「人権保障としての医療・介護へ」レジュメ

先日、浜通り医療生協の支部総会後の勉強会に準備したレジュメを掲載します。

「憲法にそむく政府がえがく社会保障」に関しては、自治体研究社『地域医療を支える自治体病院』の伊藤周平・鹿児島大学教授の文章、「人権保障としての社会保障再生へ」の「介護での当面するいわき市に対する私たちの要求」に関しては、同じく『改定介護保険法と自治体の役割』の日下部雅喜・大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員の文章を大幅に参照させてもらっています。

憲法に関しては、この10年間ほどの私の憲法学習の蓄積と思ってもらえるとありがたいです。「私たちがめざす社会保障原則」や「国に対する要求」は全日本民主医療機関連合会(民医連)のここ10数年来の諸文書を参照しています。

要するに、私がここ10数年間に学んだパッチワーク作品です。14ページにわたる資料は割愛です。

人権保障としての医療・介護へ

一 憲法がえがく社会保障の姿

Ⅰ 権利としての社会保障
憲法第25条「①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」
「最低限度の生活」とは、「日本の経済に見合った豊かな質と文化、それに見合った十分な生活」がその中身・水準です。
第一項が人権宣言で、第二項が一項の権利に対応した国の責務です。
社会保障は、この憲法25条を根拠にしており、疾病、高齢化、失業、障がいなどの生活上の問題は、社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生、老人保健など社会保障の諸制度によって保障されるのです。

Ⅱ 「不断の努力」があって初めて「権利」
「権利」について憲法はどう語っているでしょうか?

憲法第11条「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」
なぜかというと、
憲法第97条「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」だからです。
だからこそ、
憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とされ、
憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とされます。
だからといって国民が黙っていても権利が保障されるわけではなく、
憲法第12条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」
なぜなら、国民の不断の努力がなければ、権力は人権を侵害するからです。
その証拠に、社会保障の水準は、その時どきの権力者と国民の運動との力関係で前進もし、後退もしてきました。
国には社会保障の水準を「向上及び増進」(25条)させなければならない責務があるのに、その水準を「低下及び減退」させているのは、憲法違反ではありますが、権力者の力に国民の運動の力が押されているからにほかなりません。
「あなたまかせ」「行政まかせ」の意識がいちばんよくありません。

Ⅲ 平和と不可分な関係の社会保障

毎年5兆円近い税金がつぎ込まれている日本の軍事をめぐって話題が尽きません。とりわけ今、昨年7月の集団的自衛権行使容認を前提に、海外のどこの戦闘地域でも自衛隊が武器の使用ができる戦争立法化作業が進められています。
いったい、日本はどんな「国のかたち」をめざしているのでしょう?

憲法前文「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」
「恐怖」とは、専制・暴虐・抑圧・暴力などをさし、その最大のものは戦争です。
「欠乏」とは、餓え・渇き・病・衰弱・極貧など、「貧しさ」をさします。
日本の国づくりの方向は、これらの「恐怖と欠乏から免れ」ることであり、その国家のいちばん大事な仕事は「平和のうちに生存する権利」を保障することです。
だからこそ、
憲法第9条「①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」
と、世界に約束し、これとあわせて憲法第25条を用意したのです。
すなわち、第9条の平和理念(恐怖から免れる)と第25条の福祉理念(欠乏から免れる)は不可分であり、日本の国のかたちは「平和・福祉国家」です。

