『子どもに貧困を押しつける国・日本』(山野良一著、光文社新書)を読みました。
著者は児童福祉司として児童相談所にも勤務し、今は「『なくそう! 子どもの貧困』全国ネットワーク」の世話人を務めています。私の一つ年下です。
「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が議員立法によって、昨2013年6月に衆参両院で全会一致で可決され、今年1月に施行されました。
この法に基づき、政府が大綱を定めたものの、著者によれば、過去最悪の貧困率を更新した直後の決定でありながら、その貧困率に対する危機感は感じられず、関係者がもっとも強く求めていた子どもの貧困率削減などの具体的な数値目標が盛り込まれなかったことは、法律制定の意義そのものが形がい化しかねない、と危惧されます。
少子化が進行させられ、子どもの数は減っているのに、貧困な子どもは増えているのが現実です。そして、子どもの貧困率が全体の貧困率を超えたという事実は、社会のひずみや矛盾が子どもたちに集中しやすくなっている社会構造の問題ではないのか。
それはけっきょく、国家としての日本が子どもたちに貧困を押しつけているのであり、これを解消するには、子どもの気持ちから貧困問題がどう見えるかを創造力で見据え、その社会構造を変えることではないか、との問題提起の書です。