『福島へ/福島から』(赤坂憲雄エッセイ集、荒蝦夷[あらえみし]発行)を読みました。
著者は学習院大学教授で、岩手県遠野文化研究センター所長でもあり、03年から福島県立博物館長を務めてます。
本書は、福島の地元紙である「福島民報」の「日曜論壇」に、2004年から2013年の間、2か月おきにつづってきたエッセイです。
「3・11」をはさんでいても、著者の一貫した「立ち位置」は「文化の力こそが信ずるに値するもの」で、そんな思いがあふれています。
3・11後、「福島こそが、新しい暮らしと生業の風景を創りだすはじまりの土地になる」「二十一世紀のもうひとつの自由民権運動だ」の言葉が印象的です。
「原発事故と汚染、それはすでに、わたしたちの生存の条件のひとつとなった」のですが、3・11前の著者は「原発というものに、まるで関心がなかった。眼を背けてきた。何とか『安全』に動いていれば、それによってわたしたちの暮らしの豊かさや便利さが保たれているのであれば、仕方がないと感じていた」んだそうです。