二 憲法にそむく政府がえがく社会保障の姿

公的責任を限りなく縮小して自己責任にゆだねる「社会保障」

・ 2012年8月22日 消費税増税法とともに社会保障制度改革推進法成立
○ 「安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図る」(第1条)
・ 2013年8月6日 社会保障制度改革国民会議「確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋」(「国民会議報告書」)
○ 社会保障の中心を社会保険に置き、社会保険制度の特徴を「保険料を支払った人にその見返りとして受給権を保障する仕組み」
○ 「高度急性期から在宅医療までの一連の流れ、容態急変時に逆流することさえある流れにおいて、川上に位置する病床の機能分化という政策の展開は、退院患者の受入れ体制の整備という川下の政策と同時に行われるべきであり、川上から川下までの提供者間のネットワーク化は新しい医療・介護制度の下では必要不可欠となる」
・ 2013年12月5日 「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(「プログラム法」)
○ 政府の役割は、「個人の選択を尊重しつつ、個人の健康管理、疾病の予防等の自助努力が喚起される仕組みの検討等を行い、個人の主体的な健康維持増進への取組を奨励」(第4条2項)し、「個人の選択を尊重しつつ、介護予防等の自助努力が喚起される仕組み等の検討等を行い、個人の主体的な介護予防等への取組を奨励」(第5条1項)すること。
(1997年成立の介護保険法にはすでに「国民は、自ら要介護状態になることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする」(第4条1項)と国民の健康保持増進義務を定めていた)
(ちなみに今回、医療法にも「国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携の重要性について理解を深め、医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない」(第6条の2)と国民の責務が定められた)
○ そのうえで、医療提供体制、医療保険制度・保険料、医療保険給付、介護保険制度の「医療と介護の一体改革」の「プログラム」を示した。
(なお、法成立の翌日12月6日には改定生活保護法・生活困窮者自立支援法・特定秘密保護法が成立)
プログラム法に基づき、2014年~2017年にかけ、順次、社会保障制度改革のための関連法案が国会提出
・ 2014年6月18日 医療法、介護保険法、保健師助産師看護師法、歯科衛生士法など19本を一括した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(「医療・介護総合法」)がプロクラム法具体化第一弾として成立
・ 2014年6月24日 安倍政権は「経済財政運営と改革の基本方針2014』(「骨太の方針」)を閣議決定し、社会保障費について「いわゆる『自然増』も含め聖域なく見直し、徹底的に効率化・適正化していく」と抑制方針を明記し、消費税増税と社会保障費削減の両面政策宣言。
・ 同日閣議決定した「規制改革実施計画」では、「患者申出療養」創設を打ち出し、なし崩し的な混合診療拡大の方向。
・ 2015年3月3日 国民健康保険法、健康保険法、高齢者医療確保法などを一括した「医療保険制度改革関連法案」を閣議決定。4月14日に衆院本会議趣旨説明、17日から委員会審議、24日に委員会可決(自民、公明、維新)、28日に衆院本会議可決(自民、公明、維新、次世代)。

三 人権保障としての社会保障再生へ

Ⅰ 医療・介護要求の特徴と私たちがめざす社会保障原則

医療・介護に対する要求は、ほかのサービスと比較して、多くの特殊的な特徴を持っています。
① 1人ひとりの個別性が強く、画一的に扱うことは困難なこと
② 健康促進・予防・治療・リハビリテーションという総合的な内容をもつこと
③ いつどこで病気になるか不安であり、いつでもどこでも対応できることが必要なこと
④ 支払い能力とは関係なく病気になりうるので、支払い能力に応じて治療を受けるという商品経済・市場原理が働きにくいこと
⑤ 患者本人が判断しづらく、専門家を通じて判定されること
⑥ 対象が人間であり、個人の尊厳が尊重されなければならないこと
などです。
したがって、医療・介護は、基本的人権の尊重を基礎に、すべての人を対象とし、非営利的で社会的に共同で利用・消費する公共性をもっており、その保障は社会保障の重要な構成部分です。

そこで私たちは、つぎの社会保障原則を提示します。
① 医療・介護は、国民の基本的権利であり、国の義務であることを、実施通達まで明確に定めること
② いっさいの差別を許さず、公平・平等に保障されること。保健・予防を含めた包括的で最善の水準が、地域にへだたりなく提供されること
③ 財源は国と企業の責任でまかない、受療に必要な費用は原則無料とすること。負担を求める場合には、保険料・窓口負担などに減免制度を充実させ、応能負担原則を貫くこと
④ 制度の運営と管理を公開し、民主的に行なうこと。地域住民、関係団体、労働団体の運営への参加を保障すること。
⑤ 従事者の養成に国が責任をもつこと。医療・介護報酬は安全で安心なサービスの提供と関係機関の経営を保障するものであること

Ⅱ 国に対する私たちの要求

① 「必要な医療・介護が公的保険で受けられる」国民皆保険の本質を守り、充実させてください
② 安全・安心の医療・介護実現のために、診療報酬・介護報酬を引き上げてください
③ 医療・介護への公費負担を大幅に引き上げ、患者負担・利用者負担をなくしてください
④ 絶対的医師不足を解消し、先進国並みの医師数へ養成を急いでください
⑤ 看護師をはじめとした医療従事者・介護職員を大幅増員し、就労条件を改善してください
⑥ 世界に例を見ない「後期高齢者医療制度」を中止・撤回してください
⑦ 療養病床削減計画を中止してください

