「放射線被曝の理科・社会」「未来を探す人びと」「福島で起こっている本当のこと」/事故後のさまざまな問題

150314放射線被ばくなど3冊

この間、福井県との鉄道での往復もあり、『放射線被曝の理科・社会』(児玉一八・清水修二・野口邦和著、かもがわ出版)、『未来を探す人びと』(佐藤政男著、ウインかもがわ)、『放射線医が語る 福島で起こっている本当のこと』(中川恵一著、ベスト新書)を読みました。

「理科・社会」は、マンガ「美味しんぼ」をめぐる一連の論争が直接のきっかけで、簡単に言うと、放射線被曝に関して、あらためてちゃんと勉強しましょう、という呼びかけてす。

福島原発事故による放射線被曝について、あくまでも科学的な検討・検証にもとづいて語るべきで、影響評価に政治的な価値判断をもちこまず、かつ、原発の是非とは区別すべきこと、また、低線量被曝について、過去に蓄積された科学的な知見、さらには福島原発事故に獲得されたデータで分かっていることもあり、「何も分かっていない」かのように扱うのは事態をいつまでも混迷させる、という3人の著者の立場から書かれています。

「未来を探す」は、原発事故から1年7か月後に故郷である福島にもどり、「新薬学者技術者集団」機関紙「新しい薬学をめざして」に2012年12月から2014年9月まで13回にわたって「福島のいま」として掲載された文章です。「福島の現実を、私の個人的な感想ではなく、身近に得られる様々な情報から紹介」していて、「原子力発電事故の理解が進み、福島の人びとへの思いが深まれば」の願いが込められた薬学者の姿勢に感銘です。

150314散歩中

「本当のこと」の著者は、原発事故後、いまだ全町避難を強いられる飯舘(いいたて)村を支援し続けている放射線医です。事故から10か月後に「福島でがんはふえない」という論調の著書を出しましたが、それは放射線によるがんのことで、本書では、それを避けるための「避難」による健康状態の悪化ががんをもたらしかねない、と主張します。

とにかく、4年たって、福島原発事故後の様ざまに引き起こされている問題について、様ざまな立場で真剣に考える人たちの考えに接し、何をどう考え、解決の方向へどう向かうか、と、私も必死の思いです。根拠もなく、検証もなく、「私が正しい」と断じる人を私は信じません。

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