あなたを狙う「残業代ゼロ」制度

『あなたを狙う「残業代ゼロ」制度』(昆弘見著、新日本出版社)を読みました。160620残業代ゼロ安倍政権は、「労働時間」を岩盤規制と言い張って、ドリルで打ち破るために、残業代ゼロ制度を創設する労働基準法改定を執念をもって実現しようとしています。

「高度プロフェッショナル制度」と言って、労働者派遣法同様、小さく生んで大きく育てるのは常とう手段です。

この制度の新設に加えて、企画業務裁量労働制の適用拡大、フレックスタイム制の清算期間延長のトリプルで、労働時間を企業の自由にまかせて長時間化させるさせるものです。160620残業代ゼロ1・今回労働時間は、憲法27条2項に「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」とあるように、憲法が名指しで特定している労働条件です。これを財界の意向で一方的に変えるなど、憲法違反も甚だしい。160620残業代ゼロ5・ILO日本政府は、ILO(世界労働期間)の労働時間にかかわる条約を1本も批准していませんが、そうであっても、加盟国はその原則を尊重し、促進し、実現する義務を負っています。その意志すら示すことがありません。

世界の人々が首をかしげるような異常な長時間労働改善のため、残業の限度を定めた1998年の労働省告示(「大臣告示」)を法律化するなど、改革の緊急の方向も示します。