『最初に知っておきたい認知症』(杉山孝博著、新日本出版社)を読みました。
著者は、1981年から「公益財団法人 認知症の人と家族の会」の活動に参加し、今は会の全国本部副代表理事を務めている医師です。
本書は、「しんぶん赤旗 日曜版」に「知っておきたい 認知症」と題して2014年11月9日号から2015年4月5日号まで20回連載した記事をまとめたものです。
ご自身は認知症に関する書籍を多数著作・監修していて、この本の出版に迷ったそうですが、連載中の反響や単行本化の要望も大きかったそうです。
私も介護や医療に事務方としてかかわってきた立場上、この課題にどう向き合うかをいつも考えるわけですが、これほど簡潔・明瞭に語ってくれる本は初めてです。
端的に言うと、著者が認知症の人を介護する介護者に話す言葉が本書を凝縮していると思います。「本人の感情や言動をまず受け入れ、それに合うシナリオを考え演じられる名優になってください。それが本人にとってもあなたにとっても一番よい方法です。そして、名優はときに悪役を演じなければなりませんよ」。
「とにかく、認知症の人によい感情をもってもらい、『自分は周囲から認められている』『ここは安心して住める』と感じられるように日頃から対応することが、一番楽で上手な介護になるのです」。
問題は、本書で触れてはいませんが、医療・介護推進法による改定介護保険で「地域包括ケアシステム構築に向けた地域支援事業の充実」のひとつに「認知症施策の推進」が位置づけられているものの、その施策の「お寒い」現実です。
支援を要するすべての認知症の人びとに手が行き届く実効あるとりくみを、その位置づけにふさわしくするよう、「認知症初期集中支援チーム」「認知症地域支援推進員」の数や体制を責任をもって整えるよう行政にさせないとなりません。
ドラえもんの声でおなじみの<大山のぶよ>さんも認知症になったそうです
政府自民党は<国民病>となりつつある認知症の問題から目をそむけています、真剣に取り組むべき喫緊の課題です