『“福島原発” ある技術者の証言』(名嘉幸照[なか・ゆきてる]著、光文社)を読みました。
副題に「原発と40年間共生してきた技術者が見た福島の真実」とあります。
巻末には佐藤栄佐久元福島県知事の推薦文「日本人の中の日本人 名嘉幸照さんのこと」も掲載されています。
著者は4歳のときに沖縄で終戦を迎えた沖縄生まれ。
一等機関士として日本郵船の貨物船で世界をまわり、アメリカ船籍機関士としてもスーパータンカーにも乗っていた人。
縁があって原子力を学び、1969年にアメリカのゼネラル・エレクトリック社(GE)に入社。
福島第一原発1号機が運転を始めた1971年の2年後から、GEの日本人技術者として30代前半から福島に赴任。
1980年にはGEから独立し、原発プラントを中心に点検・管理する「東北エンタープライズ」を立ち上げて現在に至っています。
「人生の40年を捧げた福島の原子力発電所。安全を守り、福島を豊かにしようと、つとめてきた私の人生は、いったい何だったのだろう」と自問しつつ、この40年を振り返り、「本書で私が最も強調したいのは、『原発は安全』という嘘が、すべての元凶という事実」と語ります。
原発に注文し続けていた人たちに対しても、「どうしてその事故が起きたのか、原子力行政や東電のありよう、原発プラントが抱えるリスクまで深く理解し、掌握したうえで、『原発反対』を言っていたかどうか」と疑問を投げかけています。