Ⅲ 介護での当面するいわき市に対する私たちの要求

① 総合事業への移行にあたっては、すべての要支援認定者に対し、移行後も、介護予防訪問介護・介護予防通所介護と同じサービスが継続して利用できるようにしてください。
② 介護予防訪問介護・介護予防通所介護をボランティアなど「多様なサービス」に置き換えるのでなく、現行サービスを維持したうえで、「プラスアルファ」として新たなサービス・資源をつくる基本方向を堅持してください。
③ 現行相当サービスと「多様なサービス」とは役割が違うことを明確にし、必要に応じて併用して利用できるようにしてください。
④ 介護保険利用の相談の際は、被保険者の要介護認定の申請権を侵害するようなことはせず、要介護認定申請を案内し、「基本チェックリスト」による振り分けはしないでください。総合事業サービス利用を希望する場合でも、要介護申請を受け付けたうえで、地域包括支援センターへつなぐようにしてください。
⑤ 総合事業利用者のケアマネジメントでは、必要な訪問介護・通所介護は継続して利用できるようにし、期間を区切る「卒業」を押しつけるようなことはしないでください。
⑥ サービスの提供に必要な総事業費を確保してください。不足する場合は国・県に負担を求めるとともに、必要に応じ一般会計からも補てんし、地域支援事業の「上限」を理由に、利用者の現行相当サービスの利用を抑制しないでください。
⑦ 住民の「助け合い」を介護保険サービスの「受け皿」と位置づけるのでなく、現行サービス利用を前提に、さらに地域における支えあいや地域づくりを促進するものとして位置づけてください。
⑧ 新たな生活支援サービスなどは、現行の要支援者に限定せず、要介護者及び一般高齢者にも利用の門戸を広げてください。
⑨ 住民主体の「助け合い」の整備にあたっては、住民や各団体の要望を尊重するとともに、活動に必要な施設・設備を提供し、必要な経費については積極的に助成してください。

自治体は、「住民の福祉の増進」(地方自治法)という責務にふさわしく、国による一連の制度改変から患者・利用者を守る「防波堤」としての役割を発揮してください

以上です

自家用車の不具合/生協ニュース/人権保障としての医療・介護の資料とレジュメ

自家用車の一部機能の不具合があって、点検を予約していました。

やはり2つの部品の取り寄せが必要で、あしたと6月に入ってからとその2つを取り寄せてもらうこととなりました。自宅と県議会がある福島市との片道約130kmを走るには、自家用車を常に安全・安心に走らせる状態にしておかないとならないので、けっこう気をつかいます。

加えてきょうは、来週の県議会企画環境常任委員会の県外調査へ出かけるのに、私はいわき駅から出発予定で、議会事務局が手配してくれた切符をおととい書留で発送してくれていてきのう届けられたものの、不在で、きょうの午前中に届けてもらうことにしていました。

ともかくいろいろあります。

150515生協ニュース

そういうこともありながら、浜通り医療生協総代会開催のお知らせも掲載している生協ニュースをご近所の組合員宅にも配布しました。

150515ニュース配布

先日の医療生協支部で話した「人権保障としての医療・介護へ」で用意した資料とレジュメは、きのう、党県議や事務局のみなさんにも資料として渡したのですが、医療生協理事や常勤役員、各支部にも渡したくなって、そうしてきました。

150509常磐「健康講話」レジュメ・資料

団会議/戦争立法について/6月1日からの県の旅行券事業/「子どもチーム」が県と懇談

150514紅葉山

夕べは福島泊で、きょうは県議団会議でした。

閣議決定されて安倍首相が夕刻にも記者会見しようとしている「戦争立法」。

あらためて県議団として、今月に入ってからの「しんぶん赤旗」に基づき、その大問題について認識を共有しました。

第一、アメリカが世界のどこかで戦争に乗り出した際、自衛隊は「戦闘地域」でもアメリカ軍はじめ他国軍への軍事支援が可能になります。「国際平和支援法案」と「重要影響事態法案」で具体化されます。

