異形の王権

久しぶりに網野史学本・網野善彦『異形の王権』(平凡社ライブラリー)を読みました。またまた新たな刺激を受けました。初版は1986年に平凡社「イメージ・リーディング叢書」、93年にライブラリー化された本です。1336~1392年の56年間が「南北朝時代」とされますが、「本書は、南北朝の動乱を境としておこった、日本列島の社会の大きな転換の諸相」(86年「あとがき」)を描いた小論集です。そしてこれら小論それぞれは、これら動乱が、「異形(いぎょう)」の天皇であり、「異形」の王権を現出させた後醍醐の妄執のもたらした権威の崩壊と分裂によっておこった混乱の、広さと深さをも示してくれます。手元には網野さんの同じライブラリー版『[増補]無縁・公界・楽』が「積ん読本」として残されていて、読むのをどうしようかなと迷っているところ。直ちにでも読みたい新刊本がまた出てきているし…