16日、原子力規制委員会は九州電力川内(せんだい)原発1,2号機が規制基準に適合しているとする審査書案を了承し、事実上の「合格」としました。
18日夜に安倍首相は、福岡市内で九電会長ら九州の財界人と食事をともにし、「川内はなんとかしますよ」と語ったと報じられています。
田中俊一・原子力規制委員会委員長は、合格証を与えたあとの記者会見で「基準の適合性を審査した。安全だということは申し上げない」と言い、再稼働の判断に規制委はかかわらない意向も示した、とのこと。
一方で菅官房長官は、「安全性は規制委にゆだねている。個々の再稼働は、事業者の判断で決める」と述べ、再稼働判断は規制委と事業者の責任で、政府にはないかのような話。
「世界一」と安倍首相が繰り返す新基準では、福島原発事故後に欧州で新増設の原発に対してテロ対策として原子炉格納容器を二重にしたり、炉心溶融した核燃料を受け止めるコアキャッチャー設置を義務化したりするようなことは求めておらず、田中委員長も「世界最高というのはやや政治的な言葉の問題なので具体的ではない」と言っています。
福島では見込みも立たない汚染水対策も再稼働の条件にはならず、住民の避難計画も田中委員長が「規制の範囲外で、審査では評価していない」と、福島で12万人を超える県民が見通しのない避難生活を強いられていることは関係ないのが「世界一」の基準です。
そのうえ、川内の場合は、歴史上何度も、九州南部をおおう超巨大噴火に伴う火砕流に襲われていたことがわかっているのに、その対策も「非現実的」なまま。(2枚の写真は「しんぶん赤旗」日曜版5月11付けのもの)
安倍首相にとっては、福島原発事故などたいした事故ではなく、事故前からの「安全神話」に取りつかれたままの思考停止状態なのだと思わざるを得ません。
だいたい、福島原発事故の原因もいまだ未解明なままです。
野党議員が質問中にヤジる程度の人物が日本の首相です。15日の参院予算委での集団的自衛権集中審議の際の様子。