きょう(1月12日)付けの「全国商工新聞」に神戸女学院大学の石川康宏教授が「2015年 政治展望」と題して簡潔な文章を掲載してくれています。
私の勝手な要約です。
まず、昨年末の総選挙について、安倍首相としては「大負け」を避けて「小負け」で済まそうとしたものの、「三つの大きな失点を余儀なくされました」。
ひとつは、「安倍暴走政治のストップ」を正面から掲げる共産党を、8議席から21議席に躍進させてしまったこと。
ふたつは、沖縄の4つの全小選挙区で「基地ノー」連合に敗北したこと。
みっつは、改憲の最大の援軍の「次世代の党」を19議席から2議席に壊滅状態に追い込んだこと。
次に、この10数年の政治の変化のなかでの国民の行動の特徴です。
要約なので勘弁してほしいのですが、ともかく、03年には、自民党の不人気があって、財界としては民主党を結党させ、財界通信簿に基づく政策買収を開始しました。
09年に民主党政権にあけわたした時の自民党の比例代表得票数は1,881万票、12年に政権奪還した時は1,662万票に減り、昨年は1,776万票で、自民人気は回復していません。
民主党が09年に2,984万票から昨年の978万票に凋落したにもかかわらず、です。
その間の国民の行動の特徴のひとつは、09年の投票率69%が昨年は53%になったように棄権が増えたことなのですが、昨年総選挙後に毎日放送がした調査で「もし選挙に行ったら共産に入れた」という回答が47%だったように、棄権した人たちの「自民・公明・民主に入れない」という意志がはっきりしていたことです。
もうひとつは、「みんな」「維新」「次世代」などの非自民・反共産型の「第三極」を見限り、「非自民ではなく、反自民でなければ」という思いが共産党への期待として高まったことです。共産党の比例得票数は12年369万票、13年(参院選)514万票、昨年606万票。
最後に今年の展望です。
昨年の選挙結果は、比例代表で33%の支持しか得られなかった自民党が「虚構の多数」を得たにすぎず、消費税10%、原発再稼働、集団的自衛権、沖縄新基地のどれをとっても安倍政権と世論のねじれは深刻です。
今年3~4月のいっせい地方選挙は、来年度予算案の議論が進められる直後であり、政治の中身で支持を集めることができない安倍政権が、大手メディアへの圧力と抱き込みによる世論操作、戦争推進などの不人気政策を陰に隠して乗り越えようとすることは明らかです。
また今年は日本の侵略戦争での敗北と広島・長崎での被爆から70年の節目の年。
安倍暴走政治を追いつめてきた「一点共闘」「対案」の提示、インターネットなどによる「発信の力」を強め、世界のなかでの日本の役割を前向きに変える絶好の機会です。