『「悪」と闘う』(宇都宮健児著、朝日新書)を読みました。
率直に、宇都宮さんが、市民運動で社会を変え、人権を守るために「闘う」生き様を学ばさせてもらった思いです。
宇都宮さんは、2010年2月から、いろいろな事情で2012年5月まで、日本弁護士連合会会長在任期間が史上最長となった弁護士です。
それに、2012年と2014年の東京都知事選挙に立候補し、2度とも次点でした。
本書ではとくに、2度目の選挙となった今年の都知事選で「脱原発派一本化で立候補を辞退しろ!」と迫られたなかで闘った裏舞台をありのままにあかしてくれます。
それよりも本書の圧巻は、「クレサラ運動」=クレジットカードによるショッピングやキャッシング、サラ金、中小業者向けの商工ローン、違法なヤミ金などが原因の多重債務被害をなくすための消費者運動を、被害者とともに闘った著者の軌跡です。
運動の継続、全国組織との連携と構築、財政基盤の確立、運動体として、政党を含めた柔軟な連携が重要なことが実体験から語られます。
本書での「悪」とは、都知事選で流された悪意のあるデマやネガティブキャンペーン、高金利の消費者金融による多重債務者問題、貧困と格差を拡大する政治を含めた、様ざまな社会問題を指しています。
宇都宮さんの都知事選対「希望のまち東京をつくる会」の活動は続いており、2018年の都知事選へ向けた意欲を感じました。