第二、自衛隊は、特定地域の「安全確保」のためなどとして、監視、駐留、巡回、検問、警護などの治安維持活動が可能となり、自衛隊の活動を妨害する行為を排除するために武器使用を認め、襲撃された他国軍の部隊などを防護する「駆け付け警護」のために武器を使用することもできます。「国際平和協力法案」(PKO法改定)によります。

第三、日本が武力攻撃されていないのに、集団的自衛権を発動し、アメリカとともに海外で戦争に乗り出します。「事態対処法」などの改定案によります。

安倍首相は法案の国会提出前にこの「戦争立法」を夏までに成立させる、とアメリカで公約するという主権放棄の許しがたい姿勢です。

このたくらみを断じて阻止しなければなりません。

その後、県観光交流局から「福が満開、福のしま。」旅行券事業について説明を受けました。6月1日から3期に分けて19万泊分発行予定です。

9万泊のコンビニ端末利用では、「額面1万円旅行券を5千円で」「額面6千円旅行券を3千円で」、10万泊の宿泊予約サイトでは、「宿泊代2万円以上かつ2人以上のみで利用できる1万円分割引券」「宿泊代1万円以上で利用できる5千円割引券」「宿泊代6千円以上で利用できる3千円割引券」。3期の配分量や、それぞれいつまで利用できるようにするか、詳細を詰めているようです。

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午後には、「ふくしま復興共同センター・子どもチーム」の県との懇談に同席しました。

あらかじめ当局へ渡していた「日本一安心して子どもを生み、育てやすい福島県を実現するための保育、学童保育、教育環境に関する要望書」での7項目について、こども未来局、義務教育課、高校教育課のそれぞれが担当する項目の回答を受け、意見交換しました。

150514子どもチーム

当局としても、子どもや保護者が置かれている現実について、子どもチームのみなさんから寄せられた声で初めて知る事実もあり、市町村まかせにしない、広域自治体としての役割発揮が求められます。

4月を振り返りました/今後も意識して

150513県庁1

ほぼひと月ぶりに福島市へやってきました。

党県委員会の2つの会議出席のためです。

会議前、やはり久しぶりに福島県庁内の党県議団控室にも寄り、4月の活動を振り返っていました。

2~3日の佐賀県議会議員選挙の応援を除き、いわき市内での私の振り返りです。

街頭に出て話して歩いたのは10日あって、54か所で訴えました。「話を聞かせてもらってありがとう」と声をかけられたり、拍手してもらったり握手したり、暖かく迎えられたことが強い印象です。

150513県庁2

「つどい」は26日の1回、「訪問」が19日の午前・午後、27日の午後の3度。23日にはいわき市役所の高校同期生などにもあいさつにまわりました。12日には党地区委員会として市内各種団体訪問もありました。

集まった人たちを前に話す機会は1日の医療生協新入職員オリエンテーション、7日の医療生協班会、11日の医療生協「みややっこ」高座での閉会あいさつ、25日の小名浜地区労メーデー前夜祭でのあいさつでした。

今後も、こんなことを意識しながら活動を展開しようと思います。

安倍政権とジャーナリズム/権力監視・真実の報道

150506安倍政権とジャーナリズム

『安倍政権とジャーナリズムの覚悟』(原寿雄[はら・としお]著、岩波ブックレット)を読みました。

著者は1925年、治安維持法と普通選挙法が成立した年に生まれました。

戦時中は「天皇教徒」であったと自らの立場を語っています。

戦後、大学卒業後の1950年に共同通信社に入り、編集局長・編集主幹を務め、86年から92年には社長でした。

安倍政権のもと、なにが秘密かも秘密で、ジャーナリストの取材も公務員に対する「教唆」とされれば罪に問うという「特定秘密保護法」が13年12月に世論無視で強行成立させられ、昨年(14年)7月にはそれまでの政府の立場を180度転換し、閣議決定だけで集団的自衛権行使容認の憲法解釈。

こうしたことを含めた状況は、大正デモクラシーが衰退した昭和前期のようだと指摘し、そういう時にジャーナリズムは政府に対する監視・批判の姿勢が弱まるどころか、幹部が安倍首相と会食を繰り返す始末。

