アベノミクスは「アベコベ・ミックス」/軽視できない

130616アベノミクス

『「アベノミクス」の陥穽』(友寄英隆著、かもがわ出版)を読みました。

著者は月刊誌『経済』(新日本出版社)の編集長を95年~06年にわたって務めた経済の専門家。

本書は、今年1月中旬までに、安倍内閣の「日本経済再生本部」「経済財政諮問会議」「産業競争力会議」、日銀の「政策決定会議」が次つぎと初会合を開き、政策を発表しつつある段階での「アベノミクス」追及第一弾の著者としての位置づけです。

「アベノミクス」の実態は、「あべこべの政策理念」をごちゃごちゃにミックスした「アベコベ・ミックス」とでも名づけたほうが、内容的にはよっぽどふさわしい、とその段階で評しています。

問題は、「自民党、公明党、民主党の『3党合意』にそって消費税増税や社会保障削減などの国民犠牲の過酷な政策を粛々と推進しようというねらい」、そして、「日本の政治の右傾化を促進する旗印になりかねない経済政策」という警鐘です。

「国民の暮らしや雇用、財政や金融、産業政策にとってさまさまな悪作用をもたらして、最悪の場合には、日本経済を制御不能な困難な危機に追い込む可能性」を軽視してはなりません。

反撃/絶望から希望へ

130430反撃

『反撃 民意は社会を変える』(鎌田慧・小森陽一著、かもがわ出版)を読みました。

2人の対談の記録です。鎌田さんは社会問題を追及する社会派ルポライターで、「日本の原発地帯」(1982年)、「六ヶ所村の記録」(1991年)、「原発列島を行く」(2001年)など、「民主主義の対極にある」原発問題も追い続ける「脱原発運動」のリーダーでもあります。

小森さんは日本近代文学を専攻する研究者で、「九条の会」事務局長を務める「護憲運動」のリーダー。

この2人が昨年12月17日、総選挙投票日翌日に初めて顔を合わせ、第二次安倍政権のもとで、これからの草の根運動によって、絶望的な状況があったとしても、決してあきらめず、訴え続け、人々の共感を得、希望につなげていく、そんな躍動感がある対談をしてくれています。

まさに「絶望から希望への反撃」の道すじを大衆運動の歴史からくみとれる書です。