっています。

民主党が「核密約」を認めようとしない根拠が、「有識者委員会」の「報告書」(3月9日発表)でした。「報告書」では、「核密約」の交渉経過にきわめて一面的な解釈を加えて、「討論記録」は「核密約」ではないと断定したのです。

この見解がまったく誤っていることは、当時の米外交文書(1958年10月4日付および59年6月20日付のマッカーサー駐日大使の手紙)が証明してくれています。

「核密約」とは、日本政府が、アメリカにたいして、核兵器を積載した艦船および飛行機を、事前協議なしに日本に出入りさせる権利を、条約上の権利として認めたものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です