『BC級戦犯裁判』(林博史著、岩波新書)を読みました。
著者によるBC級戦犯裁判についての総括的な試みで、11年前、2005年に発刊されました。
この本は、著者が1980年代から90年代にかけてマレー半島各地で、日本軍の住民虐殺からかろうじて生き残った体験を聞き取った人たちを思い浮かべながら書き上げたようです。
国際軍事裁判所条例によれば、「平和に対する罪」(A級)、「通例の戦争犯罪(戦争の法規または慣例の違反)」(B級)、「人道に対する罪」(C級)の三つが定式化されています。
著者によれば、資料収集・調査・研究によって、「やっとBC級戦犯裁判の全体像が見えてきました」。
ただ一方で、「今後、戦犯裁判に関する資料の公開や調査研究の進展によって、本書の記述も書き換えられるべき点がいろいろ出てくるでしょう」とのこと。
それでも「本書がそうした今後の研究や戦犯裁判理解にとって、さらには日本人の戦争責任問題への取り組みに何らかの貢献ができれば」との思いが詰まっています。
私はそんな問題意識も持って本書を手にしたはずなのですが、10年にわたって進展がありませんでした。
これを機に…