石川県への往復の車中、『老人に冷たい国・日本』(河合克義著、光文社新書)、『私の「戦後70年談話」』(岩波書店編集部編)を読みました。
「老人に冷たい」の著者は、NHK「無縁社会」「老人漂流社会」に協力・出演もしていました。すでに30年以上前から貧困と孤立について研究し、高齢者、とりわけ一人暮らし高齢者の貧困と社会的孤立の現状分析と、これに基づく提言をしています。
私たちも注意しなくてはならないのは、高齢者福祉は介護保険ではないこと。介護保険利用者は高齢者の2割もいません。介護問題は、高齢者の生活問題の一部分であり、貧困と社会的孤立の大部分は、介護保険サービスを利用していない高齢者のところで発生していることを直視する必要があります。
「戦後70年談話」は、1945年の終戦時に5歳以上で、戦前・戦中・戦後と生き抜き、今も各界で活躍する41人の「いま、これだけは語っておきたい」メッセージです。
政界からも、海部俊樹・村山富市の2人の首相経験者、元官房長官・自民党幹事長の野中広務さん、共産党の不破哲三さんが執筆しています。
ちなみに不破さんは、安倍首相など「この潮流のめざす中心目標は、『日本の戦争』の復権と、この戦争への反省を込めた日本国憲法第九条の廃棄」だと喝破し、「この野望を打ち砕くためも、さらには将来にわたって、この種の勢力の台頭を許さないためにも、戦争を体験した世代が、語るべきことを語り、引き継ぐべきことを次の世代に引き継ぐことが、いま強く求められている」と語ります。