『最貧困女子』(鈴木大介著、幻冬舎新書)、『日本人が知らない漁業の大問題』(佐野雅昭著、新潮新書)を読みました。
「最貧困」の著者は、「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、裏社会・触法少年少女らの生きる現場を中心とした取材活動を続けるルポライターと紹介されています。
著者自身の活動を通した考察では、人は低所得に加え、家族・地域・制度の「三つの無縁」、精神障害・発達障害・知的障害の「三つの障害」から貧困に陥る、とされるものの、しかし、こうした考察・議論からもはずれた目も当てられないような貧困の地獄の中でもがいている女性、そして未成年の少女たち。
その貧困状態を可視化した本書が、女性の苦しみを緩和・解決する生産的議論の一助になってほしい、と、著者の叫びにも聞こえます。
貧困の可視化については、「チャイルド・プア」「子どもの貧困」「女性たちの貧困」も参照してください。
「漁業」は、著者による「あとがきに代えて-雑魚にこそ可能性はある」の次の文が象徴しています。
「日本の漁業、卸売市場流通、そして小売業者がこのまま劣化していけば、未来の消費者は『食』の豊かさも、日本が誇る『食』文化も失ってしまうでしょう。資源の管理も大切ですが、魚がいなくなるより前に、魚を食べる人がいなくなってしまいそうです。冗談ではなく、現実的な文化の危機だと思います」。
著者は水産物流通を専門とする水産学者です。