平均的な移植スケジュール

臍帯血(さいたいけつ)移植に切り替え、あらためて移植コーディネーターから、今後のスケジュール「イメージ」について1時間ばかり、家族と説明を受けました。

赤ちゃんとお母さんを結ぶ臍帯と胎盤に含まれる臍帯血に造血幹細胞が存在していて、この細胞を移植に用いるのが臍帯血移植です。

来週には「無菌室」へ移動し、大量化学療法による「前処置」開始、3月中旬には移植。前処置の前日には首から点滴の管を入れ、移植前日からは免疫抑制剤投与が始まります。

その後、3週間~1か月ほどは白血球がない状態が続いたあと、移植した幹細胞が骨髄に入り、新たな血液をつくり出して「生着」します。半面、移植後の急性免疫反応(急性GVHD)が出現することもあり、免疫抑制剤を減量しながらGVHDとうまく共存しながら退院の準備をしていくことになります。

5月中には外出・外泊が可能となり、退院後は定期的な外来通院に移行します。

これが、一般的・平均的な移植患者さんのスケジュール。そんなわけで、早まったり、遅くなったり、いろいろと「危険」な目にあったり、バリエーションがあり得ます。

南朝研究の最前線

日本史史料研究会・監修/呉座勇一・編『南朝研究の最前線』(洋泉社・歴史新書y)を読みました。副題は「ここまでわかった『建武政権』から後南朝まで」。南朝は、1336~92年の60年近く続いた南北朝時代、後醍醐天皇が吉野に樹立した朝廷です。

網野善彦さんの「異形の王権」が示した当時の知見が、どう継承されているかを知りたく、「南北朝、最新、新書」でネット検索したら出てきた本です。昨年(2016年)7月刊。そうすると、南朝の諸政策が鎌倉後期の「公家徳政」の延長にあること、南朝は武士たちに積極的に恩賞を与えていたこと、室町幕府か南朝の訴訟制度・恩賞政策に学んだ形跡があること、後醍醐天皇の信仰は、鎌倉後期の歴代天皇のそれをおおむね引き継いでいてその「異形」性には限界があること、人材面でも、鎌倉幕府-建武政権-室町幕府の三者の間でスタッフの連続性が明らかになり、南朝がけっして“歴史のあだ花”ではないことが、16人の気鋭の研究者によって解説されます。

歴史そのものも、時代や研究の進展によって徐々に明らかにされる面白さがあります。