『復興〈災害〉』(塩崎賢明著、岩波新書)を読みました。
率直に、私自身が、というか共産党福島県議団がこの「復興災害」に悩まされている気がしてなりません。
そもそも本書は、住宅問題やまちづくりを専門としていた著者が、1995年1月の阪神・淡路大震災を契機に災害復興の問題にとりくみはじめ、「いまなお震災を引きずり、復興が成し遂げられない人々が存在することにあらためて慄然」とし、「そのことが世間では必ずしも共通認識になっていないので」「それをまず伝えたい」ことと、東日本大震災の「復興から学び、次に備えるべきことを明らかにしておきたい」ことが動機で書かれました。
したがって本書は「復興の20年ー阪神・淡路大震災のいま」「東日本大震災ーいまとこれから」「阪神・淡路、東北から“次”への備え」の三部構成です。
ともかく、東日本大震災後を含めてこの20年間のさまざまな施策を検証しますが、「復旧・復興の最も大きな課題は被災者の生活の再建」のはずなのに、この位置づけがあまりに弱い。
「被災後も健康を維持し、収入を確保し、人間らしい暮らしを続けながら…住宅復興を成し遂げること」が第一義に置かれていないのです。ハード事業優先です。「国際競争力の向上」すら強調されます。
まさにたたかいの真っただ中であることを痛感します。
また、福島の原発避難者に触れたところでは、「これまでの災害復興では考えられない困難に直面しており、本書ではほとんど論ずることができない」と書かれているように、原発震災被災地・福島の課題は、さらに深刻なのです。