まさにジャーナリズムの危機です。

「権力監視」「真実の報道」に徹するジャーナリズムの覚悟がほんとうに必要だと私も強く感じます。著者のような人がマスコミ幹部にいれば、いまのようなマスコミ状況に陥ることはなかったはずですが、そうも言ってられません。

葛尾村廃棄物減容化施設/中間貯蔵施設と埋設と/「原発は安い」と言い張るか

150512葛尾・減容化施設全景

きょうも県議団として、葛尾村(かつらおむら)の廃棄物焼却減容化施設を視察しました。

環境省が発注した施設で、正確には「葛尾村対策地域内廃棄物処理業務(減容化処理)」とあります。

葛尾村は現在、避難指示解除準備区域・居住制限区域・帰還困難区域の3区域に再編されていて、全村避難中です。この施設は帰還困難区域内にあります。

150512葛尾・施設内線量

建設から解体までの期間が昨年(2014年)5月21日から2018年3月31日までの「業務期間」としての施設です。建設・運用・解体込みの契約で372億円弱。

ここでは村内で発生する廃棄物を焼却により減容化しますが、24時間連続運転で、1日処理能力が200トン、最終的に12万9,000トンの処理予定です。

150512葛尾村・施設視察

キロ当たり10万ベクレル超の灰は中間貯蔵施設へ、10万ベクレル未満は富岡町内に埋設処分とされますが、いずれも予定なので、この施設の解体見込みも実は未定です。

150512葛尾村役場

これにしても福島原発事故による必要にして迷惑な施設で、福島県内の市町村に環境省が整備するとしますが、すべて電気料金か税金で国民が負担させられるのは理不尽きわまりありません。これでも原発は「安い」と言い張るのでしょうか。

朝の定時定点/楢葉町長・双葉町長と懇談/懸案と課題/オール福島の重要性

150511正華前

けさは地元の郷ヶ丘・中央台の党支部・後援会から7人もの人が出てきてくれて2か所の「定時定点」の街宣をしました。

150511渡辺ゴム

通勤する車から注目される目線もずいぶん違ったように見えます。

150511楢葉町

きょうは5人の県議団として、午前中は楢葉町役場いわき出張所の松本幸英町長、午後は双葉町役場いわき事務所の伊澤史朗町長をたずね、それぞれ役場幹部のみなさんもまじえ、避難生活5年目に入った課題などについて懇談しました。いわぶち友・参院比例予定候補も同席しました。

楢葉町は2012年8月には警戒区域が解除され、避難指示解除準備区域に設定された町であり、双葉町はいまだ96%が帰還困難区域とされている町です。

150511松本楢葉町長

楢葉では帰町時期について今年には判断する方向を昨年に示していますが、現実には飲料水、放射線量、除染、原発事故収束見込み、医療・福祉環境など、町民の帰町意欲にかかわる様ざまな懸案が続いています。

町としても、生活環境の回復、一人ひとりの生活再建へ向けた様ざまな負担軽減を含めた支援、まちづくりにとりくむものの、いずれも町だけで達成できることではありません。

150511双葉町

双葉町は、町内の4%の避難指示解除準備区域を町の復興のさきがけとして位置づけるものの、「復興着手期」として向こう5~10年を整備目標とせざるを得ません。

こうしたもとで、いわき市、郡山市、南相馬市、白河市に整備予定の県営復興公営住宅を「町外拠点」として、町民のコミュニティの拠点として機能させる課題にこれからとりくむこととなります。

150511伊澤双葉町長

中間貯蔵施設についても、国に対しては地権者の理解を得るように再三申し入れているものの、これも国がしっかり対応しているとはとても言えない現状です。

両町の問題だけではなく、国が原発震災の加害者として、「国が前面に立つ」とか「福島の復興なくして日本の再生なし」と口先では言いながら、現実には真逆の姿勢であることが、福島にとって最大の障がいになっていると思います。

文字通り今、「オール福島」で国にもの申す重要性をつくづく感じます。

娘が仕事で帰省/小川地域での街宣/「自民党をやっつけよう」/平窪地域を「流し」

娘が夕べ、帰省しました。あしたの月曜日のいわき市内での仕事にあわせたそうで、きょうは浜通り医療生協「山歩の会」の登山に妻と参加するために朝6時に家を出ました。

150510小川JA

私は午前中、いわき北部の小川地域の党支部・後援会員のみなさんと街頭宣伝です。

山間地を含め、5か所をまわりました。小川地域では「定点」と言っていい場所ですが、最初のJR小川郷駅では、前を通って行く車から手を振ってくれる人、にこやかに会釈していってくれる人が多いんです。話を聞いていてくれていた人と握手。

