『日本の歴史をよみなおす(全)』(網野善彦著、ちくま学芸文庫)を読みました。
オビにあるように、「50万部突破」の大反響だそうです。
本書は、91年に発刊された『日本の歴史をよみなおす』と、96年に発刊された『続・日本の歴史をよみなおす』をあわせて05年に刊行された本で、手元にあるのは昨年(2013年)8月の28刷です。
1928年生まれの網野さんは04年に亡くなった中世を専門とする歴史学者ですが、網野さんの業績は「網野史学」とも言われています。
「続」の「あとがき」で、「これまで『常識』とされて、今も広く世に通用している日本史像、日本社会のイメージの大きな偏り、あるいは明白な誤りの根はまことに深いものがあり、これをただすことはわれわれが現代を誤りなく生きるためには急務」と書いています。
各章名を並べると、「文字について」「貨幣と商業・金融」「畏怖と賎視」「女性をめぐって」「天皇と『日本』の国号」、「日本の社会は農業社会か」「海から見た日本列島」「荘園・公領の世界」「悪党・海賊と商人・金融業者」「日本の社会を考えなおす」。
ともかく、日本の歴史の多様なダイナミズムの姿が感じられます。