『娘と話す 原発ってなに?』(池内了著、現代企画室)を読みました。
原発事故直後、別の出版社から執筆の依頼があったそうですが、「震災と原発事故に大きなショックを受けるとともに、安全神話を振りまいてきた人々に対する怒り、政府や東電の無責任さへの絶望に捕らわれており、まともな本にならないと思ったから」断らざるを得なかったそうです。
事故から4か月ばかりたってから、これまで主張してきたことをまとめればなんとかなるのでは、とできあがったのが本書です。
原発の仕組みや放射能・放射線など原子力にかかわる問題を整理しながら、原発が抱えている諸問題や文明のありようにまで踏み込んでいます。
「少なくとも、浪費に明け暮れ、負の遺産だけを残している世代においても、未来を想像して警告する人間がいた、それがせめてもの償い」と、この大学者に思わせるのが、この原発事故だったのです。