『福島原発の真実』(佐藤栄佐久著、平凡社新書)を読みました。
「東電というよりも経産省、そして日本の統治機構そのものが抱える問題が、今回の事故の縦糸であり、また横糸でもある」と言い、「『必要だから、正しい。安全だ』という日本社会の至るところにある嘘と欺瞞は、こうしてメルトダウンしたのだ」という実感が、本書全体を貫いています。
福島県知事現職時、「(19)89年の福島第二原発のポンプ部品脱落事故をきっかけに…福島県は、専門の部署を強化し、自ら情報収集、分析できる力を身につけてきた。02年の点検結果、改竄・トラブル隠し発覚の際には間違いのない調査能力、分析力を発揮するまでになった」とは著者の自負であり、事実だと思います。
現在の佐藤雄平知事になってから、09年7月に4年ぶりに再会された福島県エネルギー政策検討会は、「県職員が県民の立場に立って自ら問題意識を持ち、考えようという意識は影を潜め、政府の原発政策を追認する会合に変容していた」。
02年の不正事件発覚時には、「原発の経済的利益を追いがちな県議会も、県と共闘するようにな」り、「本県においてはプルサーマル計画は実施しないこと」とする意見書まで採択したのに、現知事がプルサーマルに同意するや、「この意見書採択は『なかったこと』にしてしまった。議会という権威と、県民を守るとりでの役割を、自らかなぐり捨てた」と断罪しています。
著者が言う「県議会」の姿勢には、もちろん、共産党県議団はくみしていません。