150510小川郷駅前

別の場所でも庭仕事をしていた人が話し終えると出てきてくれて拍手。「応援してるからね、がんばってよ」と激励され、握手。

またある山あいでは、ずいぶん遠くのほうで、話し始めると出てきて聞いてくれ、話し終えたら「自民党をやっつけよう!」と。

最後の場所でも話し始めるとやはり遠くのほうから出てきてくれて聞いてくれていました。走っていくと、「元気な姿を見て声も聞いた。引き続き活躍してほしい」と激励され、握手。

小川での行動後、家にもどる途中、平(たいら)平窪(ひらくぼ)地域の一部の路地という路地を宣伝カーで「スポット演説」を流して歩きました。

150510散歩

家にもどってからは自家用車に乗り換え、燃料補給と車内外清掃を行きつけのガソリンスタンドでしてもらい、その間、「改定介護保険法と自治体の役割」の本の「自治体での運動課題」を読み直し。とにかく、自治体への働きかけを強めないとなりません。

その後はペロを少しだけ散歩に連れ出しました。

核を乗り越える/生き方

150510核

『核を乗り越える』(池内了著、新日本出版社)を読みました。

著者は「泡宇宙論」の提唱で知られる宇宙物理学者で、ここ数年は「等身大の科学」など新しい博物学を提唱しています。

著者自身、「福島原発事故が起こって、私たちがこれまで知らずにいたこと(原発の反倫理性のように、積極的に知ろうとしなかったことも含めて)、これまで見過ごしていたこと(原発の専門家の傲慢性のように、マスコミが報道しなかったこともあって)、政府や電力会社にごまかされていたこと(電気代のカラクリのように、知らぬ間に利用されていることもあって)など、多くのことを知り・学び・体験してきた」と言っています。

「原発の反倫理性」については、「金と利権と引き換えに原発という危険物を過疎地に『押しつけて』いる」こと、「ウラン鉱石の採掘から精練・加工・装填・点検・修理・処理・廃棄・廃炉などの全労働現場において働く作業員に放射線被曝を『押しつけて』いる」こと、「現代の世代はその始末を未来の世代に『押しつけて』いる」ことの三点を指摘。

ともかく本書では、地上で利用できる資源を単にエネルギー源として使うだけでなく、生活物資として広く活用した「地上資源文明」へ、今後30~50年先には移行する展望を示してくれています。

「『核を乗り越える』意志を固め、時間の地平線を長くとって、文明の転換を先取りしていく、来るべき時代が求めているのはそんな生き方なのである」と本書を締めています。

理事会/「医療と介護」学習会/1時間20分/「ワンちゃん元気?」

午前中は9時から浜通り医療生協理事会に出席。

6月の総代会に提案する議案のうち、昨年度の事業報告・決算案などをメインに審議し、方針に関しては各部署・委員会原案の提示で、次回以降に予算を含めて議論し、提案議案にするよう詰めていきます。

150509常磐「健康講話」3

午後には、医療生協常磐(じょうばん)・遠野(とおの)支部の総会後の学習会での講師をしました。

案内チラシでは「健康講話『医療と介護』」がテーマで、「消費税が上がって社会保障がよくなったの? いいえ、医療と介護はドンドン悪くなりました。そこのところを詳しく、わかりやすく」とあります。

150509常磐「健康講話」レジュメ・資料

話す「制限時間」も確認しないまま話し始めてしまい、1時間20分の時間を費やしてしまいました。質疑応答を含めて終了まで1時間半の予定だったらしく、なんか、ぎりぎりまで話してしまいました。

それでも終わってから、大ベテランの活動家を含め、複数の人から「いい話を聞かせてもらった」、「勉強する機会になってよかった」、「指名して呼んでよかった」と声をかけられたので、私もよかったと思うようにしました。

150509常磐「健康講話」

なかに、「ワンちゃんは元気ですか? 『しんぶん赤旗』が届くと、最初に見るのがワンちゃん。いつも楽しみ」というかた。月に一度の通信「かけはし」に毎回掲載するペロのことです。