『内部被曝』(肥田舜太郎著、扶桑社新書)を読みました。
広島で被ばくしてこれまで67年間、6,000人以上の被ばく者と向き合ってきた95歳の内科医が著者です。
現在の放射線防護の考え方は、「放射線によって引き起こされるガンは、細胞核(DNA)の悪性の突然変異だけから発生する」という間違った仮説をもとにしている、と著者は指摘します。
1972年、カナダのアブラム・ペトカウは、「低線量の慢性的な被曝は、高線量の短時間照射よりも影響が大きい」ことを証明しました。
体内に取り込んだ放射性物質が、体内から1日24時間ずっと低線量で被曝させる影響がどんなものなのか、医学界でも無視され続けていたのです。
本書では、低線量・長期被曝に関する調査結果はふんだんにあることも紹介されています。これらの成果も「なかったこと」として無視され続けました。
一億総被曝時代になってしまった今、私たちが生まれつき持っている免疫力を弱めずに人間らしく生き、原発のない社会を一人ひとりが考え、政治を変えよう、と受け止めました。