エネルギー問題と石炭/過渡期

150211石炭エネルギー子

エネルギー問題について、これまでの原子力に依存した「大規模・集中型エネルギー」から、「小規模・分散型エネルギー」へのエネルギーシフトが必要なことは、だんだんと理解が得られているように感じます。

福島県議会でも、私は原発事故前から企画環境常任委員会でしばしばそんな提起もし、事故後に復帰した委員会でも、多様で小規模で分散型で、したがって地産地消型で、だからこそ住民参加型で、と言ってきたことが、執行部にもずいぶん受け入れられてきたように感じます。

エネルギーシフトの究極は、「化石・核資源を資源として使わず、太陽資源を最大限使う」ことで、そのことは、人類の思考形成や文化の成り立ちをつづけてきた化石・核資源から人類を解放させることでもあります。

問題はその究極へ向かう過渡期、まして日本では原発完全回帰へ向かう政権。エネルギーの「ベストミックス」は本来、一つのエネルギー源に依存せず、いろんな電源を組み合わせ、燃料供給の安定性・経済性・運転特性を活かした最適な運用のはずです。

141229わが家の

ところが原発回帰のもとでは、原子力を補完するための「原子力のためのベストミックス」です。だから安倍首相は福島第二原発の廃炉を東電まかせにし、東電は「政府のエネルギー政策を見ながら」と無責任です。

こうした状況下、「日本エネルギー学会」は一昨年(2013年)、「未来につなぐエネルギー」を副題に『石炭の科学と技術』(コロナ社)を発刊しています。

「化石資源の一翼としての石炭に注視してその供給確保、高度利用、世界における産業化を遅滞なく進めることは、わが国のエネルギー環境、経済の基本的最重要政策課題の一つに位置づけられる」としています。

石炭の大資源国のアメリカでは、クリーンコールテクノロジーの技術開発に資金的な助成を行い、より環境負荷の低い利用方法の検討も行われている、とのこと。

はっきりしていることは、石炭がほかの化石燃料や自然エネルギーにくらべ、硫黄酸化物や二酸化炭素などの環境汚染物質排出が多いこと、そしてこの問題を解決して石炭を継続的に使用するために科学者・技術者・産業関係者が努力していること、そして原子力に依存せず、再生可能エネルギー中心の社会づくりへ向けた「過渡期」が今で、政治がおおいにからんでいること。

石炭ガス化複合発電(IGCC)など、日本エネルギー学会が「わが国がいち早くIGCCの商用化に成功すれば、これをベースに石炭火力の電源としてのシェアが大きい世界各国にIGCCの輸出や技術供与を行うことにより、わが国の経済に大きく貢献するのみならず、世界全体のCO2削減により地球温暖化防止にも貢献できる」と言っていることを、政治にかかわる者として、どう受け止めたらいいのか。

とにかく日本というある意味特殊な国における、エネルギー政策の過渡期での石炭、ましてほとんど輸入。オールオアナッシングではないし。きわめて悩ましい問題だと私は思うのですが…

きょうこれを書くにあたって、文中の『石炭の科学と技術』と、『よくわかる自然エネルギーQ&A』(自然エネルギー推進市民フォーラム編、合同出版、2002年)を参照しました。

150211

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です