国保広域化

『国保広域化でいのちは守れない』(寺内順子他編著、かもがわ出版)を読みました。

民主党政権のもと、自民党時代とぜんぜん変わらない政策が国民健康保険制度でも進められようとしています。

「国保財政の強化」「スケールメリット」を名目に、市町村国保をよせ集め、都道府県単位に集約する「国保の広域化」です。

国民健康保険は、「各地域のニーズや特性に即した事業運営が行われることが望まれ」「住民に最も身近な地方公共団体である市町村」が最適である(『逐条紹介国民健康保険法』)として、1948年には市町村公営が原則とされました。

戦前の“相互扶助の制度”から、戦後は“憲法に基づき、国民の医療を受ける権利を保障する制度”に根本的に変わり、国民の3割(2900万人)にのぼった無保険者が解消され、日本は国民皆保険の国になったのでした。

この創設の原点を民主党政権がまた投げ捨てようとしています。「スケールメリット」と言っていることの中身は、人件費の削減とシステム改修費用の節約で、国保会計上ではなく、一般会計上での話です。

「広域化」によって市町村の業務は加入受付と徴収業務だけになり、住民が役所の窓口で相談してもなにひとつ救済できなくなります。後期高齢者医療制度といっしょです。

しかも、市町村が実施している一般会計からの法定外繰り入れをなくし、市町村条例で実施している保険料減免制度はほとんど廃止されることは間違いありません。

こういうことを住民に知らせないまま進めようとする民主党政権は百害あって一利なし、と断ぜざるを得ません。

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