『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響 チェルノブイリ原発事故被曝の病理データ』(ユーリ=I=バンダジェフスキー著、久保田護訳、合同出版)を読みました。
肥田さんの『内部被曝』でも紹介されている研究成果です。
1990年から10年間にわたる、剖検を含む医学的調査、動物実験により著者は、体内のセシウム137による被曝は低線量でも危険、との結論に達しました。
本書では、体内の臓器に蓄積した放射性セシウムの量と組織の病変の関係について、心血管系、腎臓、肝臓、免疫系、造血系、女性の生殖系、妊娠の進展と胎児の成長、神経系、視覚器官のそれぞれを検証しています。
この結論は、当時のベラルーシ政府の見解に反しており、1999年に著者は別件逮捕され、投獄されたんだそうです。
低線量・長期被曝の人体影響について、こうした成果を無視してきた人びとを含め、ちゃんと議論し、認識を深め、被災者を真に救う医学の発展を望みます。