放射能汚染/被爆者と私たち

『放射能汚染の基礎知識。』(朝長万左男[ともなが・まさお]著、マガジンハウス)を読みました。「売り」は「45分でわかる!」のブックレット仕立てです。

著者は日本赤十字社長崎原爆病院院長。

特に今、放射線の被ばくレベルと人体への影響が私たちの高い関心事ですが、この面でのデータが、広島・長崎の生存被爆者約20万人の、今日に至るまでの66年間にわたる健康への影響の研究から得られていることがわかります。

放射線によって細胞死の量がどの程度になるか、放射線によって傷ついた遺伝子の修復ミスで発ガンにいたる細胞がどの程度生じるか、放射線の人体への影響はこの2つにつきる、とのこと。

その影響の強さは、被ばくした放射線の量によるし、同じ放射線量でも、一度に浴びるか、複数回に分けて浴びるかによっても異なります。

こうしたことが、いま問題になっている放射線量とは3桁も4桁も違うレベルの放射線を浴び、これを乗り越え、生き抜いてきた被爆者によって私たちが与えられているわけです。

ともかく、「私たち一人ひとりが、正しい知識を持ち、科学的に理解し、考え、適切に、冷静に行動する」ためのひとつの材料になる本です。

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